【新連載】偶然再会した彼は、私の過去の汚点を知る人物で……
わたしも気持ちだけは中学生でも、
体は当時のように身軽ではなく、
深い雪にブーツをとられ何度も転びそうになる。
一度、雨どいのそばの固まった雪の上で、
つるりと転んでしまい、
原くんに手をとって助け起こしてもらった。
男の人と手をつなぐなんて、何年ぶりだろう。
「ねえ、東城さん。
突然だけど、今週か来週の土日に会えない?
いっしょに中学校を見に行こうよ」
あの中学校に、もう一度行く。
人の心の習慣とは怖しいもので、
考えただけで、胃の辺りが急に重くなった。
でもこの機会を逃したら、一生行けないだろう。
そして、ともに中学校へ行ってくれる人なんて、
それこそ一生、巡り合えない気もしてくる。
「うん。じゃあ、来週の土曜日に、
わたしたちの母校を見に連れて行って」
それからやっとの思いでJR駅にたどり着くと、
わたしたちは上りと下り、
それぞれの列車に別れて乗り込んだ。