お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【新連載】蒸し暑い地下鉄の駅。突然の出会いは思いもよらないもので……

扉を開いてカフェの中を見渡すと、
少し遠くの席で、井上さんが軽く手を上げた。
ここで始めてわたしは井上さんの、
背が高いことに気がついた。

実はわたしも女性としては、かなり背が高い。
172センチある。
だから男性と接する時は、
できるだけ相手のプライドを傷つけないよう、
そしてそうしていることを悟られないよう、
気を使うことが習性になっている。

でも井上さんなら、気を使わなくてもよさそう。
そう思うだけで、かなりホッとできる。

呼ばれるままに向かいに座り、
わたしはまず、シャツの入った袋を、
井上さんに手渡した。
「お荷物になってしまいますが、
シャツ、お返ししますね。
最初、会社にお送りしようと思ったんですが」

「ありがとうございます。
そうだった、お渡ししていたんだ」
笑顔で袋を受け取った井上さんは、
とても無邪気な印象で好感が持てた。