「務めさせていただきます」の正しい使い方とは? 言葉の意味と注意点・言い換え表現
「務めさせていただきます」を使う時の注意点
続いては、「務めさせていただきます」を使う時の注意点について紹介します。
(1)「務める」「勤める」「努める」の違いに注意
「つとめる」という言葉にはいくつかの漢字表記があり、それぞれ意味が異なります。
つと・める【務める】
[動マ下一][文]つと・む[マ下二]《「努める」と同語源》ある役割や任務を引き受けて、その仕事をする。「代理人を—・める」「主役を—・める」「相棒を—・める」
(『デジタル大辞泉』小学館)
つと・める【努める/▽勉める/▽力める】
[動マ下一][文]つと・む[マ下二]
1 精を出して仕事をする。努力して事を行う。「看護に—・める」「サービスに—・める」2 無理をしたり、がまんしたりして行う。こらえてする。「泣くまいと—・める」
(『デジタル大辞泉』小学館)
つと・める【勤める】
[動マ下一][文]つと・む[マ下二]《「努める」と同語源》
1 職に就く。官庁・会社などで職員として働く。勤務する。「商社に—・める」「検査技師として病院に—・める」2 仏道に励む。勤行 (ごんぎょう) する。また、仏事を営む。「朝夕に—・める」「法事を—・める」
(『デジタル大辞泉』小学館)
ビジネスメールや文書で使用する際は、特に表記を注意しましょう。
(2)「務めさせて頂く」の表記は誤り
「いただく」の表記にも注意が必要です。「務めさせていただく」を「務めさせて頂く」と表記するのは誤り。
「務めさせていただく」の「いただく」は補助動詞であり、動詞である「頂く」とは別物です。
そのため、こちらの表記も間違えないようにしましょう。
(3)「させていただきます」を多用しない
「務めさせていただきます」はさまざまなシーンで使われるフレーズですが、「させていただく」を多用しないよう注意が必要です。
文化庁が作成している『敬語の指針 』において、「させていただく」は以下の場合に使用するのが適切とされています。
「(お・ご)……(さ)せていただく」といった敬語の形式は,基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。したがって,ア ,イ)の条件をどの程度満たすかによって「発表させていただく」など「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,余り適切だとは言えない場合とがある。
「~させていただきます」という表現を無意識に使ってしまう人も多いですが、本来は、相手から許可を受けて行い恩恵を受ける場合に使用しましょう。
また、「させていただきます」を多用するとくどい印象を与えることも。シーンによっては「~を務めます」というシンプルな表現を使ってみてください。