【心理セラピーで悩み解決】先輩のアドバイスが受け入れられない自分、どうすれば?
東京・千石駅にあるスピリチュアルサロン「Orange Room」のセラピスト、橋津和枝さんが、毎回読者のお悩みにお応えします。今回は、仕事関係に悩みを持つというRさんの悩みを聞いていただきました。
◆今回のお悩み
「ズルのできない私」
入社して4年目。特殊な仕事内容ということもあり、まだまだ一人前とは言えず、周囲の先輩に教えてもらいながらの毎日。ある先輩のアドバイスがどうしても受け入れられず、悩んでいます。
(27歳/Rさん/金融)
Rさんは入社して4年、コツコツと自分なりにキャリアを重ねてきました。そんなある日、新しい先輩がRさんの部署に入ってきたそうです。この先輩はとても仕事のデキる人で、部署で一番若手のRさんを育てようといろいろアドバイスをしてくれるんだとか。ところが、これがRさんの悩みの種となってしまったのです。
◆なぜだかわからないけれど聞けない
Rさんはこれまで、わからないことは自分なりに調べて納得し、それでもわからないときは周囲の先輩に聞くという仕事のやり方でした。そのため、どうしてもスピーディには仕事が進まないようです。
そこで、先輩はRさんに、「わからないことは自分で調べたりしないで、すぐに聞けばいい」、「なぜすぐに聞かないの?」と声をかけるそうです。しかし、Rさんは先輩にそう言われても、どうしても「すぐに聞く」ということが頭では理解しているけれど、できないと言います。
そして、「先輩はどうして私のやり方を受け入れてくれないのだろう?」、「なぜ私を否定するの?」という気持ちにまで膨れ上がってきたのだそう。先輩の言葉が、Rさんにとって、大きなストレスとなっていたのです。
さて、ここまでを読んで、「どうして聞けばいいことなのにできないの?」、「私なんて、すぐに聞かないで自分で考えろ! と言われて苦労してるのに」などと思った人もいるかもしれませんね。でも、頭では理解していてもできないことって、誰にでもあるはずです。
こうしたほうがいい、ということはわかるけれど、できない。だから苦しい。
これは、無意識の部分にある「もうひとりの自分」がいるからなのです。頭では理解していても、心の深いところにいる自分が、実行に移すことをなかなか許そうとしないのです。
◆楽をすることはズルイこと
では、Rさんはなぜ“わからないことをすぐ人に聞く”ということを“絶対にいけない”ことだと思っているのでしょうか? Rさん自身は、「昔からずっとそうだったから」というぐらいの認識しかなかったのですが、少しずつ掘り下げてみると、Rさんの心の闇にたどりつきました。
Rさんは、初めは「すぐ人に聞いてしまったら、自分が成長できないからよくない」と言い、自分には「苦あれば楽あり」という考え方があるということを語りました。そしてそれは、Rさんの母親の考え方でもあったようです。Rさんはいつしか、自ら苦労をすることをよしとして、簡単な道は“あえて”選ぼうとしなくなっていたのです。
でも……ただ「苦あれば楽あり」という考え方だけではない、もっと深い部分に、本当のRさんの思いが隠されている、そう感じた筆者は、
「なぜ『楽あれば楽あり』ではいけないのでしょうね?」
と、あえて質問してみました。すると、Rさんはしばらく考えてから「それはズルをすることになるから」と答えました。Rさんにとって、楽をすること=ズルをすることだったのです。
実は、Rさんには妹さんがいて、小さいころ2人でケンカをすると、いつも母親は「妹に勝ちを譲りなさい」とRさんに言っていたそうです。そして「妹はとても要領のいいタイプで、私とはぜんぜんちがう」と話すRさん。Rさんは、いつも要領よく振るまう妹に対して“ズルい”という強い怒りを持っていました。そして「私はいつも我慢ばっかりさせられて、嫌なことだってやっているのに、妹は楽をしていてズルい」と感じる一方で、「私は楽のできない人、楽をしてはいけない人」と決めてずっと生きてきたのです。
だからRさんにとって楽をするということは、これまでの自分を否定することにもなり、絶対にできないことでした。
だけど、本当はRさんだって、ときには楽をしたこともあれば、ズルをしたいと思うときもあります。それをずっと心の奥深くにしまい込んだまま過ごしてきたRさんは、この思いに気づき、自然と涙があふれてきました。そして、自分自身と向き合い、自身を許すことができるようになったのです。
◆今回のまとめ
心の奥深い部分にいるもうひとりの自分。この自分が何を考え、本当はどんな気持ちでいるのか。それは、現実で起きていることすべてに映し出されています。Rさんの悩みの種だった先輩は、Rさんが本当の自分に気づくためのメッセンジャーだったのです。セッションを終えたRさんは、「わからないことはきちんと人に聞くことができそうな気がしてきた」と、とても晴れやかな表情になっていました。今後、先輩との関係も大きく変わることでしょう。自分にとって障害と感じる人、それは本当の自分に気づくためのありがたき存在ということもあるのです。
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◆Orange room
http://ameblo.jp/904i/
(Orange Room 橋津和枝)
※この記事は2014年01月21日に公開されたものです