
巨乳化する日本の女性と反比例する男性の結婚意欲
未婚率の上昇、若者の恋愛離れ、男性の結婚意欲の低下……。婚活女子にとって耳をふさぎたくなるような情報が巷にはあふれています。そこで、独身研究家の荒川和久さんに、知らないと困る“結婚と恋愛の数字”について教えてもらうことにしました! つい現実から目をそむけたくなりますが、正しい情報、正しい数字を知って、婚活難を乗り越えましょう。
女性が巨乳化すると結婚数が減る。
そう言われたら、どう思いますか? むしろ逆じゃないのか、と思いますか?
昨今、女性のバストサイズはかなり大きく伸長しています。
トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社による「下着白書 vol.19」によれば、1980年58.6%を占めていたAカップが、2018年にはわずか2.1%にまで縮小し、かわりに、4.5%だったDカップ以上が2018年には53.1%と大きく伸長しました。Eカップ以上でも26.8%と、4人に1人はEカップ以上ということになります。
興味深いのは、この女性のバストサイズの推移と34歳までの初婚女性の婚姻数の推移とを見ると、完全な「負の相関関係」にあるということです。
相関係数=マイナス0.9712ですから、ほぼ「-1」に近い強い相関です。※相関係数が1に近いほど強い正の相関を、-1に近いほど強い負の相関を表す
つまり、「女性が巨乳化すると男たちは結婚しなくなる?」という仮説が成り立つわけです。
あくまで相関ですから、「女性が巨乳化すると婚姻数が減る・未婚化が進む」などとそこに因果を求めてはいけませんが、この相関に「逆ではないのか?」と思う方も多いのではないでしょうか?
全般的に男性は「女性のおっぱいが好きである」というイメージがあると思います。女性のバストサイズが上がるのであれば、むしろ婚姻数は増えると考えるほうが辻褄が合う、と。
今回は、余計なお世話といわれるかもしれませんが、そのあたりについて考えてみたいと思います。
日本における「おっぱい文化」の歴史
江戸時代は性的に重要視されていなかった
実は、元来、日本の男性たちは、女性の乳房にあまり性的魅力を感じてはいなかったという説があります。
江戸時代、美人画や春画が栄えましたが、男女のセックスシーンを描いた春画でさえ、女性の乳房に対しては、有名な葛飾北斎の『喜能会之故真通』中の一場面(通称「蛸と海女」)に見られるように、乳房と乳首は、子どもの落書きのようなぞんざいな描かれ方をしています。
これは、江戸時代まで、乳房は主に「子育ての道具」と認識されていたようで、男性にとっての性的関心の対象外だったからといわれています。当時、銭湯は男女混浴でしたし、女性の裸体というものが「秘められたもの」ではなかったからという見解もできます。
鈴木春信や喜多川歌麿及びその弟子筋の描く春画の中には、乳房を性的対象と表現したものも存在することはしますが、圧倒的に点数は少なかったようです。
戦後1950年代後半「グラマー」な女性が注目される
日本において「おっぱい文化」が花開いたのはやはり、戦後です。
今では死語ともいうべき「グラマー」という言葉があります。日本では、1950年代後半頃から使われるようになりました。
実は、英語の「glamour」とは、「魅力的な美貌」全体を指す言葉でもあり、肉体だけを指すものではありません。しかし、日本では主にいわゆる「ボンキュッボン」という大きな胸・くびれたウエスト・大きなお尻というプロポーションを指す言葉として広まった和製英語です。
1959年、ミス・ユニバースで児島明子さんが優勝しますが、彼女は168㎝の高身長に、B94W58H97という現代の女性も驚く、まさにグラマーな女性でした。
1960年代後半「ボイン」という言葉が流行
「グラマー」と同じように現代では死語化している「ボイン」という言葉が世に輩出されたのは1960年代の後半、日本テレビ『11PM』という番組内でした。
司会の大橋巨泉さんが放送中に、アシスタントだった女優・朝丘雪路さんの胸を「ボイン」と言ったことから流行ったとされています。今ならセクハラ発言だと、大問題になるはずです。
その後、60年代後半から70年代に入り、ミニスカートを大流行させたファッションモデルのツイッギーの来日などで、一時期スレンダー美女時代に突入しましたが、70代後半に元祖グラビアアイドルと評されるアグネス・ラムの登場により、再度女性の胸に注目が当たります。
1980年代「巨乳」のグラビアアイドルが多数登場
80年代に入り、野田義治社長率いる芸能プロダクションのイエローキャブが、堀江しのぶ、かとうれいこ、細川ふみえ、雛形あきこ、佐藤江梨子、小池栄子、MEGUMIなど胸の大きなグラビアアイドルを次々とデビューさせ、ここで「巨乳」という言葉が定着したといわれています。
偶然か、以降女性のバストサイズが右肩上がりに伸び、冒頭のグラフの通りとなっていったわけです。