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【新連載】ダイエット目的で入会したジムで出会った、運命の人!?

「実は時間がないので、ゼリー飲料だけです」
笑顔のコーチに、とてもはずかしい気持ちで答える。
「朝食を食べてから運動しましょう。危ないです」
長嶺コーチは力強い口調ながら、
やはり、あくまでも笑顔でそう言った。

それから、しばらくの沈黙の後。
コーチのポケットのスマートフォンに、
電話の着信があった。
その時、長嶺コーチがすばやくとって、
電話に出るその瞬間、
わたしの目は、スマートフォンの待ち受けに、
赤ちゃんの画像を使っているのを見てしまった。

ああ、コーチにはお子さんがいらっしゃるんだ。

その時、長い夢から覚めるような、
悲しいというより、むしろホッとしたような、
不思議な感覚が全身をとらえた。

わたしはコーチが電話を切るのを待って
「待ち受け画像、お子さんですか?」と聞いてみた。
「ええ、この夏に生まれたばかりなんです。
同僚とよく親バカ合戦やってるんですよ」
その時の長嶺コーチの、蕩けそうな笑顔。

そうだよね。こんな素敵な人に、
パートナーがいないわけないよね。
その日、わたしの失恋は決定的になった。

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