彼岸花は不吉な花? 怖いイメージを持たれる理由を解説
彼岸花は美しい見た目にもかかわらず、不吉なイメージを持っている人が多い花でもあります。なぜそのような印象が定着しているのでしょうか。今回は彼岸花が不吉といわれる理由を解説します。
彼岸花は見る人によっては毒々しい印象を抱くかもしれませんが、その独特な姿から昔は子どもたちが首飾りとして遊んでいたともいわれています。
しかし一方で、別名「死人花」「幽霊花」「地獄花」などと呼ばれており、不吉なイメージを持っている人も多いでしょう。ネガティブな印象があるのには、他にもさまざまな説があるようです。
そこで今回は、彼岸花の生態と不吉だといわれる理由について解説していきます。
彼岸花とはどのような花?
彼岸花はヒガンバナ科ヒガンバナ属に分類される花で、原産国は中国とされています。開花の時期が秋のお彼岸(9月)の頃であることから、「彼岸花」と名付けられているようです。
1本のまっすぐな茎から、直径10cm程度の花を咲かせ、道端や墓地などに自生していることが多いでしょう。
日本で見られるのは赤色が一般的ですが、品種改良によって白色や黄色の彼岸花もあります。
彼岸花の花言葉とは
彼岸花の花言葉は色によってさまざま。代表的なものを以下で紹介します。
・赤:情熱、独立、再会、悲しき思い出
・白:また会う日を楽しみに、思うはあなた1人
・黄:深い思いやりの心、陽気、元気
・ピンク:深い思いやり、あなたのために何でもします、楽しむ
日本で最もポピュラーな赤色の彼岸花の花言葉に「悲しき思い出」とあるのは、墓地でよく見られるからといった説があるようです。
なぜ? 彼岸花が不吉な理由
彼岸花が持つ特徴が分かったところで、ここからはなぜ不吉といわれているのかを見ていきましょう。
(1)「彼岸」という言葉が死を連想させるから
彼岸花が咲く頃合いは、秋のお彼岸の季節です。
秋のお彼岸は秋分の日を真ん中にした1週間を指し、特に秋分の日は太陽が真東から昇り、真西に沈む日といわれています。
仏教では、人間が生きている「此岸(しがん)」は東に、あの世とされるいわゆる「彼岸」は西にあると考えられてきました。
このことから、お彼岸の時期はあの世とこの世が通じやすくなる、つまり死の世界が間近にあると考えられるため、「彼岸」という言葉が付く彼岸花は死を連想させ、不吉であるといわれているのでしょう。
(2)毒を持っているから
彼岸花は毒性を持っており、食べると彼岸(あの世)に近づくといわれていたことから、縁起が悪い花というイメージが根付いた可能性もあります。
万が一食べてしまうと、嘔吐や下痢、頭痛などの症状が出ることもあるのだとか。
毒は花・葉・茎・球根全てに含まれているといわれています。毒性を持っていると知ると、花自体にネガティブな印象を抱いてしまいますよね。
また、昔はその特性を生かし、田端や墓地に動物や害虫対策として彼岸花を植えていたこともあるようです。お墓の周りに彼岸花が多く咲いているのは、そのなごりである可能性も十分考えられるでしょう。
(3)怖い別名が多く付いているから
彼岸花には約1,000種類の別名が存在するといわれています。その生態や毒性などから、怖い名前が多く付けられたようです。
いくつか由来と併せて紹介します。
親死ね子死ね
彼岸花は、花を咲かせてから葉が成長する性質があり、同時に見られることはないため、花と葉を親子にたとえてこのような名前になったとされているようです。
また、彼岸花の毒を使い、親子が殺し合いをしたとされるうわさがきっかけで付けられたという説も存在します。
忘花(わすればな)
彼岸花の別名に「道忘花(みちわすればな)」や「道迷花(みちまよいぐさ)」があり、それらの意味が合わさり「忘花」という名前ができたようです。
それが現実の道を忘れ、あの世に引っ張られるという意味と捉えられたのではないでしょうか。
幽霊花(ゆうれいばな)
彼岸花は花を咲かせてから葉が成長する性質を持っていることから、一般の植物とは異なる成長過程が人々から恐れられ、この名が付けられたようです。
その他の別名
その他にも彼岸花が持つ不吉な別名には以下のようなものがあります。
・葬式花(そうしきばな)
・墓花(はかばな)
・剃刀花(かみそりばな)
・捨子花(すてごばな)
・地獄花(じごくばな)
・死人花(しびとばな)
一方で、鮮やかな赤い色をしていることから、「天上の花」というおめでたい意味を持つ「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」という別名で呼ばれることもあるようです。
彼岸花が不吉といわれるのは生態に深く関係している
彼岸花は独特な見た目や毒性、さまざまな別名から、不気味で怖いイメージが一般的に定着し、不吉であるとされています。
しかし、動物や害虫対策としての役割を持つ姿に、守り神のようなどこか神秘的なイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
今後、ひっそりと咲く彼岸花をどこかで見掛けたら、温かい気持ちで見守ってあげてくださいね。
(LIB_zine)
※画像はイメージです
※この記事は2023年09月28日に公開されたものです