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自己嫌悪の意味って? 自分が嫌いな人の心理と克服法

高見綾(心理カウンセラー)

「自己嫌悪とは何か」を心理カウンセラーの高見綾さんが解説。自己嫌悪に陥る心理や原因、自分が嫌いになる感情の克服方法を紹介します。

理想と現実にギャップがあって思うようにいかないことが続くと、「なんで自分はこうなんだろう……」と自己嫌悪に陥ることがありますよね。

自分を嫌っているとき、私たちはひどい気分になります。

また自己嫌悪の状態にあるとき、人間関係や恋愛がうまくいかないなど弊害も生まれてくるもの。この負の感情、できれば手放していきたいですよね。

そこで今回は、自己嫌悪に陥る心理や、その克服方法について解説します。

自己嫌悪とは? 自己嫌悪の意味

よく聞く自己嫌悪という言葉ですが、そもそもどんな意味なのでしょうか。まずは、言葉の意味を整理していきましょう。

自己嫌悪とは「自分のことを嫌う感情」

自己嫌悪は文字通り、自分のことが嫌いだという感情です。

こうありたいと思い描いていた理想と、現実にギャップがある時に生まれます。劣等感を抱いて自分のことが愛せなくなるのです。

自分を責めて嫌な気分になり、そんなふうに自己嫌悪してしまう自分をさらに嫌ってしまう悪循環に陥るケースも多くあります。

辞書ではどう説明されている?

また、自己嫌悪の意味を辞書で引くと、以下のように説明されています。

じこ‐けんお〔‐ケンヲ〕【自己嫌悪】
自分で自分自身が嫌になること。「自己嫌悪に陥る」

(「デジタル大辞泉」小学館)

嫌いの「嫌」に、不快や醜さを表す「悪」で嫌悪。ネガティブで、自分のことを受け入れられないさまを表していると言えるでしょう。

別の言い方をすれば、

・自己不信
・自己否定

などが当てはまるでしょう。

自己嫌悪に陥っている人の特徴

ここからは、自己嫌悪に陥っている人の特徴を分析していきます。「今、自己嫌悪している状態?」と悩んだら、自分と照らし合わせてみてください。

(1)自分の姿を鏡で見たくない

自分のことが嫌いで許せない時、自分の姿を見たくないと思うはずです。

そのため、「鏡を見たくない」という衝動に駆られることがあるでしょう。また、鏡を見て、自分の見た目を卑下したくなったり、目を背けたりすることも……。

今のあなたは、自信を持って鏡の中の自分を愛せるでしょうか? 向き合いたくないのは、自己嫌悪に陥っているサインかもしれません。

(2)「私なんて」が口癖になっている

自分のことを否定するのが癖になっている状態も、自己嫌悪に陥っていると言えるでしょう。謙遜から始まり、本当に「自分なんてダメだ」と思い込んでしまうこともありそう。

自分に対して、ついネガティブな発言をしてしまっているなら、自己嫌悪のサイクルにはまり始めています。

言葉にすればするほど、自分を嫌う気持ちは大きくなっていくもの。まずは、日々の口癖を振り返ってみましょう。

参考記事はこちら▼

「私なんて……」と思う気持ちを救う方法を解説します。

(3)過去の出来事を思い出して消えたくなる

 

自己嫌悪に陥る原因となった失敗や出来事はないでしょうか?

