「わかりました」は敬語? 目上の人に使う際の丁寧な言い換えや例文とは
メールや電話で使える「わかりました」の言い換え敬語表現
では目上の人に「わかりました」と伝えたい時、どのような言葉を使えば良いのでしょうか。
いくつかのパターンを使用例と合わせてご紹介します。
「かしこまりました」
「かしこまりました」は、動詞の「かしこまる」に丁寧語の「ます」を付け、過去形にした言葉です。
「かしこまる」は、「つつしんで目上の人の言葉を承る」(『広辞苑 第七版』岩波書店)という意味を持ち、「つつしむ」という相手への高い敬意を示す表現です。
取引先やお客さまへは「かしこまりました」を使うと良いでしょう。
ビジネス例文:取引先からの確認の場合
A:恐れ入ります、○○社の○○と申します。営業部の中村様と14時にお約束をいただいているのですが……。
B:中村ですね、かしこまりました。少々お待ちくださいませ。
ビジネス例文:お客さまからの依頼の場合
A:申し訳ないのですが明日の予約の時間を変更してもらえませんか?
B:ご予約の変更ですね、かしこまりました。ご希望の日時をお聞かせいただけますでしょうか?
「かしこまりました」の意味や使い方、「承知しました」との違いなどを詳しく解説します。
「承知いたしました/承知しました」
「承知しました」「承知いたしました」も言い換えに適しています。特に「承知いたしました」は、「承知する」という動詞に「いたす」という謙譲語を付けて過去形にした言葉で、相手の申し出や頼みを聞き入れ、引き受けるという意味合いがあります。
謙譲語なので自分のことをへりくだっている表現ですが、「かしこまりました」ほどの高い敬意は込められていません。
上司や自分より立場が上の人へは「わかりました」よりも「承知いたしました」を使うと良いでしょう。
ビジネス例文:上司や先輩からの依頼の場合
A:今から外出しなくてはいけなくなったので、16時からの会議資料の準備をお願いできるかな。
B:承知いたしました。15時までには準備しておきます。
ビジネス例文:自分より立場が上の人からの依頼の場合
A:新システムへの移行の際に、旧システムのパスワードを引き継ぐことができないそうなので、各自パスワードの再登録をお願いできますか。
B:承知いたしました。ご連絡ありがとうございます。
「承知しました」の意味や使い方、「了解しました」など他の表現との違いを解説します。
「承りました」
「承りました」は「承る」という動詞に丁寧語の「ます」を付け、過去形にした言葉です。
「承る」は「(目上の人の)命を受けてその通りにする、謹んで聞く、拝聴する」(『広辞苑 第七版』岩波書店)といった意味を持ち、話を理解したというよりも、「聞いた・引き受けた」というニュアンスが強い言葉です。
取引先やお客さまなど、社外の人から伝言を依頼された際などに使うと良いでしょう。
ビジネス例文:社外の人から電話で伝言を依頼された場合
A:電話があったことを○○様にお伝えいただけますか?
B:はい、伝言の旨確かに承りました。○○に申し伝えます。お電話ありがとうございました。
「わかりましたか?」と質問したい場合の言い換え表現
相手の理解度を確認したい場合、「わかりましたか?」と聞くことがありますが、ビジネスシーンにおいて適切な表現とはいえません。
では、どのような言い回しであれば良いのでしょうか。3つの例文をみていきましょう。
「ご理解いただけましたでしょうか」
相手との誤解や情報伝達不足を防ぐために、内容を理解しているかどうかを確認する言葉が「ご理解いただけましたでしょうか」となります。
丁寧語ではありますが、相手の理解力を見切る表現となるため、目下の人に説明する時や、会議など大勢の人に向けて使用する機会が多いといえるでしょう。
そのため、目上の方への使用は避けた方が良いでしょう。
「ご不明な点はございませんでしょうか」
「何かわからないことはありませんか?」を表現した丁寧語です。
はっきりとしない物事、またそのさまという意味の「不明」に、「ご」をつけた相手を敬う表現となります。
ビジネスシーンでは、一通り説明した上で「まだ何かわからないことはありませんか?」と、こちらが相手に問いかける際に使用する言葉です。
質問を遠慮してしまう人に向けた配慮するシーンにも活用されます。
「わかりづらい箇所があればお申し付けください」
「申し付けください」とは「言いつける」の謙譲語で、わかりづらい箇所があれば私に何でも言いつけてくださいという意味になります。
相手への敬意や礼儀を尊重する表現なので、一般的には社外の方へ使う表現言葉でしょう。
一方、同僚や部下、よく顔を合わせる上司への使用は不自然となりますので、注意しましょう。
状況に合わせて「相手を尊重した表現」に言い換えるスキルを
ビジネスの場では、上司や目上の人、取引先、お客さまなどから指示・依頼・提案を受けることが多々あります。
そんな時に使う「わかりました」という短い言葉だからこそ、状況に合わせて相手を敬う表現に変えて対応すると、より印象がアップするかもしれませんね。
「かしこまりました」「承知いたしました」「承りました」と相手を尊重し気遣う言葉で、目上の人とのコミュニケーションを円滑にし、確かな人間関係を築いていきましょう。
(直井みずほ)
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※この記事は2020年11月25日に公開されたものです