お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【新連載】20代最後の夜を、ひとりぼっちで迎えるなんて

よほど怒っているのか、
いつもの必ず使うスタンプを使っていない。
「だから、こんな中途半端な生活イヤだって、
今までさんざん説明したよね」
わたしもスタンプを使わずに、返事をした。
するとすぐに、スマートフォンが鳴った。
「だけど、いきなりいなくなるってさ!」
「だから、いきなりじゃなくて説明したよ」
「だって、本気だなんて思えなかったよ」
「じゃあ、今だって本気にしてもらえないかも」
「あ、いやそれは……」
「ともかく、もう終わったことだから」
わたしは通話を切り、そのまま電源をOFFにした。

それから一週間、駿から連絡はない。
そして……わたしはひそかに、
ひとりになったことを後悔し始めていた。

まず、経済的に苦しい。
家賃と水道光熱費、通信費を差し引くと、
使えるお金は思いのほか少なかった。
それにひとりになったからといって、
将来のキャリア設計が見えてくるわけはなく、
婚活をするにも、やはり先立つ物は必要なのだ。
「かえって心細さが増しただけかも……」
愚痴を言っても、返事をしてくれる人もいない。

次のページを読む

SHARE