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初心者&女性向け! スクワットの効果とやり方

Hiromi(パーソナルトレーナー/理学療法士)

太ももを効率良く鍛えられるトレーニング「スクワット」。どんなフォームで何回くらいやれば良いのか知っていますか? 今回は、効果的なやり方や注意点についてトレーナーのhiromiさんに解説していただきました。

筋トレの王道といわれる「スクワット」。

私が行っているパーソナルトレーニングでは必ず全員にスクワットのやり方をお伝えしています。それだけ基礎的な筋トレであり、全身を効率良く鍛えられる運動だからです。

また、運動が苦手な方や筋トレ初心者の方でもコツを押さえるだけで日常生活に取り入れやすい動きでもあります。

今回はスクワットで得られる効果や行う際の注意点などをご紹介します。

スクワットとは?

スクワットとは、上体を起こしたまま行う屈伸運動です。

スクワットとは

スクワットで最も鍛えられるのは太ももの大腿四頭筋です。正しいフォームで行うことで他にも内ももの内転筋、お尻にある大殿筋や中殿筋、背中の脊柱起立筋、ふくらはぎの腓腹筋などを同時に鍛えることができます。

また、スクワットの負荷量は膝を曲げる角度や回数、一定時間キープするしないによって簡単に調整できるので、筋トレ初心者~上級者まで幅広くおすすめできるトレーニングです。

また、わざわざジム通いをしたり、トレーニングの時間を作ったりして行う筋トレが続かないという人にこそ、器具が必要無く、いつでもどこでもできるスクワットはおすすめです。

スクワットの効果

スクワットをすることで得られる効果を3つご紹介します。

(1)太ももとお尻・お腹・背中のシェイプアップ

筋トレをすると筋肉量が増え、エネルギー消費量がアップします。そしてエネルギー消費量がアップすると脂肪を分解しやすくなり、全身のシェイプアップ効果が期待できます。
また、鍛えることで皮下脂肪が減少して体のシルエットが変化します。それにより、太ももとお尻・ふくらはぎ・背中がすっきりとします。

よりシェイプアップ効果を求めるのであれば、スクワットに加えて有酸素運動や栄養管理など他の取り組みも同時に行うと良いでしょう。

(2)膝の痛み予防

スクワットを正しいフォームで行うことで膝の痛み予防が期待できます。膝の痛みが生じる原因の1つとして、膝を曲げ伸ばしする際に正しい姿勢を取れていないことが挙げられます。

特に女性はつま先よりも膝が内側に入る姿勢、いわゆる内またになりやすく、それにより膝を痛めやすくなります。スクワットの正しいフォームを身につけることで姿勢も良くなり膝の痛み予防が期待できます。

(3)姿勢改善

スクワットは姿勢を保持したまま、上下に屈伸する運動です。美しい姿勢を保持する筋肉を俗に「姿勢保持筋」といいますが、スクワットでは頭~お尻までの上半身を一直線に保ったまま動くため、その姿勢保持筋を鍛えることができます。

初心者や女性向け! 正しいスクワットのやり方

スクワットの細かいフォームは専門家によって意見が分かれます。ここではバランス良く全身を鍛えることを重視したフォームをご紹介します。このフォームを意識することで、より効果的に脚の筋肉を鍛えることができますよ。

(1)こぶし1つ分、足を開いて立つ

スクワットのやり方1

こぶし1つ分が入る程度に足を開き、姿勢を正して立ちます。この際、つま先が膝と同じ方向に向いてまっすぐになるようにしましょう。両手は骨盤の位置を支えておきましょう。

(2)骨盤から上体を前傾させ、ゆっくりと下げる

スクワットとは

息を吸って準備、吐きながら骨盤から上体を斜め45度ほど前傾させます。そのままの姿勢で両膝を曲げながらゆっくりと上体を下げていきます。

太ももが床と平行になるよりもやや高い位置で止めて10秒キープ。その体勢で深呼吸を1~2回行います。特に息を吸う時よりも吐く時間を長くするように意識しましょう。

ポイント1

スクワットのやり方2

お尻はプリッと突き出しましょう。そうすることでお尻の大殿筋がしっかりと鍛えられます。

ポイント2

スクワットのやり方3

上体を下まで下げるのが難しければ、写真の位置程度で止まるハーフスクワットでもOKです。

(3)息を吐きながら上体を元の位置に戻す

膝を曲げた状態で息を吸って準備、吐きながら上体を約3秒かけて元の位置へ戻していきます。この(1)~(3)の動きを繰り返します。

ポイント

スクワットのやり方4

下腹をへこませたままで行いましょう。それにより、腹横筋という腹筋に力が入りやすくなり、体幹が安定してスクワットしやすくなります。

スクワットを行う際の注意点

誤ったフォームで繰り返しスクワットを行うと、効果が得にくいだけでなくけがや痛みが生じやすくなります。以下、間違ったフォームについて挙げますのでセルフチェックしてみましょう。

