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風邪には葛根湯って言うけど、飲むタイミングが命って知ってた? 効かないのはその飲み方が原因かも!

S子「今朝ぐらいからです。寒気がして、ちょっと頭が重たいです」
丸山先生「汗は出ていますか?」

S子「汗ですか? 悪寒はするんですが、汗はかいてないです」
丸山先生「よく風邪をひきますか?」

S子「体力にはわりと自信があるんですが、最近ちょっと疲れているのかもしれません。1カ月前も風邪をひいてしまって、そのとき薬局で葛根湯を買ったんです。でも効かなくって、治るまで1週間ぐらいかかりました」
丸山先生「ふむふむ……」

S子さんの体質や体の悩みをまとめると…

・最近仕事が忙しい
・風邪のひき始めの症状
・悪寒、頭痛、微熱はあるが、汗はかいていない
・首のうしろと肩がすごく凝っている、関節痛が少しある
・1カ月前にも風邪をひき、葛根湯を飲んだが効かなかった
・もともとは体力があるほう

S子さんの初診問診票はこんな感じです。あなたの傾向とは似ている? 似ていない?

丸山先生「S子さんには葛根湯を処方します」
S子「ええーっ!」

丸山先生「では説明しますね、まず……」
S子「ちょっとちょっと先生、さっき言いましたけど、私1カ月前に葛根湯を飲んで全然効かなかったんです。だから別の漢方薬のほうが……」

丸山先生「実は、S子さんが1カ月前に葛根湯を飲んで効かなかったのには理由があるんです。葛根湯は風邪の初期、ひき始めに飲まないと効果がない漢方薬なのです。1カ月前に飲んだときは、風邪をひいてどのぐらいたっていましたか?」
S子「最初は『まあ大丈夫かな』って思ったし、忙しくてなかなか薬を買いに行けなかったので、風邪かなって思ってから3日ぐらいたっていたと思います」

丸山先生「それでは遅いんです。『ひき始め』といってもちゃんと定義があって、その目安となるのが『発汗があるかどうか』です。風邪をひいて発熱すると、熱を下げるためにじわじわと発汗しますが、そうするともう葛根湯のタイミングではありません」

丸山先生の初心者講座1

漢方薬の教科書『傷寒論(しょうかんろん)』には、要約すると「首が凝っていて、悪寒がして、汗が出ない」ときが、葛根湯を飲む適切なタイミングと書いてあります。

S子「そうなんですか。全然知りませんでした。葛根湯って、『体にやさしい風邪の薬』ぐらいのイメージでした」

丸山先生「風邪のときに処方する漢方薬はいくつかありますが、飲む時期や症状、体質を見て選ぶことが大切なんですよ。汗をかく前がいいので、1包目は帰る前にここで飲んでいきましょう」
S子「わ、わかりました!」

丸山先生「家に帰って、1時間ぐらい布団に入ってあたたかくして、それでもまだ汗が出ないようだったらもう1包服用してみてください」
S子「時間をあまり空けず飲んでも大丈夫なんですね」
丸山先生「S子さんは基本的には実証(※)寄りで体が丈夫なタイプのようですし、汗が出てくるまでは、あまり時間を空けずにもう1包服用しても大丈夫ですよ。体を中からあたためて『発汗を促す』のが葛根湯の仕事なんです」
(※)実証については、第7回で詳しく触れています。

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