
【妊娠出産のウソ&ホント】お産で“アノ部分”を切られても気づかないってホント?
将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!
初めてのお産。先輩ママから「とにかく痛い!」なんて言葉を聞くたびに、不安は増すばかり……。中でも気になるのは、赤ちゃんが出てくる“アノ部分”を切る「会陰切開」ではないでしょうか。未経験者にしてみれば恐怖でしかありません。読者アンケートでも「怖い」の声が続々と集まりました。切られたことに気づかないとも聞きますが、本当にそうなの? 今回は、会陰切開にまつわるウソ&ホントに迫りました!
本日の「ソボクな疑問」
Q.お産で“アノ部分”を切られても気づかないってホント?
<読者の声>
・考えただけで怖い……。出産した友達からはそれどころじゃないからいつ切ってるのかもわからないとか言ってたけど、出産が終わってからも痛そうで怖い。(31歳/建設・土木/事務系専門職)
・部分麻酔をするので痛くはないと聞いたことがあります。どんな感じに切るのか、どんな傷が残るのか不安です。(31歳/情報・IT/営業職)
・切ることを初めて知った……。必須なのでしょうか!? 痛そうだし出産後どうなるのか不安……。(26歳/医薬品・化粧品/技術職)
・怖すぎる。想像できない! どうにかして切らないで産みたい! その方法があれば、教えてほしい。(27歳/生保・損保/事務系専門職))
尾西先生のアンサーは!?
答えは……
「ホント」です!
まず会陰切開をする場合は、局所麻酔をします。その際に針は刺しますが、陣痛の痛みにまぎれて気づきません。また切るときも、陣痛に合わせて処置するので、わからないことがほとんどです。
腟の出口と肛門の間=会陰を切るのは確かに「怖い」かもしれませんが、理由があって切っていることを理解しましょう。その理由は2つあります。赤ちゃんが出てくるときに会陰は薄く引き伸ばされるのですが、それが十分でないと自然に裂けることがあります。中には、直腸まで裂傷を起こして、産後に便漏れの原因になることも。そういった大きな傷ができることが予想される場合は、肛門方向に裂けないように4時または8時方向にスッと切り込みを入れます。もうひとつは、赤ちゃんの状態が悪くなっている場合。早く出してあげないと危険なときには切ります。
ですから、「必須なのでしょうか!?」という読者の声がありますが、必須ではありません。私がお産を手伝っているところは、基本的には切らないというスタンスの病院で、会陰切開率は4%。一方で、初産のお母さんは全員切るという病院もあります。病院によって方針がまちまちですので、なるべく切りたくない場合は、事前に確認・相談するようにしましょう。
「どうにかして切らないで産める方法」として紹介できるのは「会陰マッサージ」。妊娠中にオイルを使って会陰部をしっかりマッサージし、伸ばしておくだけでもだいぶちがってきます。
また「どんな感じに切るのか、どんな傷が残るのか不安」とのことですが、こちらもあまり不安にならなくても大丈夫です。自然に裂ける場合はのこぎりで切ったようにギザギザに切れてしまうため、キレイに治らないこともあるのですが、会陰切開はスッとなめらかな傷なので、キレイに治ることがほとんど。切ったあとは痛みが残りますが、3日~1週間もすれば落ち着いてきますから、必要以上に怖がらなくても大丈夫ですよ。
(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.19)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2016年06月18日に公開されたものです