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【新連載】20代最後の夜を、ひとりぼっちで迎えるなんて

「ありがとう。でもそんな気をつかわないで。
それよりわたしたち……結婚しない?」

そう言うとオードブルを食べていた駿の手が、
ピタッと止まった。
う、やっぱりこの話は早かったかな?
でももう黙って待つのが苦しくてしかたない。
未来の自分を描けないなんて、つらすぎる。
だからなるべく何気なく、
できる限り軽い調子で聞いたつもりなんだけど。

「そんな、いきなり」と駿の顔色は瞬く間に曇る。
そうした駿の表情を見た瞬間、
自分の中で何かがブチッと切れた。

「いきなりじゃないよっ、
もう6年も同棲して何度も話したでしょ!」

自分でも、驚くくらい大きな声が出た
すると駿は、怯えたような表情になり
「ともかくもう夜中だし、明日話をしよう」
そう言って、力のない笑顔で手をあげると、
スタスタとベッドルームに消えていった。

いつもそうだ。今まで何度もこうして、
結婚の話題から逃げられている。
わたしはドッと落ち込んだ。もう涙も出ない。

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