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【栄養学講座】第5回:妊娠力アップには欠かせない! 「食べたい炭水化物」と「避けたい炭水化物」のちがいって?

細川モモ

結婚の予定はないけれど年齢的に出産のリミットも近づいてきている。この先、結婚して子どもがほしいと思ったときに「産めるカラダ」でいるために、今からできることはやっておきたい。そんな働くアラサー女性に向けて、予防医療コンサルタントの細川モモさんによる、産めるカラダを維持するために今から知っておきたい栄養学を全10回でお届けします!

こんにちは、細川モモです。みなさん、「炭水化物」と聞くとどのようなイメージを持ちますか? 多くの女性が「太りやすい」と回答するのではないでしょうか。中には糖質制限ダイエットで炭水化物を抜いているという人も少なくないでしょう。女性が糖質制限ダイエットにチャレンジする場合、炭水化物と糖質のちがいをしっかり述べられるようになってからにしましょう。ハーバード大学の大規模調査により妊娠前に「正しい炭水化物」を食べていない女性は食べている女性に比べ、排卵障害による不妊症リスクが55%高かったという報告があります(※1)。第5回目の今回は、「炭水化物」と妊娠力の関係についてお話したいと思います。

炭水化物と妊娠力の気になる関係

米・パン・麺類・野菜・果物・豆類などの炭水化物は「食べたいもの」「避けたいもの」に分類されます。食べたい炭水化物は食物繊維を多く含み、腸内環境を整えます。さらに、糖質と脂質の吸収をW抑制し、肥満を抑制します(食物繊維の総摂取量が多い人ほどBMIが低いことが国内外の研究で明らかになっています)。つまり、食物繊維を豊富に含んでいる炭水化物に「太る」という解釈は正しくありません。「食べたい炭水化物」とは、全粒粉の小麦や玄米や胚芽米といった未精製の穀類、豆類、野菜、果物です

一方、避けたい炭水化物は食物繊維やビタミン・ミネラルが削ぎ落とされ、シュガーに近い状態になっています。食べた直後から血糖値が急上昇しやすく、それを抑制しようとして分泌されるインスリンの働きにより今度は急降下し、日常的に「避けたい炭水化物」を常食していると血糖値の乱高下を招きやすいです。その状態が長く続くとインスリンが効きにくくなり、血糖値を下げにくい体質になっていきます。この状態を「インスリン抵抗性」といいますが、こうなると卵子の生育障害などが起き、不妊症リスクが高まってしまいます。

みなさん、月経周期に関わらず基礎体温計で排卵の有無は確認していますか? 白米や食パン、うどんやスイーツなど、精白された炭水化物やお菓子が大好きという人、体脂肪率が高すぎる人、運動不足の人は排卵障害の原因のひとつである「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」に気をつけましょう。多くの女性が無自覚に発症している排卵障害ですが、米国ではもっとも多い不妊症の原因とされています。多嚢胞性卵巣症候群は多くの場合、インスリン抵抗性を伴います。たとえ、インスリン抵抗性でなかったとしても、3~4カ月の平均血糖値を示す指標であるヘモグロビンA1cが高めの女性は正常値より低い女性に比べ、妊娠する確率が半分だったことがデンマークの研究によって明らかになっています。

この背景には、血糖値が乱高下してしまう食生活と生活習慣があります。炭水化物が血糖値を上げるなら炭水化物を控えたほうがいいという解釈になってしまいがちですが、炭水化物は腸内細菌を育むデンプンや食物繊維・ビタミン・ミネラルの貴重な供給源であることを忘れないで下さい。腸内細菌は妊娠力に欠かせないビタミンB群や前回特集したビタミンDを作り出す力があり、食べたい炭水化物を控えてしまう女性は排卵障害のリスクが高まってしまうのです(※2)

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