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みんな間違えている? 「破天荒」の本来の意味を例文つきで紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「破天荒」の類語(例文つき)

「破天荒」の類語や言い換え表現について以下に紹介します。

「未曾有(みぞう)」

「今までに一度もなかったこと」という意味では「破天荒」と同じです。主に事柄について使います。

例文

・この土地でそれほど凶悪な犯罪が起こるとは、まさに未曾有の大事件です。

「前代未聞(ぜんだいみもん)」

「これまで一度も聞いたことがないこと」という意味で、「破天荒」にかなり近い言葉です。極めて珍しいことや、甚だ驚くべきことなどに使います。

例文

・その年の○○地方での稲作は、前代未聞の凶作だったそうです。

「前人未到(踏)(ぜんじんみとう)」

「今まで誰も到達していない」という意味で、「破天荒」とほぼ同じ意味です。「今まで誰も踏み入れたことがない」という意味の場合には「未踏」の字を使います。

例文

前人未到の記録を成し遂げた彼は、高校時代から精神力の鍛え方が他の生徒とは違っていたらしい。

・その冒険家は長い月日をかけ、ついに前人未踏の地にたどり着いた。

「空前絶後(くうぜんぜつご)」

「過去に例がなく、将来にもあり得ないと思われる珍しいこと」という意味。過去だけでなく、将来にも言及する点が、「破天荒」との違いです。

例文

・その映画は、アニメ映画史上、空前絶後の興行成績を記録した大ヒット作となった。

「前例がない」

「過去に例がないこと」という意味。良い意味である「破天荒」と違い、文脈によって、良い意味と悪い意味の両方に使えます。

例文

・この小さな町から国会議員を輩出するとは、前例がないことだ。

誤解を生まないためには言い換え表現も活用する

この記事では、「破天荒」という言葉を正しい意味で使う場合の例文を紹介しました。

しかし、本来とは違う意味に捉えている人が6割以上にのぼり、メディアや書籍などでも「破天荒な生活」「破天荒な人生」というふうに、「豪快で大胆」という意味で使われていることも多いようです。

「豪快で大胆」という意味の「破天荒」は、半ば市民権を得ているような状況ですね。

このような場合、自分が「破天荒」という言葉を正しく使っても、相手が間違った意味に捉えてしまうとコミュニケーション自体が成り立たないことがあります。

そんな時は、類語や言い換え表現を選ぶ方が誤解を生みません。意味が過渡期にある言葉には、気をつけたいですね。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

※この記事は2021年11月24日に公開されたものです

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師) (ライティングコーチ・文章術講師)

コピーライターとして長年「ことば」に関わってきた経験値を元にまとめた「ほどよい敬語」(https://ameblo.jp/comkeigo/)が好評。過剰さや不適切さを排し、明快に説く内容は「違和感の理由がわかりスッキリした」と質問サイトなどでたびたび引用される。

自治体・団体・医療機関向けSNS活用、文章術研修の講師でもある。

著書に『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』(青春出版社)『前田さん、主婦の私もフリーランスになれますか?』(日本経済新聞出版社)『ソーシャルメディアで伝わる文章術』(秀和システム)など。公益社団法人日本広報協会アドバイザー。

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