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【妊娠出産のウソ&ホント】おしりが大きい人は安産になるってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

おしりが大きいと、よく「安産型だね」と言われがちですが、そもそも「安産型」とは具体的には何を指しているのでしょうか? そして実際に、出産はスムーズに進むものなのでしょうか? 一方で、おしりが小さい人は「難産型」なのでしょうか? 今回は、そんな安産型のおしりにまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.おしりが大きい人は安産になるってホント?

<読者の声>

・なぜ安産型と言われるのか。(23歳/建設・土木/技術職)
・おしりが小さい人は難産になりやすいのか不安。(24歳/農林・水産/事務系専門職)
・おしりの大きさよりも、骨盤の大きさ・安定感のほうが重要だと思う。(27歳/情報・IT/事務系専門職)
・実際におしりの大きい先輩が「超安産だった」と言っていた。(29歳/その他/秘書・アシスタント職)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
う~んです!

なぜなら、「おしり」とひと口に言っても、それがどこを指すかによって、大きい=安産型とは言えないからです。

まず、骨盤が広くて大きい人が安産になるというのは本当です。というのも、赤ちゃんが生まれる際の最難関が、「お母さんの骨盤を通れるかどうか」なんです。つまり、骨盤が広ければ広いほど、赤ちゃんはスムーズに通り抜けることができます。

一方で、臀部(骨盤の後方にある、筋肉などが集中する部分)にお肉がついていて大きい人に関しては、安産には関係ありません。あくまで、骨盤の大きさが出産には重要です。

だからといって「おしり(=骨盤)が小さい人は難産になりやすい」と不安に思う必要もありません。人間の体はうまくできていて、妊娠をすると出てくるホルモンのおかげで、骨盤の骨をつないでいる靱帯がゆるむのです。すると、最終的には赤ちゃんが通れるくらいまで骨盤の出口が自然と広がりますので、過度に心配しなくても大丈夫ですよ。

たしかに身長が低かったりおしりが小さかったりする人は、そうでない人よりも難産や帝王切開の確率は若干ですが増えます。しかしお産はトライしてみないとわからないため、杞憂に終わることもしばしば。それでも不安に思うのであれば、さすがに骨格自体を安産型に変えることは難しいですが、ヨガやストレッチをして、なるべく骨盤や股関節をやわらかくしておくようにしましょう。

ちなみに、赤ちゃんは回転しながら出てくるため、いくら骨盤が大きくてもゆがんでいれば軌道が遮られ、分娩が途中で停止してしまうことがあります。最悪、緊急帝王切開になってしまうことも……。ですから、「私は骨盤が広いから大丈夫」と安心している人も、脚を組んだりヒジをついたりなど骨盤がゆがむ原因になる姿勢には、普段から気をつけるようにしましょう。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年10月29日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

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