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「アンビバレンス」の心理学的意味とは? 原因や具体例、解消方法も解説

笹氣健治(心理カウンセラー)

日常生活におけるアンビバレンスの具体例

前段の(3)で紹介した、肯定的な感情の組み合わせからくるアンビバレンスについて、シーン別のさらに詳しい具体例を挙げてみます。

あなたにも当てはまるものはあるでしょうか?

仕事におけるアンビバレンス

まずは、仕事におけるアンビバレンスを紹介します。

(1)「この仕事を辞めて楽になりたい。でも、この仕事を続けたい」

毎日忙しくて残業が多かったり、身体的につらい仕事をしていたりすると、「この仕事を辞めて楽になりたい」と思うことがあるかもしれません。

でも仕事自体は嫌いではないし、自分に合っていると思うので、この仕事を続けたい気持ちは強い。

そんな時は、楽になりたい気持ちと仕事を続けたい気持ちの間で、アンビバレンスな状態になる場合があります。

(2)「この会社で働き続けたい。でも、別の会社でも働いてみたい」

給料面や仕事の内容に満足しており、今の会社でこのまま働き続けたい気持ちは揺らがない。

でも、まだ若くていろいろチャレンジできるうちに、自分の幅を広げるために別の会社で働いてみたい気持ちもある。

このように、どちらを選べば自分にとってより良いキャリアを歩めるか判断できず、アンビバレンスに陥る場合があります。

他人から見ればぜいたくな悩みだと思われるかもしれませんが、一度きりの人生だと考えると、本人にとっては大いに迷うところでしょう。

恋愛におけるアンビバレンス

次に、恋愛におけるアンビバレンスを紹介します。

(1)「恋人が欲しい。でも、まだまだ独りでいたい」

恋人がいる友人の話を聞いていると、「自分も恋人が欲しい」という気持ちになることもあるかもしれません。

でも、独りでいれば時間もお金も自由に使えるし、休日は気楽にのんびりすることができる。

それを考えると独りの状態も捨てがたく、「まだまだ独りでいたい」とも思うかもしれません。

「体が2つあったらいいのに」、などと都合の良いことを考えたくなるのは、アンビバレンスに陥っているからだといえます。

(2)「恋人にするなら見た目が好みの人が良い。でも、中身も重視したい」

恋人が欲しいと思っていたとしても、付き合えれば誰でも良いというわけではないでしょう。

「恋人にするなら、やっぱりルックスは気になる」という人もいると思います。とはいえ、外見が好みなだけではダメで、もちろん中身も大事。

ルックスも中身も自分好みの人に巡り合えれば良いのですが、どちらかを優先しなければならないとなると、難しい問題になるかもしれません。

私生活に関するアンビバレンス

最後に、私生活に関するアンビバレンスを紹介します。

(1)「痩せたい。でも、好きなものを好きなだけ食べたい」

「雑誌やテレビ番組で紹介されているような、おいしそうなスイーツを好きなだけ食べたい」「でも、そのためには痩せることを諦めないといけないのだろうか……」

これは、ダイエットをしたいと思っている人にとっては、非常に悩ましいアンビバレンスといえます。

(2)「今度の連休は家でのんびりしたい。でも、旅行もしたい」

1年に何回あるかどうか分からない貴重な連休。せっかくだから、日頃できないことをやりたい。

そう思ってワクワクする反面、「混んでいるところに行って疲れるくらいなら、日々の疲れを癒やすために家でのんびり過ごしたい」という気持ちもあるかもしれません。

限られた時間に、体は1つ。これもまた、悩ましいアンビバレンスだといえるでしょう。

(3)「独りで自由に暮らしていきたい。でも、結婚して家族を持ちたい」

自由を求める気持ちは、自然な感情でしょう。

一方、家族を持ちたい気持ちがある人も少なくないはず。

両方の気持ちがある人は珍しくないのですが、家族を持つと自由が制限される場合もあり、両立が難しいことも多いので少々やっかいです。

しかも、本人に「○歳までに結婚したい」という希望があり、そのタイミングを逃したくないという焦りが働くと、このアンビバレンスはより悩ましいものになる場合があります。

次ページ:アンビバレンスが生じる原因

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