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玉ねぎの基本と栄養を逃がさない効果的な食べ方

藤橋ひとみ(管理栄養士)

玉ねぎの栄養成分とその働きを、管理栄養士の藤橋ひとみさんが解説。栄養成分を逃がさない調理方法や「冷凍してもOK?」「切るときに涙が出るのを防ぐには?」などの疑問に回答していきます。

玉ねぎは、カレーやシチュー、肉じゃが、味噌汁などさまざまな定番の家庭料理で活躍し、保存性も高く便利な野菜の代表格。常備しているというご家庭も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな私たち日本人の食生活に馴染み深い玉ねぎに着目し、基本的なお話と含まれている栄養成分、そしてその栄養成分を効果的にとり入れられる調理法などについて、詳しく解説していきます。

玉ねぎの基本

玉ねぎは、ユリ科ネギ属の野菜です。原産地は中央アジアから地中海沿岸とされ、栽培の歴史は古く、古代エジプトやメソポタミア文明で始まったといわれています。日本に定着したのは明治時代以降で、戦後、食生活の欧米化にともない消費量が大幅に拡大した野菜の1つです。

日本の主な産地は、北海道、佐賀県、兵庫県で、春に種をまき秋に収穫される北海道産と、秋に種をまき春から初夏にかけて収穫される本州産の、大きく分けて2つがあります。出荷される旬の時期は、北海道産は秋冬(9〜翌3月)、本州産は春夏(4〜9月頃)となるため、通年で出回っている野菜です。

また、よくメディアで「玉ねぎで血液サラサラ!」と紹介されているように、生活習慣病の予防をサポートしてくれるさまざまな機能性成分を含むことが、注目すべき特徴の1つです。[1,2]

玉ねぎの種類

日本で栽培されている玉ねぎの大半は黄玉ねぎと呼ばれるものです。この他、生食用の赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)、白玉ねぎ、小玉ねぎ(ペコロス)、葉玉ねぎ、シャロットなどの種類があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。[2]

黄玉ねぎ

黄玉ねぎは、辛味があり、日持ちをよくするために収穫後1カ月ほど乾燥させてから出荷されるため、保存性が高いのが特徴です。北海道産のものは一般的に水分の含有量が少なく、やや辛味が強く貯蔵性があり、本州産のものは水分がやや多く、甘味がありますが、北海道産のものに比べて貯蔵性はやや低い特徴があります。

ちなみに、黄玉ねぎを収穫後乾燥させないですぐに出荷したものを、新玉ねぎといいます。そのため、水分を多く含んでおり、みずみずしく、甘味も強く、やわらかいことが特徴で、生でもおいしく食べられます。

赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)、白玉ねぎ

黄玉ねぎと比べて辛味や刺激臭が少なく、みずみずしく甘味が強い特徴があり、生食用に適した玉ねぎです。赤玉ねぎは、アメリカからの輸入品だけでなく、北海道や静岡県で生産された国産品も流通しています。

小玉ねぎ(ペコロス)

黄玉ねぎの苗を密植し、成長を抑えながら育てて作られる、直径4センチほどの小さな玉ねぎです。シチューやポトフ等の煮込み料理を中心に使用されています。

葉玉ねぎ

極早生種の白玉ねぎを土寄せし、葉と茎を大きくさせ、早取りしたものです。ネギの出荷が3〜5月に減少していたことがあったため、同時期の代替作物として利用されていました。ネギと同様に味噌汁の具などによく合います。

シャロット

黄玉ねぎをやや小さく、細長くしたような形で、皮をむくと数個に球根が分かれています。辛味が強いため、香味野菜として西洋系の肉料理のくさみを取るために、みじん切りにして使われています。また、スパイスとして、東南アジアの料理にも広く利用されています。

玉ねぎの栄養素と働き

ここからは、生の玉ねぎ(黄玉ねぎ)100g当たりの栄養成分を見てみましょう。大きさにもよりますが、平均的な玉ねぎ1個の重さは約200gなので、下記の表は玉ねぎ約半分に含まれる栄養成分に相当します。

玉ねぎ100g当たりの栄養成分

項目 可食部100g当たりの栄養成分
エネルギー  35 kcal
水分 90.1g
たんぱく質 1.0g
脂質 0.1g
炭水化物 8.4g
ナトリウム 2mg
カリウム 150mg
カルシウム 17mg
マグネシウム 9mg
0.3mg
亜鉛 0.2mg
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.01mg
ビタミンB6 0.14mg
葉酸 15μg
パントテン酸 0.17mg
ビオチン 0.6μg
ビタミンC 7mg
食物繊維 1.5g

出典:文部科学省『「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)データ更新2019年」』一部抜粋 [3]

玉ねぎはみずみずしい食感の通り、水分を多く含む特徴があり、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンCなどの水溶性のビタミン類や、カリウムなどのミネラル類、食物繊維などの栄養素など、さまざまな機能性成分を含んでいます。

玉ねぎ1個で1日分 (※)の約20%のビタミンB6がとれる!