(1)つま先が上がっている

スクワットのやり方5

つま先が上がって重心がかかとに寄っていると膝を傷めやすいので、しっかりと足の指で地面を押さえるようにしましょう。

また、さまざまなメディアで「つま先より膝が前に出ないように」と指導されているのを目にしますが、それを意識すると足の指が浮きやすく、かかと重心になりやすいです。まず慣れるまでは膝が前に出てしまってもいいので、足裏全体に体重をかけることを意識しましょう。

(2)膝が内側に入ったり開いたりしている

スクワットのやり方NG例

写真のNG例のように、膝が内側に向いていたり、外へ開いていたりすると屈伸運動をした際に膝関節を痛める原因となります。なので、膝はつま先の方向へまっすぐ向くようにしましょう。

(3)胸を張り過ぎて背中が反っている

スクワットのやり方7

胸を張り過ぎて、背中が反った状態になると腹筋の力が抜けてしまい、腰に負担がかかりやすくなります。胸は張らず、腹筋に力を入れて行うようにしましょう。

(4)腰が丸まっている

スクワットのやり方8

腰を丸めてしまうと負担がかかりやすくなり、お尻の筋肉(大殿筋)をうまく使えなくなります。それにより膝関節への負担も大きくなり、膝を痛める原因となるので注意してください。

写真のOK例のように、腰を丸めず、お尻をプリっと突き出した姿をイメージして行うようにしましょう。

(5)膝を深く曲げ過ぎる

膝を深く曲げ過ぎると前ももの筋肉の張力が大きくなり、膝のお皿が太ももの骨を強く圧迫して負担がかかりやすくなります。

なので、膝を深く曲げ過ぎず、最大でも太ももが床と平行になるよりもやや高い位置でキープするようにしてください。

スクワットの回数や期間の目安

筋力トレーニングは一般的に、筋力アップ目的だと高負荷で回数少なめ(3~15回)、持久力をつける目的だと中負荷で回数多め(15回~)に行います。

上記で紹介したスクワットをどれぐらい行えば良いのかについての適正回数は人によってさまざまですが、大体の目安として10回×3セットを週3日以上行うと効果を感じることができるでしょう。それを約2カ月は続けてみてください。

筋トレで一番重要なのは、「続けること」です。一時的に行うだけでは筋力が定着しにくいからです。

筋力アップには大きく分けて2種類あり、神経系による筋力アップと筋肥大による筋力アップがあります。

前者は筋肉を制御する神経系が活性化して筋力がアップします。トレーニング初期の筋力アップはこれによるものです。

対して後者は筋線維が肥大して筋力がアップします。筋肥大は、トレーニング初期はほぼ変化がなく、トレーニングを約2カ月続けてようやく肥大し始めます。トレーニングの継続が重要な理由はこのためです。

スクワットの応用トレーニング

基本のスクワットが楽にできるようになってきたら、応用のスクワットにも挑戦してみましょう。

(1)万歳して両手を合わせたままスクワット

万歳して両手を合わせ、そのまま基本のスクワットを行います。両手を上げることで上体を前傾した時に、より背筋に力が入って鍛えられます。注意したいのは両手を上げた時になるべく胸を張らないようにすること。指先からお尻までが一直線になるように意識することで腹筋により負荷が掛けられますよ。

(2)基本の動きをスピードアップして行う

基本のスクワットのフォームが安定してきたら、徐々にスピードアップしてみましょう。基本のスクワットでは下へ下がった状態で約10秒キープしますが、スピードアップする際はキープせずに1秒で1屈伸します。まずは20回程度行ってみましょう。

ゆっくり行う運動では「遅筋」という持久力に優れた筋線維が鍛えられますが、スピードアップすることで「速筋」という瞬発力に優れた筋線維を鍛えることができます。速筋を鍛えることで、より体のシルエットが美しくなるといわれています。

日常に取り入れながら無理せず続けよう

スクワットは道具を必要としないので、日常生活に取り入れやすい動きです。例えば、椅子に座る時や立つ時、下に落ちている物を拾う時などにスクワットの体勢を少しの時間キープするだけでも筋肉を鍛えることができます。

今までたくさんの人に運動指導を行ってきた経験談ですが、運動が苦手な人ほど、「わざわざ運動をするぞ!」と意識するよりも日常生活に取り入れて行う方が継続しやすい傾向があります。

スクワットを日常的に取り入れて、日頃から筋肉を鍛えることを意識してくださいね。

(文・撮影/hiromi)

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