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デートDVの定義と種類とは? 弁護士が教える原因と対策

刈谷龍太(弁護士)

デートDVからあなたを守ってくれる法律

デートDVからあなたを守る法律もいくつか存在します。もしものときに備えて、ぜひ覚えておいてください。

DV防止法(配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律)

この法律は、主に配偶者から暴力を受けた被害者を保護するために制定されたものですが、平成26年から同居している恋人間のDVにも適用されるようになりました。

被害者やその家族への接触禁止命令や、住居からの退去命令などを出してもらうことができます。ただし、同居していない恋人間のDVには適用されません。

ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)

別れたあと、彼がストーカー化してしまった場合は、ストーカー規制法によって処罰されます。ストーカー行為とは、同一の相手に対し「つきまとい等」の行為を繰り返し行うこと。この「つきまとい等」を、法律では次の8つのうちにあてはまるもの、としています。

(1)つきまとい、待ち伏せ、進路に立ちふさがる、住居等の見張りや押し掛け
(2)行動を監視していると思わせるような内容を告知したり、相手が知り得る状態に置く
(3)面会・交際等義務のないことを行うよう要求
(4)著しく下品または乱暴な言動を行う
(5)無言電話、拒否されたのに連続して行う電話・FAX・電子メール
(6)汚物や動物の死体などの嫌悪感や不快感を抱かせるような物を送付したり相手が知り得る状態に置く
(7)名誉を害するような内容の告知や相手が知り得る状態に置く
(8)性的羞恥心を害する内容の告知や文書・図画などを送付したり、知り得る状態に置く

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となり、警察署長等は、加害者に対して「ストーカー行為をやめなさい」と警告を出すこともできます。また、この警告に従わずストーカー行為を繰り返すと「禁止命令」を出すことができ、さらにこれに従わない場合は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金とさらに重い処罰を受けることになります。

警視庁のHPでは、ストーカー行為をやめるよう警察署長等から警告を出されたら、ほとんどのものがその後ストーカー行為をやめているとしています。そのほかにも、防犯ブザーの貸し出しなども行っておりますので、つきまとい等を受けた場合は、すぐに最寄りの警察署に相談してください。

その他の法律

肉体的な暴力は、もちろん法律で罰せられます。

肩を突き飛ばす、腕を強く引っ張るなどの行為は暴行罪(刑法208条)として2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料とされています。たとえば、投げたものが当たらなかったなど肉体的な接触がなかったとしても、暴行罪は成立するとされています。

また、暴行によって怪我を負わされてしまった場合、相手は傷害罪(刑法204条)として罰せられることになります。罪はさらに重くなり、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

「別れるのなら裸の写真をばらまいてやる」などと脅した場合は脅迫罪(刑法222条)として2年以下の懲役又は30万円以下の罰金となりますし、実際にそういった写真をばらまくとリベンジポルノ法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)で3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられることになります。

さらに、恋人間であっても、合意のない性行為は強姦罪(刑法177条)が成立する可能性があります。彼女が拒否をしているのに暴力や脅迫によって性行為に及んだ場合には3年以上20年以下の懲役と重い刑罰が待っています。

デートDV対策を知っておこう

デートDVをする相手は「はじめはそんな風に見えなかった」というケースもめずらしくありません。だからこそ、デートDVのリスクが潜む場面や、その対処法について適切な知識を持っておきましょう。

自分の身を守るのは自分自身。万が一のとき、正しい知識はきっとあなたの身を守ってくるはずですよ。

(刈谷龍太/グラディアトル法律事務所)

※画像はイメージです

※この記事は2017年05月17日に公開されたものです

刈谷龍太(弁護士)

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研鑽を積み2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所( https://www.gladiator.jp/ )を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラムの執筆などを行う。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務においても顕著な活躍を残す。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決や提案力などに定評がある。

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