【新連載】偶然再会した彼は、私の過去の汚点を知る人物で……
わたしは原くんの言葉に、静かにうなずいた。
「だからその頃、幼かったとしても、
それが自然で普通のことだと思うんだ」
「うん。自分ではあまり成長した実感ないけど、
でもいくらなんでも、この子たちといっしょ、
ということはないと思う」
「そうだよね。ねえ、ちょっとお茶でも飲まない?」
わたしたちは、万年塀から離れると、
またしばらく歩いて、近所のカフェに入った。
たしか昔は、駄菓子屋さんだった店だ。
原くんはカフェオレ、わたしはミルクティー。
さっきは、わたしたちはもう中学生とは違う、
と思ったけれど。
でも原くんを見ていると、見た目は当時と変わっても、
その人の雰囲気というか、佇まいというか、
そうした目に見えない何かは、
まったく変わらないんだな、と思う。
「でもわたしはやっぱり今でも、
人付き合いはあまり上手じゃないかも。
根本的な部分では、きっとあまり変わってない。
だけどそういう自分も、悪くない気がしてきた」