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【栄養学講座】第10回:妊娠力を低下させる!? “糖化”が引き起こす悪影響とは?

細川モモ

食事の内容を見直して血糖値の安定を

糖化を促進させるインスリン抵抗性にかからないためには、とにかく予防が大切です。食事・運動・睡眠すべてが血糖値の安定に関係しているため、生活習慣そのものを見直したいところですが、まず今日からできる食事について見直してみましょう。なにを食べるかが食後どれくらい血糖値が上がるかを決めますので、糖質を含む炭水化物や甘いもの、アルコールやジュースといった飲料について見直してみることをオススメします。ただし、よい炭水化物を抜いてしまうと妊娠の成功率は大幅に低下しますので、抜けばいいという安易な考えは危険です(詳しくは炭水化物の回をご覧ください)。

よい炭水化物を中心に食べ、甘いものやジュースはほどほどにしておくことがAGEs蓄積を防ぎますが、同時にビタミンの摂取を意識しましょう。とくに、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1の摂取が有効です。

働く女性は1日の摂取カロリーの約15%をエンプティカロリーといっておやつや菓子パン、ジュースやアイスなどからカロリーを摂っています。WHOの基準に照らし合わせると、角砂糖15個分の糖質を減らす必要がある状況です。一方、ビタミンB1の不足率はなんと95%! ほとんどの女性が足りていません(※3)。糖質過多のビタミン不足という状況は妊娠を考えると危機的状況にあるといえます。

最近、豚肉やウナギ、鮭やたらこを食べましたか? また、ごはんやパンは白米や食パンではなく、ビタミンB1を含む胚芽米や胚芽パンをチョイスしていますか? ごはんや麺類に海苔をかけるだけでビタミンB1をチャージすることができますので、鮭やたらこのおにぎりは働く女性の強い味方といえます。不足率が高いのはそれだけ取りにくいから。積極的に雑穀や胚芽を足すなど、意識してビタミンB1を摂取しましょう。

スイーツのAGE対策は飲み物で!

そうはいってもスイーツはやめられないし、ストレス解消に欠かせないという人も少なくないでしょう。そんな人にオススメなのが一緒にいただく飲みものでAGEsの生成を抑制することです。ケーキやおやつを食べるとき、何を一緒に召し上がっていますか? コーヒーや紅茶が一般的かと思いますが、今日からはカモミールティールイボスティーにしましょう。和菓子の場合は緑茶、中華のときは甜茶を選ぶことでAGEsの生成を抑制できます。お手軽で今日からはじめられますよね。

インスリン抵抗性は運動によって改善しやすいので、デスクワークで日頃の活動量が少ない人、けれど甘いものが大好き!という人は運動習慣をつけることによってリスクを軽減することをオススメします。

最終回を迎えて

子どもを望むすべての女性に願いを叶えてほしいという想いを込めて綴ってきた本連載も今回で終了です。今や結婚したカップルの6組に1組が不妊に悩んでおり、妊娠がそう簡単なものではないことが少しずつ理解されてきているように感じます。女性はある日突然不妊になるのではなく、ホルモンバランスや病気、食事などさまざまな要因でゆっくりと子どもができにくい体質になっていってしまう。そう考えると、結婚する前から自分のからだや食事について積極的に学び、知識と意識をもって選択を積み重ねていくことが大切だと感じています。お届けしてきた知識がみなさまのいつかの幸せのお役に立つことを心から願っています。

(文:細川モモ、構成:マイナビウーマン編集部)

【第3期まるのうち保健室開催のお知らせ】

1,300名の働く女性が参加し、ワンコインであまりに充実した内容から「予約が取れない保健室」と呼ばれた「まるのうち保健室」がバージョンアップして今年も開催されます! 体組成・骨密度・ヘモグロビンを測り、測定項目と健康・妊娠・出産の関係について専門家からアドバイスが受けられる貴重な機会。気になるプチ不調と体形や食事について学ぶことができます。今期はワンコインでさらに“カラダの錆び度”などがわかる尿検査が参加特典に。400名限定につき、お早めのお申し込みを。http://willconsciousmarunouchi.jp

(※1) Diamanti-Kandarakis E, et al. : Histochem Cell Biol. 2007 ; 127 : 581–589.
(※2) Jinno M, et al. : Anti-Aging Medicine. 2012 ; 9 : 6-13.
(※3) 「働き女子1,000名白書」/出典:「Will consious Marunouchi『まるのうち保健室』調査」Copyright©2015三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリAll Rights Reserved.

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.09)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

 

※この記事は2016年07月28日に公開されたものです

細川モモ

予防医療コンサルタント。両親のガン闘病をきっかけに予防医療を普及させるべく、米国で栄養学を学ぶ。医療と食の専門家による予防医療プロジェクト「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とNYに発足。2011〜2015 ミス・ユニバース・ジャパン ビューティーキャンプ講師を努める傍ら、卵巣年齢共同研究PJ、妊婦栄養研究PJといった共同研究を進める。働く女子1,400名が参加した「まるのうち保健室」を三菱地所とともに立ち上げ、日本初となる「働き女子1,000名白書」を発表。近著に、働く女性のプチ不調、お悩み別レシピ本『細川モモの美人食堂』などがある。また、4月7日(木)に、新刊『美人の食卓は1日2000kcal—人生をキラキラさせる“足し算”ダイエット 』が発売された。



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