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卵子は老化する!? 『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること』書評

#アラサー女子の人生参考書

ミクニシオリ

仕事、結婚、からだのこと、趣味、お金……アラサーの女性には悩みがつきもの。人生の岐路に立つ今、全部をひとりじゃ決め切れない。誰かアドバイスをちょうだい! そんな時にそっと寄り添ってくれる「人生の参考書」を紹介。今回は、『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること(仲栄美子著・ダイヤモンド社)』を、ライターのミクニシオリさんが書評します。

時代は変わっていくというのに、妊娠の適齢期は変わらない。これって、今を生きる女性にとっては、かなり難しい問題ですよね。女性も社会進出し活躍する現代では、一般的に「妊娠適齢期」としてのイメージがある20代後半〜30代前半は、キャリアや私生活が充実する時期でもあります。周りを見渡してみれば、まだまだやりたいことがあってパートナー探しが進んでいない女性もいるし、キャリアアップの時期と妊娠適齢期が被ってしまい、悩んでいる女性も。

なんでこんなに悩んでしまうのか、と聞かれれば……私たちには分からないからです。いつ産めばいいのかも、そしていつまでに産めばいいのかも。妊娠・出産は女性の人生設計に大きな影響を与えますし、子育てがはじまれば、仕事や趣味に割く時間は減ってしまうかもしれません。そもそもいざ産みたいと思っても、一緒に子どもを育てるパートナー選びに苦戦しているうちに、時間が過ぎてしまうかもしれない。

本当は、こういったことに困らないために「妊娠可能時期」から逆算した行動を取りたい。病院では「個人差がある」と言われてしまい、結局自分では意思決定できない……はいはーい、私もそうでした。

定期検診や、早めのパートナー探しも大切。ですが、それだけで不安が拭いきれないのは、自分の現状がよく分からないから。パートナーがいる人もいない人も、自分の身体のことを知ってみるのは大切。人生に悩む全女性に読んでほしい本、みつけました。

『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること(仲栄美子著・ダイヤモンド社)』

【この本を読んで分かること】

・「産める時期」逆算に役立つ不妊リスクについて
・「低用量ピル」や「卵子凍結」など、意外と理解できていない婦人科治療のメリット
・気づかないうちに卵子・卵巣を老化させる原因と、老化予防につながるTips

知らないことがリスクにつながる!? 生活と隣り合わせの不妊リスク

将来のことって、早めに考えておくに越したことはないけれど、色々決めすぎてしまうと、計画が変わった時にダメージが大きいもの。だから私たちは「いつまで産めるのか」を知りたいと思ってしまうのです。

婦人科の定期検診だけでは安心できなかった私が手に取ったのは『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること(仲栄美子著・ダイヤモンド社)』という本。まさに、自分の状態にピッタリの本だったからです。

「いつか子どもは欲しいけれど、色々事情があって今じゃない」「いらないとは言い切れないけれど、今すぐ子どもが欲しいわけじゃない」。最近は女子会でも、こういった意見を持つ女友達が増えてきました。けれどみんなの表情は、私と同じように不安そう。

不安があるのに、何もできない現状にモヤモヤして、この本を手に取りました。著者の仲栄美子さんは、産婦人科の専門医師。仲先生自身も、20〜30代のうちは充実したキャリア生活を送っていて、気がついた時には不妊になってしまい、結局子どもを授かれなかったのだといいます。本の冒頭では「卵子は35歳くらいから老化すると言われているけれど、その進行は人それぞれ」と語られていました。けれど仲先生によれば、日常生活の改善が、卵子老化を遅らせるきっかけになる場合もあるのだそう。

序章ではまず、私たちが知りたかった「いつまで産めるのか」が解説されます。婦人科検診のついでに聞いたり、WEBで検索したりしているだけではいまいち理解できなかったことが分かりやすく書いてあるので、私はちょっと怖くなりました(笑)。高齢出産のリスク、起こり得る問題、婦人科系の病気、性病……産みづらくなる要因はいくつもあるのに、何もしなければ卵子の数はどんどん減っていくばかり。なんとなく分かってはいたことなのに、実際に分かりやすく説明されてみると、女性の身体はさまざまなリスクにさらされ続けているように感じました。

それだけではなく、日常の生活習慣の中で、気づかないうちに不妊のリスクを引き上げてしまうこともあるそう。「身体のために」とよかれと思ってやっていたダイエットが、実は不妊のリスクを上げていることもあるなんて……! 改めて、知らないこと自体がリスクでもあると、根本的に気づかされました。

