【第二回】将来、結婚した相手が不倫したらどうすればいい?
10代や20代前半の頃はドラマや漫画の中の話だった「不倫」が、年を重ねるにつれて身近なところで話を聞く機会があったり、友人が不倫していたりと、本当にあるんだ! と実感することが増えていきませんか? でも、実際に不倫をしたらどうなるのか……その行く末までを聞いた事がある人は少ないかもしれません。今回は弁護士の濵門俊也先生に、不倫について気になる事柄をインタビュー。全3回でお届けします。
もし不倫に巻き込まれてしまったらどうすればいいか、法律の専門家である弁護士に聞いてみる本企画。引き続き、東京都中央区に事務所を構える弁護士の濵門俊也さんにお話を伺います。今回のテーマは「将来、結婚した相手が不倫した場合」です。
夫が不倫していると気づいた場合、妻が取れる行動は?

将来結婚をして、配偶者である夫が不倫をしていると分かった場合――例えばLINEを見て他の女性と確実にラブホテルに行っていると分かった時に、妻としてはどんな行動を取るのが正解でしょうか?

証拠の保全です。やり取りを写真に収めるなど……ですね。

それは、夫のスマートフォンでスクリーンショットを撮って自分宛に送るより、自分のスマートフォンで撮影するのが良いでしょうか?

旦那さんのスマートフォンを動かせる前提であれば、スクリーンショットで送ってもいいと思います。最近はSNSやメールに残っていることが多く、昔に比べると立証は易しくなりましたよね。

再構築をしたい、何とか夫に不倫をやめてもらってまだ婚姻関係を続けたい場合は、どうすれば良いでしょうか?

関係を修復する話し合いをすれば良いのではないでしょうか。

不倫のことは黙っているほうが良いとか……?

見て見ぬふりをするしかないかもしれませんね。それで許せる女性はあまりいないと思いますが。

そうですよね。でも、私の周りはほとんどの女性が再構築する人が多くて。

もちろん離婚しない方も多いですよ。相手方の女性に対する慰謝料請求だけという女性もいます。「関係の修復までいくかどうかは分からないけれど、とりあえずその女性に請求したい」という女性もいますね。

では、夫の不倫が分かってもう離婚を決めた場合、証拠の保全の次に取ったほうが良い行動とはどんなものでしょうか?

言動を監視するとか、些細な変化に気づくとか。それらは普段生活している中で女性のほうが確実に「気づき力」は強いように感じますので。

当然、証拠は多いほうが良いのですよね?

結局、何が裁判所に何が刺さるかが分からないので、証拠的なものーーそういうことを裏付けるもの、資料はあったほうが良いですよね。
あとは、日記をつけてみるとか。日記はルーティンでやっているものだからあえて嘘を書き込むことはなくて、信用性は高いですね。いちいち嘘や人の悪口を書き込むことはないじゃないですか、日記に。

なるほど。捏造とは思われないのでしょうか。

そのハードルが違うのですね。あえて書いたかどうか、嘘を書いているかどうかっていうのは前後の文脈とかそういうので分かると思うのです。

訴訟になると、それは嘘だ、妻の妄想だとか反論が来ると思うのですが。

それでも、無いよりはましですよね。捏造だと言うのなら、それが捏造だという事実を言わないといけない。客観的事実に反しているから捏造だとか嘘だと言えるわけだから、その客観的な事実を証明できるかの問題です。

なるほど。日記でも何でも証拠を集めていって、離婚を切り出す段階に進むのですね。
夫の不倫相手に請求できる慰謝料はどれくらい?

自分が妻として、夫の不倫相手の女性に慰謝料を求める場合、これも相場という言い方はないと思うのですが(※第一回参照)、いくらくらいが妥当でしょうか?

それで婚姻関係が破綻したと言えそうな、要は離婚まで決意されているようなケースだったら、300万円とか請求することはありますね。

離婚原因を作った不貞行為ということで、請求する側としては、額に制限はないのですよね。

そうです。別にいくら請求したって良いわけです。

よく私が離婚を考えている女性に尋ねられるのは、「多く吹っかけて良いのか」「法律でどう決まっているのか」という点なのですが、法律に「いくらまでと決まっています」のような定めは無いですよね。いくら吹っかけようと、それは相手の支払能力で決まると。

払ってくれるなら1千万円でも良いです。

請求する額に制限は無いけれど、確実に支払われるものではない、と知っておくのは大事ですね。

もちろん。そうですね。