「なるほどですね」は上司に失礼? 正しい敬語の使い方を解説
相手や場面別「なるほど」の好ましい言い換えと敬語表現
では、相手や場面によって、どのような言い換えが適切なのでしょうか。
「なるほど」を使っても不自然でない例
対等な間柄や、ややくだけた場面で「なるほど」を使うことはなんら不自然ではありません。
例えば、以下のような場面では「なるほど」が使えます。
例文
・「なるほど、そういう話の映画だったんだ」(友人と)
・「なるほど、それはいい案だね」(上司が部下に)
目上の人にも使える丁寧な言い換え表現
改まった場面や目上の人と話す場面では、次のような言い換えが好ましいでしょう。「なるほど」が持つ複数の意味に分けて、代わりの表現を紹介していきます。
(1)「言う通りですね」の意味
・「本当に、おっしゃる通りですね」
・「おっしゃる通りと存じます」
・「(私も)お話の通りと感じます」
(2)「わかりました」の意味
・「さようでございますか」
・「かしこまりました」
・「(たしかに)承りました」
・「承知いたしました」
(3)話の続きを尋ねる意味
・「それでどうなさったのですか」
・「その後はどうなさったのですか」
(4)「良かったですね」や「大変ですね」の意味
・「それは何よりです」
・「何よりでございます/何よりと存じます」
・「それは大変でいらっしゃいましたね」
(5)驚きの意味
・「今伺ってびっくりいたしました」
・「初めて伺いました」
・「全く知りませんで/存じませんで驚きました」
一聞すると「なるほどですね」は丁寧な言い回しのようにも感じますが、これらの表現を使えば相手を不快にさせることなく、同じ意味を伝えることができます。
「なるほどですね」を使う場面に注意しよう
たとえ、意味上は間違いとまでいかなくても、伝え方によっては思わぬ不快感を与えてしまいかねないのが言葉の難しさです。
言葉は時代によって変化することもあるものですから、その正誤を判断する基準もひとつではありません。
正しい言葉・表現を使おうという心構えはもちろん必要ですが、もっとも大切なのは、相手にどう伝わるかという言葉の響きや心くばり。相手や場面に適したより自然でふさわしい表現、礼を欠かない表現を選びたいものですね。
(井上明美)
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※この記事は2020年03月13日に公開されたものです