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「いただけますでしょうか」は誤用? 言い換え表現を解説

井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)

「いただけますでしょうか」の言い換え表現

「いただけますでしょうか」は前段でも述べた通り文法的に誤りはない言葉ですが、人によって使い方や捉え方が異なり、また表現もさまざまです。

ビジネスシーンなどの改まった場面でよく用いられる、「いただけますでしょうか」以外の例文をいくつかあげてみましょう。

「いただけますか」

「いただく」は「もらう」の謙譲語です。

そのため、「いただけますか」は「~してもらえますか」の敬語表現になります。

例文

・部長、恐れ入りますが、こちらの資料をご確認いただけますか?

「いただけませんか」

同様に「いただく」は「もらう」の謙譲語です。

そのため、「~してもらえませんか」の敬語表現になります。

例文

・ご面倒をお掛けして申し訳ございませんが、○○様にこちらの資料をお渡しいただけませんか?

「くださいますか」

「ください」は「くださる」の命令形で 「くれ」 の尊敬語です。

そのため、「くださいますか」は「~してくれますか」の敬語表現になります。

「~してください」でも誤りではありませんし正しい表現です。

しかし、形としては命令形で、場合によっては断定的なやや強いニュアンスもあるため、相手に依頼するような場合は、「~してくださいますか」のような柔らかい表現が用いられることが多いものです。

例文

・ただいま○○にお繋ぎいたしますので、少々お待ちくださいますか。

大切なのは「ふさわしい表現を選り分ける力」

いかがでしたか?

「いただけますでしょうか」は、捉え方の個人差はあるものの、文法的にはおかしくない表現とされる理由や言葉の意味、使い方を紹介してきました。

言葉ですから、使い方や捉え方には個人差もあります。

相手に依頼をする場合にもその表現はいろいろありますが、まずは言葉の仕組みや意味を知り、相手との関係や場面によってよりふさわしい表現を選り分けることが大切ですね。

(井上明美)

※画像はイメージです

※この記事は2020年10月29日に公開されたものです

井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)

国語学者、故金田一春彦氏の元秘書。言葉の使い方や敬語の講師として、各市町村・企業・学校、金融機関、医療関係など幅広い教育研修の場で講義・指導を行う。長年の秘書経験に基づく、心くばりに重きを置いた実践的な指導内容には定評があり、敬語・話し方のほか、手紙の書き方に関する講演や執筆も多い。

著書に『敬語使いこなしパーフェクトマニュアル』『最新 手紙・メールのマナーQ&A事典』(ともに小学館)、『一生使える「敬語の基本」が身につく本』(大和出版)など多数。ウェブサイト「All About」では「手紙の書き方」のガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/159/)を務めている。

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