睡眠薬を使わずに質のよい睡眠をとるためにはどうすればいい? 漢方薬が有効!?
R美さんの初診問診票はこんな感じです。あなたの傾向とは似ている? 似ていない?
丸山先生「R美さんには帰脾湯(きひとう)を処方します」
R美「はあ……。Q子に処方された漢方薬とちがうんですね」
丸山先生「はい。不眠症にもいろいろなタイプがありますが、R美さんは『元気のない不眠症』のタイプです。R美さんはもともと虚証(※)の人ですが、ストレスや疲れが溜まりすぎて『気血両虚(きけつりょうきょ)』の状態になっています。この『気血両虚』の状態になり、特に睡眠障害を伴ったときに用いるのが帰脾湯なんです」
R美「『気血両虚』……?」
(※)虚証については、第7回で詳しく触れています。
丸山先生「『気血両虚』の『気』はエネルギー、『血』は血や栄養分のことで、エネルギーと栄養分が両方足りない状態のことです。ちなみに、西洋医学で言う貧血は、『血虚』の状態です」
R美「元気が足りないから睡眠の質も悪いということなんでしょうか?」
丸山先生「そうですね。熟睡するためには『気』や『血』が十分にあって、それらがうまく体をめぐることが必要ですから、体も心も疲れきっているためにうまく眠れないということはあります」
丸山先生の初心者講座1
体に異変が起こったとき、まず最初に不調を感じるのが睡眠や食欲です。大したことがないから、仕事には行けるからといってこれを放っておくと、さらに体調が悪くなることもあります。女性の場合、「食欲がないのはダイエットにちょうどいい」などと考える人もいますが、危険です。
R美「わかりました。本当はアフターファイブにご飯を食べに行ったり習い事をしたりもしたいし……。元気になるために飲んでみます」