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【新連載】20代最後の夜を、ひとりぼっちで迎えるなんて

Story4 ★未来をつかみ取るために

引越しは駿が休日出勤の日に、強行した。
ポストイットで印をつけた物だけ、
引っ越し屋さんに荷造りをお願いした。
わたしも下着や貴重品などをダンボールに詰める。

本当はもっと駿と、別れや出て行くことを、
話し合う必要はあったかも。
だけど、あんなに結婚がイヤそうな彼に、
これ以上お願いするのもつらすぎる。
それに今の状態だと転職する時に
「この先、結婚や出産はどうするつもりですか」
と聞かれても「わかりません」としか答えられない。
どちらにしても、もう限界だ。

運んでもらった荷物は思ったより少なかった。
新居は意外にガランと広く、少し寒々しい。
でも寂しいながらも、新鮮な気分でもある。

「よし。これからはまず婚活に精を出そう」
疲れもあって、その晩はもう荷ほどきは中止した。
かわりにコンビニで買った鍋焼きうどんを食べながら、
ポケットWi-FiとノートPCで婚活サイトを見よう
……と思った時に、スマートフォンが鳴った。
開けてみると、駿からのラインだった。
「これは一体、どういうことだよ!
今、どこにいるの? ちゃんと説明して!」

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