妊娠中の働く女性
※画像はイメージです
毎日一生懸命取り組んできた仕事。これからも続けていきたい気持ちはあるのに、体調不良で思うようにはいかないときがあります。特に、妊娠初期になることが多い「つわり」の時期の仕事に関しては、多くの女性が悩むようです。仕事仲間に、妊娠による体調不良を打ち明けられればいいのだけれど、妊娠報告のタイミングには早く……。つわりの症状と仕事との板挟みになってしまいますよね。
つわりってどんなもの? 悪化するとどうなる?
妊婦さんの半数~8割に起こるという「つわり」。妊娠が分かったころ(妊娠6週)から始まるとされています。
症状としては、吐き気や嘔吐などを主とした消化器系のトラブルが多くみられますが、細かな症状やつわりを感じる強さ、つわりが続く期間には個人差があります。
つわりは妊娠によるホルモン変化に伴うものといわれていますが、つわりの症状が悪化すると、食べ物を受け付けなくなり、それによって代謝異常を起こし、時には生命の危険を及ぼす場合もあります。これを医学用語で「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といい、妊婦さんの100人に1~2人ほどにみられます。
記事の最後に、助産師さんからのアドバイスがありますので、そちらも併せて参考にしてください。
つわり中の仕事、どうしてた? 職場では? 通勤電車は? ~ママたちの声~
つわりに苦しんだ働くママたちに「つわり中の仕事」や「働いていて、つわりがつらいときの対策」について聞いてみました。
「食べつわりで出社早々お菓子」

食べつわりを経験してから、電車で何か食べている人を見ても、「(妊娠に限らず)この人にも何かあるのかもしれない」と思うようになり、気にならなくなりました。
(40代、長男7歳・次男5歳、正社員)
空腹だと気持ちが悪くなる食べつわりでは、就業時間や外出中など時間や場所を問わず、小まめに食べないとつらいですよね。しかしながら、言うに言えない、見た目にも変化が少ない妊娠初期はわかってもらいにくく……。どうか、みなさまお察しください!
「会社と駅のトイレをローテーション」

毎日夕方になると気持ちが悪くなり、退社前に一度会社のトイレで吐き、家の最寄り駅に降りたらトイレにかけこみ吐く……なんてローテーションもままありました。
日中も口に何か入れていたくなり、デスクでおしゃぶり昆布やベビースターなど駄菓子系をよく食べていました。
(40代、長女10歳、次女5歳)
吐くと一時的にスッキリするが、またぶり返す吐き気。つわり中の通勤、大変でしたね。
「いつもいる人」

氷を食べると楽になったので、会社でもマイボトルに入れて持ち歩き、ずっと食べていました。
(40代、長女6才・次女3才、会社員)
氷などの冷たいものを口に含むと、すっきりして楽になるという体験談も多く寄せられました。保冷ができるボトルに入れれば、しばらくの間溶けずに食べられるので、携帯に便利ですね!
「帰宅時、途中下車」

妊婦だとわかりにくい妊娠初期は席を譲ってもらえず、途中下車したこともありました。
(40代、長女10歳・次女7歳、会社員)
妊娠中はつわりだけでなく、立ちくらみなどを起こす人も。とはいえ、電車で席を譲ってくださいと申し出るのは抵抗があるものですよね。せめて満員電車を避け、座ることができる時間帯での通勤ができれば楽ですね。詳しくは記事の最後にある坂田先生の解説をご覧ください。
「通勤電車がつらい」

(40代、長男2歳、会社員)
「朝が一番つらい」「夕方がしんどい」「夜がピーク」など、つわりがひどくなる時間帯、人によって異なるようです。朝と夕方・夜は通勤時間と重なるので、時差通勤も検討してみてくださいね。詳しくは記事の最後にある坂田先生の解説をご覧ください。
「えびそばのためにも出勤」

会社の隣の中華料理店の「えびそば」、これだけは食べられたので毎ランチ通いました。 (40代、長女1歳)
つわり中は、「気持ち悪くならずに食べられるもの」が限られることもあるので、それが見つけられるとうれしいですよね! その「えびそば」、ちょっと食べてみたいです・
「1ヶ月の休業」

会社も1ヶ月ほどお休みしてしまい多大な迷惑をかけたのに、快く休業を許してくれた当時の同僚や先輩、上司には、今でも本当に感謝しています。
(30代、長男5歳・長女3歳 フリーランス)
無理せず休むのも、つわりの時期には大事なことです。つらいときに支えてもらった恩は、いつまでも忘れないもの。いつか恩返しできたらいいですね。
「テレワークでつわりを乗り切る」