ビタミンB6は、肉や魚に多く含まれているたんぱく質の代謝に必要な栄養素で、免疫系の維持のためにも重要な働きをします。体にためておくことができない水溶性のビタミンで、不足すると皮膚炎や口角炎、舌炎、イライラや気持ちの不安定につながるため、毎日意識をして摂りたい栄養素です。[4]

葉酸、ビタミンC、カリウムにも注目!

葉酸、ビタミンC、カリウムといった水に溶けやすい性質を持つビタミン、ミネラルもとることができます。

葉酸は赤血球をつくり、体の発育に重要な役割をもっています。特に妊活中、妊娠中、授乳中の女性は、意識をして摂りたい栄養素です。ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須であり、細胞を酸化ストレスから守る抗酸化作用がある栄養素、カリウムは体の水分調整に関わる栄養素で、血圧を下げる働きやむくみを予防する働きがあります。 [4]

※成人女性の推奨量または目安量に対して

玉ねぎに含まれる注目の機能性成分とは?

上記の栄養素一覧には掲載されていませんが、玉ねぎには近年注目されている機能性成分が複数含まれています。特に注目すべきものを見ていきましょう。

「血液サラサラ」と言われる秘密は硫化アリルにあり!

玉ねぎの摂取は血液をサラサラにするといわれていますが、その理由は玉ねぎの独特のにおいの主成分である硫化アリルにあります。「血液サラサラ」に導いてくれるのは、硫化アリルの一種であるプロピルメチルジスルフィドという成分で、コレステロールの代謝促進や血栓予防をサポートし、動脈硬化の予防につながる働きがあるといわれています。[2]

話題の「腸活」に役立つオリゴ糖がとれる!

玉ねぎには、今話題の「腸活」つまり、腸内環境の改善に役立つオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖は、食物繊維と共に私たちの腸内にすむ善玉菌を増やす働きがある「プレバイオティクス」の1つです。玉ねぎには、オリゴ糖と食物繊維の両方が含まれていることも、魅力の1つと言えるでしょう。 [6]

抗酸化作用があるケルセチンにも注目!

玉ねぎには、ケルセチンというポリフェノール(フラボノイド色素)の一種が含まれています。品種によって、含有量の差はありますが、一般に赤玉ねぎ・黄玉ねぎの順に多く、白玉ねぎにはあまり含まれていないといわれています。このケルセチンには、強い抗酸化作用があるので、細胞を酸化ストレスから守り、動脈硬化などの生活習慣病の予防につながる働きがあると考えられています。[2,5]

栄養成分を逃がさない! 効果的な食べ方や調理のポイントとは?

さまざまな栄養素や機能性成分を含む玉ねぎですが、ここからは、おいしく効率的に栄養成分を摂るための調理方法を見ていきましょう。

栄養成分を無駄にしないためには、生が一番おすすめ!

玉ねぎに含まれる栄養成分を無駄なく効率的にとれる調理法としては、茹でる、蒸す、炒める、電子レンジ等で加熱するよりも、生のままが一番おすすめです。

その理由としては、硫化アリルや水溶性のビタミン、ミネラル類は、水洗いや加熱など調理の過程で失われる恐れがあるためです。

一方で、ポリフェノールの一種であるケルセチンは加熱しても構造が壊れにくく調理してもほとんど壊れません。そのため、生食から加熱料理まで幅広く活用できる玉ねぎは、ケルセチンの摂取に適した食材であるといえるでしょう。 [7]

水にさらす、塩もみするのはもったいない!

生で食べる時は辛味をとるために、水にさらしたり、塩もみをして下処理をしたりすることが多いと思いますが、その辛味成分は私たちの健康にうれしい働きをしてくれる硫化アリルであることを忘れてはいけません。

血液をサラサラにしてくれる働きがある硫化アリルの一種プロピルメチルジスルフィドを十分に摂取するためには、玉ねぎを切った後、そのもとであるチオプロパナールに酵素が働く時間を与えるために30分程度放置します。このチオプロパナールは水に溶けるので、水にさらすことや塩もみをしないで食べると効果的です。[2]

組み合わせて食べたい、おすすめの食材は?

玉ねぎに含まれている硫化アリルは、糖質の代謝をサポートするビタミンB1の吸収を助けるので、豚肉、鮭(サーモン)などビタミンB1を多く含む食品と組み合わせて調理すると効果的です。加熱することでも硫化アリルは減ってしまうため、豚肉の冷しゃぶやサーモンに生のスライス玉ねぎを添えて食べるのがおすすめです。

また、腸活を意識している方には、玉ねぎに含まれるプレバイオティクス(食物繊維・オリゴ糖)に、プロバイオティクスである発酵食品を組み合わせて食べることをおすすめします。手軽に実践しやすいのは、味噌汁の具材に使うこと。玉ねぎの甘みが引き出されて、おいしく仕上がります。 [5,6]

玉ねぎの豆知識とQ&A

最後に、多くの方が気になっているであろう、玉ねぎに関する豆知識や疑問についてお答えします。

玉ねぎの選び方

料理によく使われる黄玉ねぎを選ぶ時は、

・表皮がよく乾いてツヤがあり、傷などがないもの
・身がよく締まり、重量感のあるもの
・根があまり伸びていないもの
・頭の部分から傷み始めるので、首が固いもの

を選ぶとよいでしょう。[1]

玉ねぎの保存方法

玉ねぎを長持ちさせる保存方法を見ていきましょう。

冷蔵庫には入れちゃダメ!

