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「現れる」と「表れる」の違いとは? 意味の違いと使い分け(例文付き)

にほんご倶楽部

同じ「あらわれる」という言葉でも、「現れる」と「表れる」をどう使い分けたらいいか迷いますよね。今回はそんな「現れる」「表れる」の意味の違いや使い方、言い換え表現について、例文をまじえながら分かりやすく解説します。

同じ読みである「現れる」と「表れる」という言葉。ビジネスシーンでもよく耳にしますが、みなさんは正しく使えているでしょうか。

使い分けが難しく「実は間違って使っていないか不安」という人も多いかと思います。

この記事では「現れる」と「表れる」の意味や違いのほか、使い方や類語も紹介します。ぜひマスターして、正しく活用しましょう。

「現れる」と「表れる」の違いとは

「現れる」と「表れる」は「あらわれる」と読む同義語で、どちらも「何かが出てくること」という意味では同じです。

この2つに違いが見られるのは「何を対象にしているか」「何が出てくるか」という点。実際にはどのような違いがあるのでしょうか。

まずは「現れる」と「表れる」、それぞれの意味をチェックしていきましょう。

「現れる」は「物理的なものが出てくるか」

さっそく「現れる」の意味を確認しておきましょう。

あらわれる【現れる】
1.今までなかった人や物が出てきたり、隠れて見えなかった物や事柄が見えるようになる。出現する。
2.それまで存在しなかった物や事柄が生じたり作られたりして、目で確認できるようになる。
(三省堂『大辞林 第四版』)

「現れる」は隠れて見えなかったものが見えるようになることを指す言葉で、人や物、事柄など物理的に存在するものが対象となります。

隠れていて見えないことが前提で、その対象物が目に見える形で出現した時に使われます。

「表れる」は「抽象的なものが出てくるか」

次に、「表れる」の意味を確認していきましょう。

あらわれる【表れる】
考え・感情・傾向などが、他人に感知されるようになる。
(三省堂『大辞林 第四版』)

「表れる」の対象は、形のない抽象的なものです。

例えば、感情や性格など、内面に隠れていたものが表に出て、他人から見てもはっきりと分かるようになる時に使用します。

使い分けのポイントは「何が分かるようになるのか」

「現れる」と「表れる」は同じ読み方で、意味合いも似ているため使い分けが難しいフレーズです。

しかし決定的に違うのは、「どのような対象物が分かるようになるのか」「見えるようになるのか」ということ。

「現れる」は人や物・事柄など物理的なものが見えてくることや、分かってくることを意味しています。

対して「表れる」は、考えや感情・傾向など形のない抽象的なものが表に出てくることを意味します。

「目に見えるものを対象にしているのか」「目に見えないものを対象にしているのか」が使い分けのポイントだと覚えておくと分かりやすいでしょう。

「顕れる」との違いは?

「現れる」と「表れる」以外にも、同じ読みの「顕れる」という混合しやすい言葉があります。

あらわれる【顕れる】
隠されていた物やわからなかった事柄などが、人々に知られるようになる。露顕する。
(三省堂『大辞林 第四版』)

このように「顕れる」とは、なんらかの事情によって表面に覆っていたものがなくなり、その裏や中にあったものが出てくることを指す言葉です。

「明白になる」や「発覚する」といったニュアンスを持つのが「顕れる」の特徴といえるでしょう。

例えば、人の感情のような内面的なものだけでなく、素肌や隠ぺいしていたものなど実際に存在するものにも使えます。しかしやや否定的なニュアンスもあるので、使用する時は注意しましょう。

「現れる」をビジネスで使う時の使い方(例文付き)

「現れる」は前述の通り、物理的なものを対象とする場合に使用する言葉です。つまり人や物、事柄など、目に見えて存在するものに対して使えます。

目に見えるものが「あらわれる」時は、「現れる」を用いて表記しましょう

例文

・このプロジェクトに救世主が現れました。

・この辺りの山にはヒグマが現れることがあるので注意が必要だ。

・夜空に現れたのは、謎の未確認飛行物体だった。

「表れる」をビジネスで使う時の使い方(例文付き)

先述の通り「表れる」は、目に見えないものを表現する時に使うフレーズ。心の中の感情や表情など抽象的なものを対象とし、表にはっきり出すことを意味します。

「数字」なども抽象的なものに含まれることから、ビジネスシーンでも使いやすいフレーズです。

例文

抽象的な事例を指すので、しっかりと状況説明を一緒に行うことで、より相手には伝わりやすくなります。

・彼の自信は、表情や態度に表れている。

・今回発表された新しい作品には、作者の個性が特に強く表れているように感じます。

・この商品がどれだけ人気かは、数字に表れていますね。

「現れる」「表れる」の類語・言い換え表現

最後に「現れる」「表れる」の類語を紹介します。マスターして、さまざまな状況で使い分けられるようになりましょう。

「出る」

「出る」には、「ある範囲や中から外へ動き移る」という意味があります。

「現れる」「表れる」は対象が何であれ、今までなかったものが出てくることを示す言葉ですので、類似表現として適しているのではないでしょうか。

日常の中でも使い慣れている言葉であり、汎用性高く使いやすい言葉だといえます。

「出現」

「出現」は「今までなかったものや見えなかったものが形をとって現れること」という意味を持つ単語。

対象が人や物、事柄であることから、「現れる」とニュアンスの近い類語であるといえます。同じ「現」という漢字を使っていることを考えると、分かりやすいですね。

「登場」

「登場」は、「新しい人物や製品などが世の中に現れること」を意味する言葉。

対象が人や物であることから、こちらも「現れる」とニュアンスの近い言い換え表現となります。

「滲み出る」

「滲み出る」には「自然と表にあらわれる」という意味があります。

内面が行動や表情などの表面に出る際、「彼の誠実さが滲み出ている」といったように使用することから、「表れる」の言い換え表現といえるでしょう。

「現れる」は「物理的」、「表れる」は「抽象的」

同じ「あらわれる」と読む「現れる」「表れる」ですが、その決定的な違いは「対象が何か」「何が見えたり分かったりするのか」にあります。

「現れる」は物理的な事柄を対象としたとき、「表れる」は抽象的な事例を対象とするときに使うものです。

同義語でありながらも微妙なニュアンスの違いがある「現れる」と「表れる」という言葉。しっかりと頭に入れて使うことで、ワンランク上のビジネスパーソンを目指せます。ぜひ本記事を参考にして、ビジネスシーンで役立ててくださいね。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年05月11日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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