お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「なるほどですね」は上司に失礼? 正しい敬語の使い方を解説

井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)

「なるほどですね」が口癖になってはいませんか? この言葉、敬語として間違いではないのでしょうか。また、ビジネスシーンで使っても問題はないの? 言い換え表現とともに、敬語講師で、All About「手紙の書き方ガイド」を務める井上明美さんが正しい使い方を解説します。

「なるほどですね」は、人と話をする際の相づちなどで耳にする言葉です。

特に若い世代の方が使う頻度は高いようですが、実際には正しい表現なのかどうか迷ったり、中堅世代の方からは気になる言葉として挙げられたりと、時折問題になることも多い表現です。

では、なぜ、問題になるのか? そして、よりふさわしい表現は? 言葉の意味や使い方を詳しく見てみましょう。

そもそも「なるほど」の意味とは?

「なるほどですね」の基本に戻って、まずは「なるほど」意味を見てみましょう。「なるほど」とは、次のような意味を持ちます(小学館『デジタル大辞泉』より)。

1.他人の言葉を受け入れて、自分も同意見であることを示す。たしかに。まことに。

2.その範囲でできるだけのことをする意を示す。なるべく。

3.相手の言葉に対して、その通りであると同意する気持ちを表す。

多くの場合は、1や3のように相手の言葉を受けて、自分も同意見であるようなときに使われることが多いでしょう。また、自分自身で、「たしかにそうだなあ」と思ったり、納得したりする気持ちを表すときにも用いられます。

ビジネスシーンで使うには注意が必要

相づちという意味では、ビジネスの場で使っても“間違い”という類のものではないでしょうが、どんな場面でも、また目上、目下誰にでも使えるかというと、そうとはいえません。

もちろん、使用の個人差や捉え方の違いもあるため、中にはあまり気にならない、抵抗感がないという人もいるでしょう。

「なるほどね」への抵抗感は地域によって違う?

この使用頻度や許容度は、地域によっても異なります。NHK放送文化研究所がウェブ上で行ったアンケート調査では次のような結果が出ています。

九州・沖縄地方は「なるほどですね」という相づちを聞いたことがある人の割合がほかの地域に比べて多く、また「抵抗感がある」という人は少ないことが明らかになりました(『NHK放送文化研究所』の調査より。2006年2~3月実施、1530人回答)。

このように、やや地域によっての使用頻度や、捉え方の違いもある言葉なのです。

ビジネスの場面では違和感を覚える人も

また、友人同士や親しい間柄で用いるのならばあまり気になることもないのでしょうが、改まった場では不自然、連発されると違和感を覚える……など、気になるという声もよく耳にします。

「なるほど」とは、先に述べたように、相手の言葉を受け入れて自分も同じ意見であることを示すような意味を持ちます。その「なるほど」に丁寧語の「です」が付いて、やや丁寧にしたものが「なるほどですね」にあたるのでしょう。

しかし、いくら語尾の「です」が丁寧であっても、場合によっては偉そうに聞こえかねないという点で問題になるのだと感じます。

「なるほど」が偉そうに聞こえてしまう理由

偉そうに聞こえかねないというのは、「なるほど」が、相手の話を自分が評価して考えを述べるというように、評価を下すというような響きを与えるためです。

ゆえに不愉快に感じる人もおり、目上の人に対しては注意が必要な言葉。時には言い換えが好ましいといわれたりもするのでしょう。

「言い方」によっても印象が変化する

また、言葉はそれを発する際の態度にも問題があることが多いものです。

中には、「なるほど~」「なるほどですね!」と言いながら腕を組む例、「うん、うん、なるほどですね」などというラフな例も目にします。

相づちを打つ態度や話し方の癖は、案外自分では気付きにくいもの。だからこそ、どんな印象を与えているか省みる必要があるのです。

▶次のページでは、「なるほど」の使い方と言い換え表現を紹介します。

次のページを読む

SHARE