むくみに効く漢方薬とは? 症状による漢方薬の選び方
むくみに効果的な漢方とは?
漢方の特徴についてよくわかりました。では、漢方がなぜむくみに効果的なのか、また、むくみにオススメの漢方について古屋先生に教えていただきました。
漢方がむくみに効果的な理由
古屋:漢方医学において、むくみとは「気・血・水」の「水」が停滞した状態のことで、場合によっては「気」の不足が加わることもあります。漢方薬は、この「気・血・水」のバランスを整えます。植物の茎や根、哺乳類の化石、鉱物など自然由来の成分“生薬”が原料の漢方薬は、その“生薬”を複数組み合わせているため、ひとつの漢方薬で複数の症状に対応でき、原因不明の“未病”や体質改善にも効果的です。またむくみの主な原因は「冷え」「リンパの流れの停滞」「体質」の3つで、その中でも特に女性に多いのが「冷え」です。体を温める効果がある漢方薬は、冷えの解消にとても有効と言えます。
むくみにオススメの漢方薬
五苓散(ゴレイサン)
利尿作用や体内水分量を調整する作用があり、“むくみに効果的”と言われる一般的な漢方薬です。飲酒前に服用すると、悪酔いや二日酔いの防止にも効果があります。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
手足が冷たくなりやすい冷え性体質で、生理痛のある人にオススメです。生理前は水分をため込む時期なのでむくみやすくなりますが、利尿作用があるので効果的です。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリュウガン)
むくみがあって、顔はのぼせるのに足が冷える人にオススメです。血液の循環を促進し、利尿作用があります。
【体質による漢方の選び方】
朝起きたら顔がパンパンになるタイプの場合、冷え性体質なら「当帰芍薬散」、冷えのぼせ体質なら「桂枝茯苓丸」が効果的です。
防已黄耆湯(ボウイコウギトウ)
下半身がむくむ人、特に立ち仕事やデスクワークなどで足がむくんだり、夕方、靴がきつくなる人にオススメです。体質的には汗をかきやすくポッチャリ体形で、水太りタイプの人に。服用することで体内の余分な水分が排出されて、体重が減ることもあります。
猪苓湯(チョレイトウ)
膀胱炎などの排尿障害があり、足がむくむ人にオススメです。体内にたまった余分な水分を排出する利尿作用があるため、水分代謝を改善します。
人参湯(ニンジントウ)
胃が冷えていて、下痢気味の人に。利尿作用があるので、下痢の改善とともにむくみの解消を促します。
真武湯(シンブトウ)
「水」が滞っている状態に効果のある漢方薬。腸が冷えていて、下痢気味の人にオススメ。