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【新連載】偶然再会した彼は、私の過去の汚点を知る人物で……

そんな町からは、できるだけ早く離れたい。

だけど列車はびくともしない。
スマートフォンの液晶はもう20分も、
時が過ぎたことを示している。

周囲では痺れを切らした何人かが口を手で覆い、
携帯で会社や家に連絡をとり始めた。
わたしも会社に帰社できない可能性を連絡する。
と、向かいの男性がじっとこちらを見ている。

目が合うと、男性は話しかけてきた。
「ひょっとして東城……菜緒さん?」
「……はい」
「ぼく、原です。原 智幸。
中学3年生の時、クラスいっしょだったの、
おぼえてない?」
そう言われると記憶の彼方から、
ゆっくりとその当時の彼の顔がよみがえる。

「うそっ、原くん! うわあ、ひさしぶり!」
驚いた。
当時は目立たなかった原くんだけれど、
今はすっかりステキになって。
と同時に……。
この人は、わたしの過去の汚点を知っている。
そう思うと急に、逃げ出したい気分に駆られた。

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