
東京23区在住女子の婚活が難航する理由
未婚率の上昇、若者の恋愛離れ、男性の結婚意欲の低下……。婚活女子にとって耳をふさぎたくなるような情報が巷にはあふれています。そこで、独身研究家の荒川和久さんに、知らないと困る“結婚と恋愛の数字”について教えてもらうことにしました! つい現実から目をそむけたくなりますが、正しい情報、正しい数字を知って、婚活難を乗り越えましょう。
商いにはマーケティングが必須です。需要のないところでいくら商売をしても売れませんよね。
また、ターゲット設定も大事です。タピオカが若い人に人気だからといって、高齢者しかいない田舎で店を出しても売れません。
婚活もマーケティングと一緒です。
前回の記事(「男余り」の都道府県とは。アラサー未婚男子はどこにいる?)で、日本の未婚者は300万人余の男余り(20~50代)だという話をしました。
しかし、婚活の現場にいるアラサー女子からはこんな声も聞かれます。
「男余りと言われても実感がない。婚活パーティに行っても、男性のほうが少ないし、場合によっては女子会になることもある」
なぜ、未婚者の人口差では300万人以上も男性の数が多いのに、そんな事態になってしまうのでしょうか?
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婚活女性が「女余り」だと感じる理由
婚活女性が「女余り」を感じる理由は、男女年代によって結婚意欲に大きなズレがあるからです。
本連載第2回の記事(「結婚願望がない男性が増えている」がウソな理由)でもご紹介しましたが、「結婚したい男女は9割説」は正しくありません。
正確には、18~34歳未婚者でいえば、結婚に前向きな割合は男4割、女5割程度しかいないのです。この1割の男女差が、婚活現場での女余りにつながっています。
具体的に、2015年出生動向基本調査に基づき、アラサー年代の結婚前向き(1年以内に結婚したい+理想の相手ならしてもよい)人口を算出すると、25~29歳では男51%・女67%、30~34歳では男64%・女73%と、それぞれ大きな差があります。
都道府県別男余り・女余り率ランキング
これらの結婚意欲の差を未婚男女人口と掛け合わせると、おもしろい結果になります。
もちろん、こうした結婚意欲の差は、エリアによって同一ではありませんので、全国平均の結果をすべてに掛け合わせることが正しいとはいえません。が、一応の目安にはなるでしょう。
前回の記事の単純な人口差による都道府県別男余り人口ランキングと比較してみてください。
男女それぞれの結婚前向き率を加味した男余り人口ランキングは以下の通りです。男余り率は当該年齢の未婚男性人口を分母として再計算しています。
黒字が男余り、赤字が女余りの都道府県です。上に行くほど男余り率が高く、下に行くほど女余り率の高い都道府県ということになります。
左から25~29歳のランキング、真ん中が30~34歳のランキング、一番右が25~34歳の総合ランキングです。
なんと、25~29歳では、男余り県はたったの7県となり、女余り県が40県と、全体的に女余り状態になります。
逆に、30~34歳になると、今度は、女余り県が減ってたったの3県となってしまいます。
大都市の多くが「女余り」
アラサー(25~34歳)合計では、19県が女余り県。その女余り県の中には、東京・大阪・兵庫・福岡などの大都市が含まれます。
人口集中するエリアにおいて、結婚前向き人口での男女差を見ると、圧倒的に女余りになってしまう。
これこそが、婚活の現場で男が足りない状況の原因なのです。
東京23区は圧倒的に「女余り」
特に注目は、東京都全体とは別に抽出した東京23区です。
鹿児島、福岡、奈良、大阪についで東京23区が女余り5位。東京都全体と比較してわかるのは、東京の中でも23区が圧倒的に女余りだということです。
東京にいて婚活に苦労する原因はこんなところにあったのです。
30代前半は「男余り」だが安心できない
よかった、30代前半になれば全体的に男余りなのね! と油断はできません。
実際の結婚のマッチングでは、同年齢婚ばかりとは限らないからです。
女余りの20代後半の婚活女子が、30代前半の男余りの男性とマッチングする場合も多いですよね。
「男余り」の上位7県と下位3県は不動
とはいえ、ランキングを見てお気づきかと思いますが、25~29歳でも30~34歳でも、男余りの上位7県(栃木・茨城・群馬の北関東と福島、愛知に加えて、静岡、富山)と、下位3県(鹿児島・福岡・大阪)は不動です。
単純な人口差であろうと、結婚したい人口で見ようと、男余り県は男余りであることに変わりはありません。