なんとなくしか知らなかった。低用量ピルのメリットをはじめとした婦人科知識

不妊リスクに関しての基本的な知識は理解できたものの、やっぱり個人差があるということも、拭えない事実。だから本の中では、定期的な婦人科検診も進められていました。中でも、検査項目の基本料金表が掲載されていたのが参考になりました。プレコンセプション検査やブライダルチェックは病院によりかなり金額がマチマチなイメージがあったのですが、基本料金表と照らし合わせれば、法外に高いクリニックでの検査は避けられそう。

それに、普段何気なく飲んでいる低用量ピルに関する正しい情報を得られたことも、大きなメリットでした。現在はオンライン処方で低用量ピルが手に入るようになり、非常に便利になりました。しかしオンラインクリニックには毎月の定期検診などがなく、対面での診察もないことが多いので、自分では体調の変化に気がつけなかったり、低用量ピルに関する細かな疑問が解決できなかったりすることも多いもの。というかぶっちゃけ、生理が軽くなること以外に、薬に関する説明を受けた覚えもありませんでした。本の中ではピルのさまざまな効果が説明されており、ピルで卵巣を守ったことで、高齢出産を成功させたスポーツ選手の体験談も。改めて「飲んでいてよかったな」と思うことができました。

こうして読んでみると、婦人科系の知識についてなんとなく気になっていても、よく調べずに終わりにしていたことがたくさんあったことに気づかされます。自分の飲んでいる薬の効果にしても、最近よく聞く「卵子凍結」にしても、知ってはいるのによく分かっていなかったことばかり。ネットで調べても出てくるのかもしれないけれど、自分で正しいか確かめることができませんから、本を読むだけで正しい情報が手に入るなら、こっちの方がお手軽です。

ストレス、不眠……日常の行動が身体を老化させていく!?

本の後半には、生活習慣と卵子の関わりについても書かれており、かなり目からウロコな情報も。仲先生によれば、睡眠や食事習慣、アルコール習慣など、毎日のあたりまえの行動が、自分の卵子を人以上に老化させている可能性があるのだそう。だからって「早く寝ろ」「酒は飲むな」と終わらせず、睡眠の質を改善する食べ物や、老化につながらないアルコール習慣などの記載があったのもうれしいポイント。忙しく働く私たちにとって、睡眠や食事は改善したくても難しい場合も多いので、正しい生活を補助する知識について知れたのがよかったです。

それに、こんな耳のイタイ話も。日々の生活の中で身体を固めてしまい、コリや痛みに苦しんでいるというビジネスウーマンは多いと思いますが、身体がカタイことも、妊娠にはあまりよろしい状態ではないそう。ガーン‼ 身体がカタイことが不妊に直結するというわけではないですが、冷えや痛みによるストレスは女性の身体にも悪影響を与えるようです……。さまざまなセルフケアの選択も紹介されていたので、私もいつくかルーティンに取り入れてみることにしました。

ストレス、という言葉が出ましたが、本を読んでいく中で、やはりストレスは万病のもとだと再認識しました。ストレスのせいで睡眠の質が落ちれば、美容にもよくないし元気も出ない、その上身体の老化にもつながるというのだから、百害あって一理なし。これも、なんとなく分かっていたことではありますが、無意識に目をそらしていたんだと気づきます。だって、ストレスは溜まるものだから、しょうがない。でも、そんなストレスをタバコや過度なアルコールで解消していたら、身体への負債は溜まるばかりです。

本を読むということは、じっくり腰を据えて考えること。そして、読書の中では自分との対話も行われます。SNSやネットでなんとなく見ていた情報よりも、一つひとつの情報の解像度が高くなります。読み終わった時に思ったことは「できることから変えていこう」という自分の気持ち。

卵子や卵巣が、自分の年齢より若返ることはないといいます。だから、私たちにできることは、少しでも身体の老化を防ぐことだけ。子どもを産めるタイミングがいつかは分からなくても、老化予防の生活習慣が、私たちにとってデメリットになることはまずありません。将来の自分のために、今できることをやっておこう。自分の身体を愛するきっかけとなってくれた、いい本でした。

(ミクニシオリ)

※この記事は2023年10月21日に公開されたものです

ミクニシオリ

1992年生まれ。2017年にライター・編集として独立。芸能人やインフルエンサー、起業家など、主に女性に対するインタビューを多数執筆。恋バナと恋愛考察も得意ジャンル。ハッピーとラッキーがみんなに届きますように。

Twitter:https://twitter.com/oohrin

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