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「本末転倒」の意味と語源とは? 使い方や例文・類語を解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「本末転倒」の類語

ここまでで、「本末転倒」の意味をしっかり把握できたでしょうか?

「本末転倒」は比較的広い意味で使われるために、時に使い方について迷うことがあるかもしれません。

以下に挙げることわざや四字熟語など、「本末転倒」と似た意味を持つ言葉の中には、もう少し狭い意味のものあります。

それぞれの意味をよく把握して、使ってみてください。

「木を見て森を見ず」

木の1本1本に注意を奪われるあまり、森全体を見ることをおろそかにしているということから、細かい点に気を取られて全体を見失うことをいいます。

例文

・プロジェクトでは、木を見て森を見ずとならないよう、個々の役割だけでなくチームとして機能しているかにも常に目配りする必要がある。

「靴を度りて足を削る」

「度り」は「はかり」と読みます。

足に合わせるべき靴を、先に靴の大きさを測って、それに合わせるために自分の足を削るということから、物事の本末が逆であることをいいます。

「本末転倒」との共通点は、「順序を誤る」というところ。

四字熟語で「削足適履(さくそくてきり)」いう言葉もあります。

例文

・社会に出た時にルールを守れる大人を育てたいという趣旨は分かるが、厳しい罰則におびえて生徒の個性や自由が侵害されるようなら、靴を度りて足を削るがごとくだ。

「角を矯めて牛を殺す」

「矯めて」は「ためて」と読みます。

牛の曲がった角を真っ直ぐに矯正しようとしたために、牛が弱って死んでしまうことから、小さな欠点を力ずくで直そうとして、かえって全体を台無しにしてしまうことをいいます。

例文

・枠にとらわれない斬新な発想が彼の持ち味だったのに、全てに予算ありきで企画を練らせるものだから、角を矯めて牛を殺すことにならないかと心配だ。

「葉を欠いて根を断つ」

枝葉を切って大事な根まで駄目にしてしまうことから、小さな欠点を取り除こうとして根本を駄目にしてしまうことをいいます。

同じような四字熟語に「釈根灌枝(しゃくこんかんし)」があります。

例文

・テレワークが始まってからというもの、本部が策定した細かいルールによって社員間のコミュニケーションがうまく取れなくなっているのは、葉を欠いて根を断つようなものだ。

「舎本逐末」

「しゃほんちくまつ」と読み、「本(もと)を舎(す=捨)てて末(すえ)を逐(お)う」という意味です。

ささいなことだけに関心を向けて、本題の重要な部分をおろそかにすることをいいます。

例文

・彼は仕事の合間にスマホで株価のチェックばかりしている。副業が気になるのは分からないでもないが、本業に身が入らなければ、舎本逐末も甚だしい。

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