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「お疲れ様でございます」は正しい敬語? 使い方や例文・言い換え表現

にほんご倶楽部

「お疲れ様でございます」という言葉に対して、「間違った敬語なのでは?」と感じる人も少なくないでしょう。今回は「お疲れ様でございます」が正しい敬語なのか、二重敬語にはならないのか、といった疑問にお答えしつつ、使い方を例文付きで紹介します。

ビジネスシーンで度々耳にする「お疲れ様でございます」というフレーズ。

相手をねぎらう意味がある言葉ですが、「二重敬語ではないだろうか」「くどい表現だな」と感じたことがある人もいるでしょう。

そこでこの記事では、「お疲れ様でございます」が正しい敬語なのかを紹介したのち、正しい使い方について例文を用いながら解説していきます。言い換えの言葉についても紹介しますので、ぜひビジネスシーンで役立ててみてください。

「お疲れ様でございます」は正しい敬語? 二重敬語になる?

結論から言うと、「お疲れ様でございます」は文法的に正しい言葉であり、目上の人に対しても使える敬語です。

その理由について、詳しく見ていきましょう。

「お疲れ様でございます」の意味

まず、「お疲れ様」という言葉には次のような意味があります。

おつかれ‐さま【▽御疲れ様】
[名・形動]相手の労苦をねぎらう意で用いる言葉。また、職場で、先に帰る人へのあいさつにも使う。「ご苦労様」は目上の人から目下の人に使うのに対し、「お疲れ様」は同僚、目上の人に対して使う。
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

「お疲れ様」は名詞であり、この言葉自体に敬語としての意味はないことが分かります。

次に、「ございます」の意味を確認しましょう。

で‐ございま・す
[連語]《断定の助動詞「だ」の連用形+補助動詞「ございます」》「だ」「である」の意の丁寧表現。「さよう―・す」「いいお天気―・すね」
出典:(『デジタル大辞泉』小学館)

「でございます」は、「だ」や「である」を丁寧にした表現ではあるものの、敬語に分類される表現ではありません。

文法上間違っているとされる二重敬語は、「尊敬語+尊敬語」など同じ種類の敬語が重なって使われることを指します。「お疲れ様でございます」には、同じ種類の敬語が含まれていないため、二重敬語には該当しないといえます。

つまり、「お疲れ様でございます」は文法的に正しい言葉であり、目上の人に対しても問題なく使える敬語です。

Check!:【第2回ビジネスマナー講座】二重敬語と間違えやすい敬語の使い方

「お疲れ様でございます」と「お疲れ様です」の違い

「お疲れ様でございます」と似た表現に「お疲れ様です」があります。どちらも相手をねぎらう言葉で、意味に違いはありません。

異なる点は「です」と「でございます」ですが、より丁寧な言い方は「お疲れ様でございます」の方です。

「お疲れ様です」は目上の人に対しても使える言葉であるものの、社長や役員などあまりに職位が離れた相手に対して、「お疲れ様です」を用いるのは気が引ける場合がありますよね。こういったケースでは、より丁寧な「お疲れ様でございます」を用いることがおすすめです。

Check!:「お疲れ様です」は目上の人にも使える? 正しい使い方や言い換え表現

「お疲れ様でございます」の使い方と例文

「お疲れ様でございます」は、相手をねぎらう気持ちを伝えられる言葉です。特にビジネスシーンにおいては、社内ですれ違う時や退勤時のあいさつ、電話での第一声など多くの場面で使われます。

汎用性の高い言葉であるため、ぜひ下記の例文を参考に使い方を覚えておきましょう。

・部長、お疲れ様でございます。来週の会議の件でご相談したいことがあるのですが、今お時間よろしいですか。

・昨日は懇親会の幹事お疲れ様でございました。課長のお気遣いのおかげで、大変楽しい時間を過ごすことができました。

・部長、お帰りですか。本日も大変お疲れ様でございました。

「お疲れ様でございます」を使う時の注意点

「お疲れ様でございます」は、相手をねぎらう気持ちを伝えられる言葉ですが、使う時にはいくつかの注意点があります。

場合によっては失礼にあたる場合もあるため、あらかじめ注意点をよく理解しておきましょう。

取引先など社外の人には使わない

「お疲れ様でございます」は目上の人に対しても使える言葉ですが、あくまで社内の人に対して使う言葉であり、取引先など社外の人には使いません。

社外の人に対してあいさつをする時には、「お世話になっております」といった表現を用いましょう。

同僚や後輩には使わない

「お疲れ様でございます」は、同僚や後輩など近しい間柄の相手に対しても使いません。

「お疲れ様でございます」は「お疲れ様です」よりも丁寧な表現であるため、普段から親しい相手に使うと「大げさな言い方だな」と捉えられてしまう可能性があります。

特に丁寧な表現にする必要がない場合は、「お疲れ様です」や「お疲れ様」を用いることが適切でしょう。

「お疲れ様でございます」の言い換え表現

「お疲れ様でございます」は、他の言葉にも言い換えができます。使う場面や相手に応じて、適切な言葉を使い分けましょう。

あいさつとして用いる場合は「おはようございます」

「お疲れ様でございます」をあいさつとして用いる場合、時間帯によっては「おはようございます」など他の言葉と使い分けることが可能です。

特に1日の始まりである朝には、「お疲れ様でございます」よりも、元気よく「おはようございます」と言われた方が相手も気持ち良いでしょう。

退勤時に用いる場合は「お気をつけてお帰りください」

先に退勤する人へのあいさつとして用いる場合は、「お気をつけてお帰りください」に言い換えができます。

相手の帰り道を気遣った表現であり、定型句として使われる「お疲れ様でございます」よりも気持ちが伝わりやすいでしょう。

そのほかには、「遅くまでお疲れ様でした」や「良い週末をお過ごしください」といった言葉にも言い換えが可能です。

目上の相手に話し掛ける時は「失礼いたします」

「お疲れ様でございます」は、目上の相手に話し掛ける第一声として用いられることがあります。例えば、「部長、お疲れ様でございます。今少しお時間良いですか?」といった使い方などがあります。

このように、相手への第一声として用いる場合は、「失礼いたします」に言い換えができます。先ほどの例では「部長、失礼いたします。今少しお時間良いですか?」と言い換えることが可能です。

「失礼いたします」も相手への気遣いが伝わる言葉であるため、目上の人に対して使用しても問題ありません。

「お疲れ様でございます」は相手をねぎらう時に使える言葉

「お疲れ様でございます」はねぎらいのあいさつとして使われ、目上の人にも使える言葉です。「くどい表現だ」と感じる人もいるかもしれませんが、文法的には正しい表現で、二重敬語ではありません。

社内ですれ違う時や退勤時のあいさつ、電話での第一声など、多くの場面で使える言葉ですので、ぜひビジネスシーンで活用してみましょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年04月06日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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