玉ねぎは、冷蔵庫ではなく、風通しがよく曰の当たらない冷暗所に、ネットに入れて吊るしたり、1個ずつ新聞紙に包みかごに入れたりして保存するのが長持ちさせるコツです。新玉ねぎは、収穫後乾燥させないですぐに出荷されるので、水分が多く、傷みやすいので2~3日で食べきるようにしましょう。[1,2]

冷凍して大丈夫?

玉ねぎは冷凍をしてしまうと、生のシャキシャキとした食感はほとんど損なわれてしまうため、生食用には不向きですが、細胞が壊れるため、すぐに火が通り、味がしみこみやすくなるので、加熱調理用に使う前提であれば、冷凍保存もOK!

冷凍保存をする際には、皮を向いて、くし型切りや薄切り、みじん切りなど使いやすい大きさに切ってから、冷凍用保存袋に平らになるように入れて密閉して凍らせるのがおすすめ。使う際に解凍の手間要らずで、凍ったまま加熱調理に使うことができ、便利です。

丸ごと凍らせる場合も、必ず皮をむき、上下の硬い部分をカットしてから、1個ずつラップで包み、冷凍用保存袋に入れて凍らせましょう。丸ごとスープや煮物に使う際には、解凍要らずですが、カットして使いたい場合は少し解凍をして柔らかくなってから包丁を入れましょう。

冷凍した玉ねぎは、カレーなどに用いるあめ色玉ねぎ、煮物や炒め物、スープなどに使うとおいしく仕上がります。冷凍後は、1カ月ほどで使いきるようにしましょう。

切る時に涙が出るのを防ぐには?

玉ねぎを切った際に、目にしみて涙が出る原因となっている成分は、実は玉ねぎに含まれる注目の機能性成分として紹介をした、硫化アリルです。玉ねぎを切ることで細胞が壊れ、中に含まれる硫化アリルが気化しはじめ、目や鼻に入ると涙や鼻水を出させることとなるのです。

冷蔵庫でよく冷やして切ると、硫化アリルは気化しにくくなり、涙を出さずに調理できることが多いようです。また、他にも気化を防ぐ方法に、切れ味の良い包丁で切ることで細胞の破壊を抑える、換気扇の下で調理をするなどがあります。ポイントは気化した硫化アリルが目・鼻に入らないこと。自分なりの方法を見つけてトライしてみてください。 [5]

玉ねぎを上手に使いこなして、より効果的に栄養成分を摂取しよう!

玉ねぎは、生のままでも加熱をしても、おいしく食べられるので、さまざまな料理で活躍してくれる万能野菜。味噌や酢、醤油、納豆など、発酵食品と合わせれば腸活にも役立つのもうれしいポイントですよね。

今回お伝えした栄養成分を逃さない効率的な食べ方のポイントをマスターして、ぜひ毎日の食卓に取り入れてみてください。

出典

[1] 農林水産省 北陸農政局|今月の園芸特産作物:5月 玉ねぎ
https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201905.html#:~:text=%E4%BF%9D%E5%AD%98%E3%81%AF%E3%80%81%E5%86%B7%E8%94%B5%E5%BA%AB%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%8F,%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%80%82

[2] 独立行政法人農畜産業振興機構|野菜ブック|玉ねぎ
https://www.alic.go.jp/content/001162825.pdf

[3] 文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)』玉ねぎ/りん茎/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06153_7

[4] 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

[5] JAきたみらい|玉ねぎの豆知識
https://www.jakitamirai.or.jp/nousantop/onion/onion3/

[6] 厚生労働省|e-ヘルスネット|腸内細菌と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

[7] 独立行政法人農畜産業振興機構|野菜の機能性研究~玉ねぎのケルセチンによる認知機能改善の可能性~
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/1803/chosa03.html#PAGETOP

(全て2020-09-01参照)

藤橋ひとみ(管理栄養士)

I’s Food & Health LABO.代表。フリーランス管理栄養士として、商品・レシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学研究に取り組んでいる。大のお豆腐好きが高じて、国内外で日本の豆腐の魅力を伝える活動をしているなかで、その原料である大豆自体への興味が深まり、大豆関連の資格の制覇を目指し、学びを深めている。近年は特に、豆腐を作る際にできる「おから」に注目し、日本人に必要な食物繊維の宝庫でもある、おからを有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書に『おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)』

HP:https://is-food-health-labo.com/

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