「報告」と「連絡」の違いはタイミング! 意味や使い方・類語【例文】
「報連相」は、報告・連絡・相談を組み合わせた言葉。これらはビジネスシーンでは重要なコミュニケーションですが、報告・連絡・相談の意味の違いを正しく理解できていますか? 今回は言葉の違いや使い方、類語表現を例文付きで解説します。
上司など目上の人に何かを伝えるシーンで、適しているのは「報告」か「連絡」と迷ったことはないでしょうか。その場の勢いで、何となく言葉を使っているという人もいるかもしれません。
この記事では、「報告」と「連絡」の違いを掘り下げてお伝えします。いざ部下に違いを聞かれて明確に答える自信がない方も、ぜひチェックしてみてください。
「報告」と「連絡」の違いとは
「報告」と「連絡」は、「相手に述べる」といった共通点を持つ言葉です。いずれもビジネスシーンにおいて大切なコミュニケーションですが、意味が全く同じというわけではありません。
まずは「報告」と「連絡」の意味を確認した上で、違いを整理していきましょう。
「報告」の意味は「状況・結果を伝えること」
まず、「報告」の意味は次の通りです。
ほうこく【報告】
1.しらせつげること。報知。
2.ある任務を与えられたものが、その遂行の状況・結果について述べること。また、その内容。
(出典:岩波書店『広辞苑 第七版』)
「報告」とは、事の「状況・結果などを知らせること」を意味します。依頼や任務を受けた時に用いられる言葉のため、ビジネスシーンでは主に部下から上司に行われるとイメージできるでしょう。
「報告書」にも使われる通り、情報をまとめて伝えるという意味合いです。
「連絡」の意味は「情報・意思を知らせ合うこと」
次に、「連絡」の意味をチェックしてみましょう。
れんらく【連絡】
1.互いにつらなり続くこと。つらね続けること。
2.互いに関連すること。また、その関連。
3.相手に通報すること。相互に意思を通じ合うこと。
4.つながりがあること。特に交通機関の接続。
(出典:岩波書店『広辞苑 第七版』)
プライベートでもなじみのある「連絡」には、大きく分けて4つの意味があります。メインで用いられるのは「情報を知らせること」です。
通知という言葉にも置き換えられて、情報のみならず、考えや気持ちを知らせる時にも使用できます。
「報告」と「連絡」の違いまとめ
「報告」の意味は「状況や結果を伝えること」で、「連絡」の意味は「情報や意思を知らせ合うこと」です。双方を整理すると、次のような違いが挙げられます。
・伝えるのが先か後か
・まとめか要点か
・義務かそうでないか
「報告」はすでに事が完了した状態で行うものですが、「連絡」は途中段階、もしくはこれから取りかかる状態で行うのが一般的です。
また、「報告」には情報を知らせるとともに、まとめるという意味も含まれています。一方、「連絡」は、シンプルに要点のみ伝えるイメージです。
さらに、主に相手からの依頼や任務を引き受ける意味を含む「報告」には、依頼主に進捗や結果を知らせる義務が伴います。依頼を受けていない突発的なトラブルの伝達などには「連絡」を使うと覚えておきましょう。
「報告」「連絡」と「相談」の違いとは
「相談」の意味は、「相手の意見を聞くこと」もしくは「問題解決に向けて話し合うこと」です。
「報告」や「連絡」はどちらかというと自らが発信するニュアンスが強いですが、「相談」は相手との会話のキャッチボールを重視した言葉といえます。
完了していない状態で行うのは「連絡」と同じですが、要点に絞って伝えるニュアンスは含まれません。
上記のことから、「報告」と「連絡」、そして「相談」はそれぞれ違う意味を持っていると分かりました。ビジネスシーンでよく聞く「報連相」は、仕事を進める上で欠かせないコミュニケーションです。いずれも不足することのないよう努めましょう。
「報告」をビジネスで使う時の使い方【例文付き】
「報告」は、主に上司から仕事を依頼され、その経過や結果を伝えるシーンに重宝する言葉です。直接会って伝えるのが一番ですが、上司が許可すればメールや電話でもいいでしょう。
相手へ知らせる義務が伴うため、進捗をこまめに伝えるシーンや、情報を整理して分かりやすいように結果を知らせるシーンに使いましょう。
例文
「報告」には、部下から上司に情報を伝えるという意味合いがあります。上司に直接伝えるシーンでは、「ご報告いたします」など、敬語を組み合わせて失礼のないようにしましょう。
また、「報告を上げる」も、上司をはじめとする上層部に伝えるニュアンスを持つ便利な言葉です。反対に、部下から伝えられる場合は、「報告を受ける」が適しています。
・本日の売り上げをご報告いたします。
・先ほど、部長に報告を上げておきました。
・その件については、○○さんから報告を受けることになっています。
Check!:「ご報告いたします」の使い方を例文付きで解説。「連絡」との違いは?
