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「どうすればいいですか」は敬語? ビジネスメールや会話で使える言い換えも紹介

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「どうすればいいですか?」は、正しい敬語といえるのでしょうか? 実は、上司との会話や取引先とのメールなど、ビジネスで使うのはおすすめできません。今回は「どうすればいいですか」の言い換え表現を、ライティングコーチの前田めぐるさんが解説します。

「どうすればいいですか?」という表現は、「どうすればいい?」を丁寧に言い換えたものです。友人同士や同僚に使う場合であれば、問題ありません。

しかし、職場の上司や取引先の相手には使わない方がいいでしょう。お勧めできない理由と、より適切な言い換え表現を紹介します。

「どうすればいいですか」は敬語? 目上の人に使っても良い?

「どうすればいいですか?」をビジネスシーンで使うことは、お勧めできません。

くだけた表現である「どうすればいい?」を丁寧にした言葉であるため、友人や同僚に丁寧に言いたい時には使えます。ただし、目上の相手に使う敬語表現ではありません。

結論としては、「どうすればいいですか?」を目上の人に使う場合には「いかがいたしましょうか?」と言い換えるのが良いでしょう。

以下に、その理由を解説します。

目上の人に使う言葉としてふさわしくない理由

「丁寧語も敬語の種類なのだから、失礼ではないのでは?」と考える人がいるかもしれません。

もちろん、その通りです。丁寧語自体は、目上の人に使って失礼な言葉とはいえません。

そもそも、丁寧語は、同じ敬語である尊敬語や謙譲語とは根本的に性格が違います。

尊敬語が動作の主体である相手や第三者への敬意を表したり、謙譲語が自分をへりくだって言ったりするのに対し、丁寧語は「話し相手への直接の敬意」を表すものです。

つまり、「どうすればいいですか?」を目上の人に使った場合、丁寧語を使った「ですか」については問題がありません。目上の人に使わない方がいい理由は、「ですか」以外の部分にあります。

敬語表現として不適切な理由は、2つ。

・「する」が謙譲語になっていないから

・「どう」「いい」が、改まった表現になっていないから

この点を解決すれば、目上の人に対しても使いやすいフレーズになります。

まず、「すれば」の「すれ」は「する」の未然形です。これを、謙譲語「いたす」に変換します。

また「どう」「いい」の2語については、より丁寧な印象のある「改まり語」にする方が良いでしょう。次の段で説明します。

目上の相手には「改まり語」を使う

「どうすればいいですか?」が目上の相手に使う言葉としてしっくりこないのは、謙譲語になっていない言葉があるだけでなく、「改まり語」を使っていないからです。

「改まり語」とは?

ビジネスシーンでは、丁寧に言っているつもりでも、その中に普段の言葉が抜けきっていないと、ぞんざいな印象を与えることがあります

そのため、普段の言葉の中で改まった印象の言葉に変えることが一般的です。

例えば、「今日、後で行きます」よりは「本日、後ほど伺います」の方が格段に丁寧だと感じられます。

「行きます」を謙譲語にしているだけでなく、「今日」を「本日」に、「後で」を「後ほど」に言い換えているからです。

このような言葉は、「改まり語」と呼ばれます。

改まり語を用いた表現は「いかがいたせばよろしいですか?」

改まり語は、ビジネスシーンや日常の改まった場面、文書でよく使われる言葉です。

そして、「どうすればいいですか?」の中にも改まり語に言い換えられる言葉があるのです。

ここまでの内容をふまえて、「どうすればいいですか?」を失礼ではない表現にする場合、単語レベルで見ていくと、まず次のように言い換えられます。

「いかがいたせばよろしいですか?」

この一文は、各語を次のように言い換えたものです。

・「どう」→「いかが」(改まり語)

・「すれば」→「いたせば」(謙譲語)

・「いい」→「よろしい」(改まり語)

「いたす」という謙譲語が含まれているので、相手への敬意を表すこともできます。また、改まり語も使っているので、全体的な敬意の度合いもアップします。

目上の人には「いかがいたしましょうか?」がベター

ただし、ここで気になることがあります。

「いかがいたせばよろしいですか?」という表現は、敬語としては正しいものの、堅苦しく、なじみが浅いフレーズだという点です。

そこで、より良いフレーズとして考えられるのが、「いかがいたしましょうか?」という表現です。

「いかがいたしましょうか?」は、ビジネスシーンで非常によく使われるフレーズですね。

《例文》

・部長、来週のご出張の件ですが、切符のご手配はいかがいたしましょうか?

・お客さま、ただいま希望のお席をご用意することができますが、いかがいたしましょうか?

このように、何らかの提案や前提となる文とともに使うと、「いかがいたしましょうか?」が活きてきます。

結論として、「どうすればいいですか?」を目上の人に使う言葉としてランクアップさせたい場合には「いかがいたしましょうか?」と言い換えるのが適切です。

次のページでは、ビジネスメールや会話で使える「どうすればいいですか」の言い換え表現を紹介します。

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