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生理中にセックスしたらダメ? 妊娠しないって本当? 想定されるリスクとは

セックスの基礎知識

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

及川夕子

生理中なのに、そういう雰囲気になることだってありますよね。

もしかしたら、「生理中なら妊娠しないからコンドームなしで!」なんて彼氏に迫られて、許してしまったことがある人もいるかもしれません。

でも、そもそも「生理中のセックスでは妊娠しない」って本当なのでしょうか?

生理中のセックスでも妊娠する

女性が最も妊娠しやすいのは、排卵⽇の2日前から排卵日までの間。だからといって「生理中ならセックスしても妊娠しない」というのは間違いです。

妊娠を望まないのであれば、生理中でもなんらかの避妊は必要です。その理由を詳しくみていきましょう。

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産婦人科医が生理中に性欲が強くなる理由とセックスにおけるリスクについて解説します。

「排卵期出血」を「生理」と勘違いしている場合がある

実は、排卵日の数日前から、少量の出血が起きることがあります。これは「排卵期出血」や「中間期出血」と呼ばれるもので、生理の出血とは異なります。

排卵期に一時的にエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減少することなどが原因で起こり、多くの場合、病的なものではありません。

この場合、出血から数日以内に排卵するので、出血したタイミングでセックスすれば妊娠する可能性があります。

排卵期出血は少量で生理と違ってすぐに治まることが多いものですが、前回の生理がいつ来たか覚えていなかったり、普段から生理周期が乱れたりしがちな人では生理と勘違いする可能性も。

「出血=生理ではない場合もある」ことは、覚えておきましょう。

精子が生き残っているうちに排卵する可能性がある

精子の生存期間と妊娠の可能性

排卵された卵子の寿命は約24時間とされていますが、精子は性交後約3日間~最大5日間、女性の体内で生存可能といわれています[*1]。

つまり、生理の終わりごろにセックスをして、精子が生きているうちに排卵が起きれば妊娠する可能性はあるのです。

特に生理の終りかけの時期のセックスでは「十分妊娠する可能性がある」ことを忘れずに。コンドームをつけるなどの避妊はマストです。

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安全日と危険日とはいつでしょう? また、生理前や生理中は避妊しなくてもいいという噂は本当でしょうか? そもそも確実に妊娠しない「安全日」って本当にあるのでしょうか?

生理中のセックスがあまりおすすめできない理由

ここまでで、生理中でも無防備なセックスでは妊娠する可能性があるということを紹介しました。このほかにも、生理中のセックスにはあまりおすすめできない理由があります。

生理中は普段よりも体がデリケート。そんな状態でセックスをするとどんな影響があるのか、自分の体を守るためにも、正しく理解しておきましょう。

細菌やウイルスなどに感染しやすくなる

そもそも性行為自体が、感染リスクの高い行為なのですが、生理中のセックスは、血液と接触することになるため、HIVやその他の性感染症に感染するリスクがより高まります。血液を介して感染するC型肝炎などのリスクも高くなります。

セックスによって月経血が子宮内や卵管に逆流することで、細菌やウイルスがお腹のなかに拡散されやすくもなります。

感染から自身はもちろんパートナーの体を守るためにも、生理中のセックスは控えるのがベター。どうしてもセックスをしたい場合には必ずコンドームを使用するようにしましょう。

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性感染症とは?

おもにセックスでうつる病気のこと。梅毒、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症などがあり、HIV感染症のもその一つです。口や喉、肛門から感染することもあります。

すでに性感染症を持っていることが明らかな場合には、互いに安全な方法を考える必要があるでしょう。最初から最後までコンドームを正しく使うようにすると、感染のリスクを減らすことができます。

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子宮内膜症のリスクを上げる可能性も

子宮内膜症のリスクを上げる可能性も(月経血の逆流)

子宮内膜症は、子宮内膜組織が、子宮以外の場所で増殖・はがれるを繰り返す病気。生理中のセックスは、「子宮内膜症のリスクを上げる可能性が理論上ありえる」といわれています。

子宮内膜症は、卵管を逆流して、子宮の外(腹腔)にもれ出た月経血(子宮内膜組織)が子宮の裏側などにくっつき、増殖することで起こるとされていますが、生理中にセックスをすることで、その逆流を促してしまう可能性があるのです。

子宮内膜症になると、子宮内膜以外の場所で増殖した組織が生理の時に子宮内膜と同様にはがれて出血を起こします。

それが、お腹の中に溜まって周囲の組織と癒着するなどのトラブルを起こします。その結果、生理痛や不正出血、過多月経が見られたり、不妊の原因になったりします。

互いを思いやり、安全な時期にセックスを楽しむようにしたいですね。

生理中の不調でそれどころではない/痛みの悪化も

生理中は子宮内膜がはがれ落ちている時期にあたり、腟や子宮内部は軟らかく傷つきやすい状態になります。

また、骨盤内の臓器が充血して神経が圧迫されることで、下腹部の重だるさ・痛みや腰痛があることも。そのため、いつもよりセックスで痛みを感じやすくなる人もいるかもしれません。

また、頻尿、便秘や下痢、乳房の腫れや痛みのほか、疲れ、頭痛、めまい、吐き気、眠気などもよくある症状で、生理中には40~60%の女性がこうした不快な症状を感じていると言われています[*2]。

相手が求めてきても負担に思うときには、「ノー」と言えることも大切です。

生理中はできるだけ無理をしないで

このように生理中でも無防備なセックスには、妊娠の可能性があります。また、感染症や子宮内膜症のリスクも高まります。

パートナーとのスキンシップも大切ですが、生理中は体をいたわることを第一に考えて過ごしたいですね。

もし、どうしても生理中にセックスがしたくなったら、出血の多い日は避けて必ずコンドームを使うことを心がけて。

生理が不規則で把握できず、デートで困ることが多いなら、低用量ピルなどで生理周期をコントロールするのも一つの方法です。低用量ピルは婦人科で処方してもらえますよ。

互いの体を思いやり、無理のないセックスを心がけましょう。

(文:及川夕子/監修:宋美玄先生)

※写真はイメージです

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

参考文献
[*1]アメリカ産科婦人科学会 Fertility Awareness-Based Methods of Family Planning
https://www.acog.org/Patients/FAQs/Fertility-Awareness-Based-Methods-of-Family-Planning?IsMobileSet=false
[*2]NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 第3版, p31, 医歯薬出版, 2004.

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