においの原因となる「恥垢」とは? デリケートゾーンの正しい洗い方とケア方法
恥垢の正しい洗い方やケア方法
においや雑菌のもとになりやすい恥垢を溜めないためにも、デリケートゾーンの正しい洗い方やケア方法を確認しておきましょう。
(1)指の腹を使って、やさしくこすりとるように洗う
洗うときはよく泡立てたソープを手に取り、指の腹を使って恥垢をこすりとるように洗います。やさしく洗うことが大切ですが、恥垢は意外としつこいので、なでるだけでは汚れが残ってしまうことも。
とはいえ爪をたてたり、ボディタオルでゴシゴシ洗ったりすると、粘膜を傷つけることがあるのでNGです。指の腹で、ヒダやシワの間の汚れをしっかりこすり落としていきましょう。
なお、洗うのはあくまで外陰部だけ。腟の中まで洗う必要はありません。むしろ腟の中は基本的に、洗い流さないほうがよい部位です。なぜなら健康な女性の腟内には、ラクトバチルス(デーデルライン桿菌)と呼ばれる善玉菌がいて、腟の中を感染から守る自浄作用の働きを果たしているからです。
腟の中をソープで洗ってしまうと、この善玉菌も洗い流されてしまうため自浄作用の働きが低下し、かえって、においの原因となる細菌が繁殖してしまうこともあります。腟の中以外の外陰部だけを洗い、最後はぬるま湯でソープを洗い流しましょう。
タオルで拭くときもゴシゴシとこすらず、押し当てるようにして水気を吸い取ってください。
(2)ソープを選ぶときはpH値に注目
デリケートゾーンは体のほかの部位でいうと目や鼻、のどと同じく、皮膚とは違う粘膜が露出している部位です。また健康な成人女性の腟内は常在菌である善玉菌により、pH3.8~4.5の弱酸性に保たれています[*1]。
これらのことから、皮膚を洗うためのボディソープをデリケートゾーンに使うと刺激が強すぎたり、腟を清潔に保つために必要な常在菌まで洗い流してしまったりして、ヒリヒリしたり、かゆみが生じたりすることがあります。
ボディソープであっても弱酸性のものならばデリケートゾーンに使ってもよいといえますが、専用のソープと比べると「洗った後にヒリヒリする感じがある」という人も少なくありません。腟内のpH値にできるだけ近い、弱酸性のデリケートゾーン専用ソープを選ぶのがおすすめです。
(3)保湿も大切
デリケートゾーンを洗った後、乾燥などが気になる人は保湿ケアを行うとよいでしょう。乾燥は、かゆみなどの不快感や黒ずみの原因になることがあります。洗顔後に顔のスキンケアをするのと同じように、デリケートゾーンもケアしてあげてください。
保湿用のアイテムにも、デリケートゾーン専用のものがあります。テクスチャーはローション、もしくはミルキーローションがおすすめです。オイルのものが売られていることが多いですが、外陰部に使うことを考えるとベタつきや湿疹などのトラブルになりやすいので、なるべく避けたほうがよいでしょう。
(4)トイレで拭くときは、前から後ろにやさしく
洗い方や保湿ももちろん大切ですが、トイレでしっかりと排泄物や恥垢を拭き取っておくこともデリケートゾーンケアとして重要なことです。
トイレに行って排泄が終わったら、まずは折り畳んだトイレットペーパーで尿道から肛門向かって、つまり前から後ろに向かってやさしく排泄物を拭き取りましょう。ゴシゴシはNGです。肛門の周辺は便やトイレットペーパーが残りやすい部分なので、とくに注意しましょう。
排泄物をきれいに拭き取ったら、今度は恥垢をきれいにします。小陰唇のヒダを清潔な手で少し広げ、こちらも前から後ろに向かって、やさしくトイレットペーパーで拭き取ります。
中にはウェットタイプのトイレットペーパーや赤ちゃん用のお尻拭きなどを使って、排泄物や恥垢を拭いているという人もいます。値段も使い勝手もさまざまなので、いろいろ試してみて自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。
清潔に、でも神経質になりすぎずに
デリケートゾーンは、その呼び名の通り、デリケートな場所。清潔にして、やさしくケアしてあげることが大切です。
ただし、神経質になりすぎる必要はありません。ちょっとでも汚れが溜まったことを気にして清潔にしすぎてしまうと、それはそれで影響があります。
腟の自浄作用を上手に生かしながら清潔を保ち、適度なケアをしてあげましょう。
(文・構成:山本尚恵、監修:宋美玄先生)
※画像はイメージです
参考文献
[*1] 「病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科」(メディックメディア)p.79
※この記事は2020年11月12日に公開されたものです