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【妊娠出産のウソ&ホント】妊娠中に海外旅行に行っちゃダメってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

ヨダヒロコ/六識

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

赤ちゃんが生まれたら、なかなかできなくなることのひとつが「旅行」。その行き先が海外なら、なおさらです。だから、生まれる前に行っておきたいと思う妊婦さんは多いようですが、そもそも海外旅行に行ってもいいものなのでしょうか? 飛行機の気圧が赤ちゃんに悪影響を及ぼすのでは? なんて心配も……。今回は、そんな妊娠中の海外旅行にまつわるウソ&ホントに迫りました! 産婦人科医の尾西芳子先生に解説してもらいましょう。

本日の「ソボクな疑問」

Q.妊娠中に海外旅行に行っちゃダメってホント?

rf59940727_o<読者の声>

・飛行機に乗っても大丈夫なのか。渡航中に体調が悪くなったらどうしたらいいのか。(33歳/医療・福祉/専門職)
・海外にいる間に何かがあって医療機関を受診したとき、自己負担がとても高くなるのではないかと思う。保険は適用になるのか疑問に思う。(33歳/学校・教育関連/専門職)
・初期であれば体調に配慮して行けば大丈夫なんじゃないかと思う。(24歳/機械・精密機器/秘書・アシスタント職)
・安定期に入っていればいいと思う。(25歳/生保・損保/事務系専門職)

尾西先生のアンサーは!?

ホント答えは……
ホントです!

基本的に、妊娠中の海外旅行はオススメしていません。理由はさまざまありますが、一番大きな理由は「海外で何かあった場合に自分で対処するのが困難だから」ということです。

まず、言葉の問題があります。そして、医療制度も国によって大きく違います。日本の保険が適用されないことも多いため、時には高額な医療費がかかることもあります。海外旅行中に早産になり、赤ちゃんが現地のNICUに入ったため、医療費や滞在費などを含めて1,000万円単位の出費があった、なんて人も実際にいます。

妊娠初期はお母さんが旅行をしたから流産しやすくなるということはないですが、初期はそもそも流産率が高い時期ですし、つわりで旅行が楽しめなかったという話もよく聞きます。安定期も、たしかに旅行するには一番いい時期ではありますが、流産や早産の可能性は必ずあります。それに、旅行へ行くと、つい動きすぎてしまったり、食べすぎてしまったりもしますし、食あたりや赤ちゃんに影響の出る感染症にかかってしまう可能性も……。そういう意味でも、妊娠中は全期間を通じて海外旅行は避けたいものです。

また医学的なことを言うと、飛行機での移動は長時間同じ体勢を強いられるため、おなかが張りやすくなります。飛行機の気圧を心配される人が多いですが、実は気圧が赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありません。

むしろ、狭い座席に長時間座っていることが問題。妊娠中は血が固まりやすく、普通の人に比べてエコノミー症候群のリスクもかなり上がるということは自覚しておきましょう。飛行中に万が一、体調が急変して不時着せざるをえなかった場合には、ほかの乗客にも迷惑がかかってしまいますし、賠償金を請求されることもありえます。

「渡航中に体調が悪くなったらどうしたらいいのか」という相談についてですが、旅行会社を通して行っている場合は、その旅行会社に連絡するなど、緊急連絡先をしっかり確認しておきましょう。

このように、妊娠中の海外旅行はさまざまなリスクが想定されます。生まれる前に海外旅行へ行っておきたいという気持ちもわかりますが、赤ちゃんと自分の体のことを第一に考えて判断したいですね。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

次回の更新は5月13日(土)です。お楽しみに!

※一部画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2017年05月06日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

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ヨダヒロコ/六識

女性向けライフスタイル情報誌&Webサイトの編集者を経て、 2013年に制作プロダクション「六識」をスタート。「働く女性が笑顔でいられる生き方を応援したい」という想いで、グルメや美容、マネー、恋愛・結婚をテーマにした記事の構成~執筆を行う。2児の母として、時短グッズの情報収集に余念がない。仕事・家事・育児に追われる日々の中、月に一度のネイルが癒しに。

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