「連絡」をビジネスで使う時の使い方【例文付き】
「連絡」は、相手に情報や自分の考え・気持ちを知らせるシーンに使える言葉です。
「報告」のように義務でもなければ、経緯や結果を整理して伝えるといった意味も含まれていません。
ビジネスシーンでは、その時々にあったことを、メールや口頭で伝える言葉として活用できます。それでは、「連絡」を使った例文を見ていきましょう。
例文
「連絡」は、上司に限らず、同僚や部下、家族や友人などプライベートで交流する相手にも使える幅広い言葉です。ただし、上司に用いる時は「ご連絡いたします」と丁寧な言い回しになおして使うのが基本といえます。
また、「連絡する」に加え、一方通行ではなく情報を互いにやりとりするという「連絡を取る」や、連絡をしてもらうという「連絡を受ける」も頻繁に使われます。
・先方から電話が入り次第、折り返しご連絡いたします。
・明日の件で、○○さんに連絡を取ってくれませんか。
・本日の会議は、予定通りの開始時刻との連絡を受けました。
Check!:「取り急ぎご連絡まで」の意味とは? 正しい使い方と例文
「報告」の類語
社内でのコミュニケーションに必須の「報告」には、いくつかの類語があります。さまざまな相手や手段に適した言葉もおさえておきましょう。
「復命(ふくめい)」
「復命」とは、命じられた者が、経過や結末を報告するという意味です。
「報告」とほぼ同じ意味合いを持っていますが、位の高い人からの命令に伴う報告というニュアンスがあります。場合によってはオーバーな表現になるため、相手を絞って使う方がいいでしょう。
「上申(じょうしん)」
「上申」とは、意見を目上の者に申し伝えることを意味します。
主に公的機関や知事、国会議員など、国民を代表する人が対象になる言葉です。
「連絡」の類語
「連絡」は意味の通じやすい言葉ですが、類語を覚えておくといざという時に役立ちます。その場の状況によりマッチする言葉を用いて表現してみましょう。
「伝達」
主に書面や口頭で伝えるシーンに使えるのが「伝達」です。情報や考えのみならず、命令を相手に知らせるといった意味もあります。「連絡」や「報告」の言い換えに適した、バリエーションの1つと覚えておきましょう。
「通信」
日常でもよく耳にする「通信」の意味は、相手に情報や自分の考えなどを伝えるということです。「連絡」と同等の意味合いを持ち、手段は電話やメール、手紙など、対面以外のシーンに使えます。
「コンタクト」
「連絡」を英語に置き換えるなら、「コンタクト」が適切です。相手と連絡をとる・情報を交換するほか、直接会うシーンにも適しています。
社内で「コンタクトをとって」といわれることも少なくないため、把握しておきたいビジネス用語の1つです。
「報告」は「完了後に伝えること」、「連絡」は「途中・前もって伝えること」
「報告」と「連絡」は同じように見える言葉ですが、相手に伝えるタイミングで区別できます。経緯や結果を完了後に伝える時には「報告」を、またこれから起こることや進捗を伝える時は「連絡」を用いるのが適切です。
また、「報告」は相手からの依頼ありきの義務の伴う行動ですが、「連絡」にはそこまでの強制感はありません。とはいえ、「報連相」はビジネスシーンで必須のコミュニケーションです。いずれも欠かさないよう、こまめな報告・連絡、そして相談を心がけましょう。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年04月14日に公開されたものです