自宅にいれば比較的調子がいい時間帯もあるので、上司と相談し、電話やメールで対応できる仕事をこなしていました。唾ものみこめなかったので、ゴミ箱を抱えながら仕事ができたのはありがたかったです。
その後、時差通勤や時短勤務などを利用しながら職場復帰。「何がつらいか」「どんな条件だったら無理なく働けるのか」を会社側から聞いてくれたので、出産後もこの会社でがんばりたい! という気持ちになりました。
直属の上司は男性だったのですが、上司の奥さんも妊娠中につわりがひどかったらしく「妊婦さんには優しくしてあげるのよ!」ときつく言われていたようです。今度は私が妊婦さんに優しくする番だと思っています。
(40代、長男10才・次男4才、会社員)
一日の中で、起きていられないくらいつらいときもあれば、比較的楽になるときもあるつわりの症状。仕事の内容や状況によっては、可能な範囲で自宅対応できればうれしいですね。それにしても、上司の奥様はすばらしい先輩ママ! もらった優しさは次のママへと受け継がれるんですね。
※マイナビウーマン子育て調べ 調査日時:2019年1月28日~2月4日
助産師・坂田陽子先生からママたちへのアドバイス
つわりの時期、食べられなくて悩む人も多いですよね。つわりの時期は「食べられるものを食べられるだけ、食べたいときに食べる」で大丈夫です。もし、つわりで食べられなくても、赤ちゃんの発育には影響しません。安心してくださいね。つわりの症状は個人差が大きいので、自分に合ったつわりの対処法を見つけましょう!
つわり中の仕事は我慢しなくてはいけない?
働く女性の場合、つわりがつらいときのお仕事には大変苦労されると思います。どのように乗り切ればいいのか考えてみましょう。
まず、参考になるのが厚生労働省による「妊娠中又は出産後の症状に対応する措置」です。これは、男女雇用機会均等に基づくものです。
例えば、妊婦さんが医師からつわり症状について指導を受けたことを会社(事業主)に伝えた場合は、医師の指導に基づいて、妊婦さんが指導されたことを守ることができるよう、会社側は対応をしなければならならないのです。
措置には以下のようなケースがあります。
・作業の制限
(例)常に全身運動を伴う負担の大きい作業から、負荷が軽いデスクワークへ転換し、負担の軽減をする
・勤務時間の短縮
(例)つわりの症状に対応するため、医師の指導に基づき、1日1時間程度、勤務時間を短くする
・休業
(例)妊娠悪阻の症状に対応するため、医師の指導に基づき、症状が軽くなるまで休業する
・作業環境の変更
(例)つわりの症状に対応するため、悪臭のする勤務場所から移動させる
中には、医師から伝えられた指導内容を会社側にうまく伝えられるかどうか自信がない人もいるでしょう。その際は「母性健康管理指導事項連絡カード」という、必要事項を医師に書いてもらい、そのまま会社に提出できる用紙があります。医師とよく相談して、つわり中の仕事も無理しすぎず行えるように対策を行ってくださいね。
母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)
家事の最中や通勤電車のにおい、どうすればいい?
台所で調理する最中のにおいに敏感になる方も多いです。お惣菜を買う、ご家族に作ってもらうのもいいでしょう。湯気がたつと匂いが漂うので、食事を冷やして食べるのもいいですね。
また、通勤者などでにおいがつらいという人も。妊娠悪阻で入院中の患者さんの中には、ミントや柑橘系のアロマオイルをハンカチなどに1~2滴たらして嗅ぐと、吐き気が楽になるという方も多かったです。試してみてくださいね。

マタニティマークはいつから?つけない妊婦さんが急増中な理由とは?
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1563妊婦さんがバッグなどにつけているマタニティマーク。保健所へ母子手帳の交付にいくともらえるものが一般的ですが、最近ではキャラクターがついたものなども出ています。とはいえ、このマタニティマーク。つけない人も増えているそうで……。
気持ちを楽に!
ただでさえつらく感じるつわりの時期、お仕事をしているならばなおさら大変ですよね。
神経質になっていたり、我慢をしている妊婦さんは、内心の葛藤がつわりの症状として出やすい印象があります。あなたの話しやすい人、ご主人やお母さん、助産師などに「つらい気持ち」「不安な気持ち」を話してみてください。赤ちゃんのエコー写真などを見て、自分を元気づけるのもいいでしょう。
どうか、お仕事を無理せず、休みながら、気を楽に、つわりの時期を乗り切ってくださいね。

HP:https://sumire-josanin.com/
(文・構成:マイナビウーマン子育て編集部、監修・解説:坂田陽子先生)
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます