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単純接触効果とは? ビジネスや恋愛で使える心理テクニック

服部希美(心理カウンセラー)

単純接触効果とは、会う回数を増やして好印象を与える効果のこと。営業やマーケティングなどのビジネスや恋愛で活用できます。心理カウンセラーの服部希美さんが、単純接触効果を具体例つきでわかりやすく解説。併せて、マイナスな効果を生まないための注意点も紹介します。

「単純接触効果」とは、何度も相手と接触することで仕事相手に良い印象を与えたり、好きな人に振り向いてもらえたりする現象のこと。

この効果を上手に活用すれば、ビジネスや恋愛を有利に進めることができるかもしれません。

この記事では、単純接触効果の具体例や使い方をお伝えします。併せて、マイナスな効果を生み出す可能性がある注意点も紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

単純接触効果とは? 意味と実際の効果

単純接触効果とは、初めは興味がなかったものを何度も見たり聞いたりすることで、だんだん良い感情を抱くようになる効果のことを言います。

アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスが提唱したため「ザイアンスの法則」とも呼ばれています。

単純接触効果を辞書で引くと……。

「単純接触効果」という言葉を辞書で引いてみましょう。

ある対象に繰り返し接することで、肯定的な印象が強まる現象。

(『デジタル大辞泉』(小学館)

辞書を引いてみても、繰り返し同じ対象と接することでポジティブな印象が強くなることが分かります。

単純接触効果を英語で言うと「Mere exposure effect」

単純接触効果を英訳すると「Mere exposure effect」になります。ほんの、単なるという意味を表す形容詞「mere」に触れることを意味する「eposure」がついて、「単純接触」。

効果を表す「effect」をつけて単純接触効果という意味になります。

また、この説を発表した心理学者のロバート・ザイアンスの綴りがRobert Zajoncとなることから「Zajonc effect」で「ザイアンスの法則」と呼ぶ場合もあるでしょう。

単純接触効果ってどんな効果?

どうしてこの効果が起きるのかは諸説あり、今でも世界中で研究され続けている効果の一つです。

例えば、こんな経験はありませんか?

・見慣れた故郷の風景を見るとホッとする。

・それほど興味がなかった曲なのに、街中やCMで流れているのを聞いているうちに、思わずダウンロードしてしまった。いつの間にか鼻歌を歌っていた。

こうした経験は、単純接触効果が働いて起こったものかもしれません。

また、単純接触効果は物だけではなく、人や匂いなどにも効果が現れます。

同じ人と何度も接触しているうちに相手の警戒心を解き、親しみが湧くという効果も期待できますから、仲良くなりたい相手と会う回数を増やすと、好意や信頼を得やすくなると言われているのですね。

サブリミナル効果との違い

単純接触効果と似た用語に「サブリミナル効果」というものもあります。これは、非常に小さな刺激を与えることで人間の潜在意識に影響を与える効果のこと。

サブリミナル効果は刺激を刺激として認識できない程度の一瞬のメッセージを伝えるのに対して、単純接触効果はきちんと認識できる刺激を与えるのが大きな違いです。

参考記事はこちら▼

サブリミナル効果について詳しく解説しています。

単純接触効果の具体的な活用例【ビジネス・職場編】

ここからは、単純接触効果の具体的な活用例をご紹介します。皆さんの状況に合ったものを取り入れてみてくださいね。

(1)何度も訪問先を尋ねる

例えば、あなたが営業職であれば、相手先を訪問する回数を増やして信頼を得ると良いでしょう。

単に会う回数を増やすだけでなく、率先してあいさつを交わしたり、笑顔で会話をするよう心掛けたりすると、「返報性の原理」により、相手からも好意が返ってきやすくなります。

また、自社の記念品などを渡して相手に使ってもらうことで、あなたを思い出す機会を増やすのも効果があります。

返報性の原理とは

「返報性の原理」を簡単に言うと、何かをもらうと返したくなる心理のこと。こちらが好意を示すことで、相手からも好意が返ってきやすくなる原理を指します。

参考記事はこちら▼

返報性の原理について詳しく解説しています。

(2)あいさつメールやSNSを活用する

単純接触効果は直接会わなければいけないと誤解しがちですが、メールやSNSによる接触でも効果が期待できます。

メールやSNSは電話や対面でのコミュニケーションに比べて、相手の負担を軽減できるため、比較的気軽に接触を増やすことができますよ。

あいさつやお礼のメール、SNSでの発信を増やしてみましょう。

参考記事はこちら▼

ビジネスメールで使える事項の挨拶をご紹介。ぜひ参考にしてメールを送ってみてくださいね。

(3)CMでサービス名をアピールする

たとえ短いCMだったとしても、消費者の目に触れる機会を増やすことで、購買意欲を高められるかもしれません。

同じように、看板や販促ポスターなども効果的。消費者の目に触れやすい場所に設置することで、単純接触効果が期待できますよ。

もしあなたがマーケティングの担当であれば、メールマガジンを発行するのも一つの手です。いかに相手の目に触れる機会を増やすかがポイントです。

(4)電車やバスなどの中吊り広告を使う

電車やバス、駅などの中吊り広告で商品をアピールするのも、単純接触効果が期待できる事例の1つです。

通勤や通学で使う交通手段は、同じになりやすいですよね。例えば週5日間、電車内で同じ中吊り広告を目にした消費者は、商品やブランドに対して良い印象を抱きやすくなるかもしれません。

(5)目につく場所にチラシを貼る

人々の目につく場所にチラシを貼るのも良い方法です。

また、チラシを配布する場合も1回きりではなく2回、3回と配り続けることで、単純接触効果が期待できるかもしれません。

単純接触効果の具体的な活用例【日常生活・恋愛編】

続いては、日常生活や恋愛で単純接触効果を活用する例を紹介します。

(1)会う回数を増やす

片思いの人と接触する口実を上手につくり、会う回数を増やしてみてください。

ただし、「たくさん話して印象づけなきゃ!」と頑張りすぎてしまったり、相手の反応を気にしすぎたりすると、あなたの良さが消えてしまいます。

できるだけ軽い気持ちで、楽しい時間を積み重ねてみてくださいね。

(2)短時間のデートを重ねる

単純接触効果は、接触する時間の長さよりも回数の多さが重要とされています。

付き合い始めや、知り合って間もない時期には「イベント盛りだくさんの1日デート」よりも「短めのデートを何度も重ねる」と良いでしょう。

感覚としては、「少し物足りないかな?」「また会いたいな」と感じるぐらいがベスト。

仕事終わりに夕食を一緒に食べて解散する、とか、休日のランチの時間だけデートする、とか、互いに無理をしない程度に会う回数を増やすことで、良い効果が期待できますよ。

参考記事はこちら▼

初デートに最適な時間はどのくらい? 恋愛コラムニストが解説します。

(3)メールやLINEの回数を増やす

「おはよう」「おやすみ」を毎日必ず送る、まではやらなくても良いのですが、メールやLINEの回数を増やすことで単純接触効果が期待できます。

その際、相手に返事を求めすぎないことがポイントです。相手には相手の生活がありますからね。

徐々に相手のペースに合わせていきましょう。

参考記事はこちら▼

好きな人とのLINEを長続きさせるテクニックを紹介しています。

(4)インスタなどのSNS投稿をする

直接相手の目に触れることが難しいならば、インスタなどのSNSに投稿をして相手の目に触れる機会を増やすのも有効です。

アカウントをフォローしており、よくいいねやコメントなどのアクションを起こしてくれている相手のことが気になっているならば、この方法を試してみるのはどうでしょうか。

この時、自分の顔が映っている写真などを投稿するとさらに効果が高まるかもしれません。

(5)相手の視界に入る回数を増やす

職場や学校などの同じコミュニティ内の人が気になるならば、その人の視界に入る回数を増やすだけでも単純接触効果が期待できるかもしれません。

気軽にあいさつができる間柄ならばあいさつをしたり雑談を振ったりする方法がありますが、まだ話したことのない相手ならば視界に入るのがまず有効と言えます。

参考記事はこちら▼

恋を成就させる方法は他にもたくさん! 恋愛コラムニストが解説しています。

マイナスになることも? 単純接触効果の注意点

単純接触効果はとても簡単そうに思えますが、単純に接触回数を増やせば良いというわけではありません。

使い方を間違えると、効果がマイナスに働いてしまう可能性も。単純接触効果を活用する時に、注意すべき点をご紹介します。

(1)接触回数を一気に増やしすぎない

人はよく知らない人や素性が分からない人に対して、警戒心を抱きます。

そのため、まだ知り合って間もない段階で急にぐいぐいと距離を詰めてしまうと、相手から拒否されてしまうことも多いです。

特に恋愛関係では、「早くしないと誰かに取られてしまう」という焦りから、一気に近づきすぎて相手に距離を取られてしまったという失敗談をカウンセリングでもよくお伺いします。

大切にしたい相手ほど、焦って距離を詰めようとせずに、短時間の接触を増やしていくことがポイントですよ。

(2)単純接触効果には上限がある

実は、単純接触効果は会う回数が多ければ多いほど効果があるということでもありません。

とある実験では、10回が好感度のピークとなり、それ以上はいくら接触回数を増やしても効果が上がらないという結果が出ています。

例えば、好きな曲でも聞きすぎると飽きてしまったりしますよね。ですから相手と仲良くなりたい時は、10回以内で関係を進展させるのがおすすめです。

(3)相手に無理強いをしない

残念ながら、単純接触の効果は二極化するといわれています。

つまり、会う回数を増やしたことで好印象を持ってもらえるか、悪印象を持たれてしまうか、どちらかに結果が分かれてしまうのです。

単純接触効果は、自分に対してマイナスイメージがある相手にやってしまうと逆効果になってしまい、余計に印象を悪くしてしまいます。

相手の拒否反応を感じた時には、悪い印象が薄れるまで身を引いた方が、その後のリカバリーがしやすくなります。

単純接触効果を味方につけよう

単純接触効果について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

単純接触効果をうまく使いこなせば、コミュニケーション能力や才能の有無を問わず、仕事で成功を収めたり、仲良くなりたい人と親密になれたり、好きな人を振り向かせたりできるかもしれません。

あなたが相手と良い関係を築くことは、相手にも幸せな関係を提供することにつながります。

ぜひ単純接触効果を活用いただき、大切な人と良い関係を築いてくださいね。

応援しています!

(服部希美)

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