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インポスター症候群とは? 要因や特徴チェックリスト&克服するヒント

笹氣健治(心理カウンセラー)

インポスター症候群になってしまう要因

インポスター症候群になってしまう要因について理解しておくことが役に立ちます。

なお、要因については、精神医学での正式な分析がないため、筆者の知識と経験から妥当だと考えたもの紹介します。

うまくいったことを素直に受け止められない

インポスター症候群に当てはまる人の一番の特徴は、自分自身を肯定的に捉えることができない点です。

何かうまくいったとしても、「でも、私には足りないところがある」「もっとうまくやっている人がいる」「今回はたまたまうまくいっただけ」といったように考えて、自分がうまくできたことを素直に受け止められません。

意地でも自分を肯定しないようにしているかのように、とにかく自分を肯定しないのです。

親から認められなかった幼少期

では、なぜ自分を肯定することができないのでしょうか?

その要因として考えられるのが、幼少期の体験です。

例えば、ある少女が親からよく怒られて育てられたとしましょう。

まだ子どもなのでうまくできないことがあって当然なのですが、親自身が優秀であったり、我が子への期待が大きかったりすると、何かミスするたびに、ついつい「あなたはダメな子ね」と言ってしまいます。

場合によっては、兄弟姉妹と比較して「ダメな子扱い」されることもあるかもしれません。

そうやって、幾度となくダメな子だと言われ続けて育つと、その子の心の中に「私ってダメな子なんだ」という自己認識が刷り込まれていきます。

小さな子どもにとって、親の言うことは絶対です。親から「あなたはダメな子ね」と言われれば、「そうなんだ。私はダメな子なんだ」と無自覚で受け止めてしまうのは仕方がないことだと言えます。

また、何かうまくできた時に「よくやったね」と褒められる代わりに、「もっと頑張れ」「次もうまくやれ」といったニュアンスのことを言われ続けた場合も、否定的な自己認識が刷り込まれることがあります。

「できて当たり前なんだ。これくらいで満足してはいけないんだ」と常に思うようになり、自分で自分を肯定的に捉えられなくなってしまうのです。

親が意図するかしないかにかかわらず、親の言動を元に、子どもは自分の考え方のパターンを生み出していきます。

自分自身を肯定的に捉えることができないのも、そうやって生み出されたパターンの1つだと言えます。そして、このようなパターンが、インポスター症候群につながっていくと考えられます。

褒められても「自己否定できる要素」を見つけようとしてしまう

自分自身を肯定的に捉えることができないために、どんなに良い成績を上げても、「私は成功するような人間ではない」と反射的に考えてしまう。

周りから褒められると、「私はみんなから褒められるような人間ではない」と、謙遜ではなく自分を卑下してしまう。

成功しても、褒められても、無意識のうちに自己否定できる要素を何とか見つけ出して、自分を肯定的に捉えないようにする、といったことが起きるのです。

自分を肯定的に捉えられないと、焦燥感・倦怠感などが生じやすくなり、精神衛生上良くありません。さらに言えば、親密な人間関係がなかなかつくれない、ということにもなります。

そこで最後に、インポスター症候群を克服するにはどうすればいいのかについて、簡単に解説したいと思います。

次ページ:インポスター症候群を克服するヒント

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