思い出すだけで心の中がざわざわし、「この場からいなくなりたい……!」と思うようなシーンのことです。

これが頻繁に頭に浮かぶなら、それも自己嫌悪のサインかもしれません。

過去は過去、起きてしまったことは仕方ない! と割り切れず、自分を認めてあげられなくなっている状態です。

(4)他人に対する劣等感がある

自己嫌悪に陥っている時は、他人と自分をつい比較してしまうもの。しかも、比較して優越感を抱くのではなく、劣等感ばかりを抱くようになります。

「あの人はいいな」「あの人みたいになれたらな」と羨望するのも、今の自分では満足できず、嫌悪を抱いている証拠です。

気づくと人と自分を比較して落ち込んでいる、という状況ならば、自分のことが嫌になってしまっているのでしょう。

参考記事はこちら▼

劣等感を抱く原因と対処法を解説します。

(5)必要以上に反省して謝る

自己嫌悪に陥ると、反省の回数も増えるでしょう。「あんなことしなければ良かった」「こうしていれば……!」と、後悔に似た感情も抱くかもしれませんね。

そして、必要以上に謝る回数も多くなってしまいます。

少しのミスや失言に対しても「ごめんなさい」と落ち込み、しまいには謝らなくていいところでも謝罪の言葉を口にしてしまうことも。

自信がなく、「私なんて」と思っているからこそ、こうした言動をしてしまうのでしょう。

あなたは大丈夫? 自己嫌悪診断

以下の項目に当てはまる人は、自己嫌悪に陥りやすい性格をしている可能性があります。チェックしてみてくださいね。

・完璧主義である
・責任感が強い
・向上心がある
・努力家である
・理想が高い
・「自分はこんなものじゃない」と思っている
・人から褒められても素直に受け取れない
・人からどう評価されているか気になる
・自己評価が低い

参考記事はこちら▼

あなたは自分のことが嫌い? その深層心理を10の質問で詳しく診断します。

自己嫌悪に陥る心理とは?

続いて、人はなぜ自己嫌悪に陥るのか、その心理を紐解いていきましょう。

(1)理想と現実にギャップがある

前述の通り、もっと良くなりたいという理想があるのに、現実が思うようにいかないと、もどかしさや悔しさなどから心は葛藤します。

「自分はこんなものじゃないのに」「もっとできるのに」という気持ちがぬぐい切れず、向上心が強ければ強いほど現実とのギャップが大きくなり、うまくできない自分を嫌ってしまう循環が生まれるのです。

参考記事はこちら▼

理想を追い求めすぎる癖がないか診断でチェックします。

(2)自分に完璧さを求めてしまう

ちゃんとしなければいけないとか、完璧でなければならないという思い込みが強いと、高いハードルを自分に課してしまいます。

人間はどこまでいっても完璧にはなれませんので、自分に完璧さを求めると、必ずその期待は裏切られることになります。

ひとつの粗が気になりはじめると、性格や容姿、仕事や恋愛、生き方など、あらゆることが気になり、どんなにがんばっても完璧になれない自分にひどく嫌悪してしまうのです。

参考記事はこちら▼

完璧主義な人の特徴を分析し、対処法を解説します。

(3)他人との比較

自己嫌悪に陥りやすい人には向上心があります。まわりの人と自分を比べてできないことがあると、「こんなに努力してもできないんだ」と劣等感を抱くようになるのです。

「うまくいっている自分は好きだけど、うまくいかない自分は嫌い」というように、偏った側面でしか自分を認めることができないと、自己嫌悪に陥りやすくなります。

参考記事はこちら▼

人と比べてしまう原因を解説します。

(4)大切な人を傷つけた痛み

友だちや両親、会社の同僚など、自分にとって大切な人を思うように愛せなかった痛みがこの心理を生むケースもあります。

たとえば、やさしくしたかったのに、ついカッとなってひどい言葉をかけてしまい、そんな行動をした自分が許せないと思う、など。

すると「大切な人を傷つけてしまうような自分は、相手の近くにいてはいけない」と他人から遠ざかってしまう苦しい嫌悪に陥ります。

(5)嫌っていた人物と同じ要素が自分にもある

たとえば子どものころに親を嫌っていたとします。「お母さんは感情的ですぐに怒るし、男の人がいないと生きていけない女々しいところが大嫌い!」と思ったとしましょう。

ところが大人になっていくにつれ、自分もそんな母親と同じような一面があることに気づいてしまったら、自分のことも許せなくなってしまいます。

「なりたくない!」と思っていた人物像に近づいていく自分に嫌悪するのです。

どうしたらいい? 自己嫌悪を克服する方法

誰しもが抱くことのある自己嫌悪。このような負の感情は、自分だけでなく誰かを傷つけてしまうこともあるはずです。

では、「自分が嫌い」というマイナスな感情を克服する方法はあるのでしょうか。

(1)完璧にできない自分を許す

自己嫌悪は、より良くなりたいという気持ちがないと生まれないものです。

理想を追い求めること自体は向上心の表れなので、大切にしてほしい部分。ただ、完璧にできないことがあっても、理想には届かなかったとしても、確実に努力して成長してきていることを認めてあげましょう。

「完璧にできなくても、まぁ仕方ないか」と思えるように、自分を許してあげてみてください。

(2)自己嫌悪している自分を受け入れる

「やめたいと思っているのに、自己嫌悪をやめられない自分が嫌い」という心理になるケースは多いです。もし自己嫌悪している自分を責めてしまうのなら、そんな自分にOKを出して受け入れてあげましょう。

このワンクッションを入れることで、さらなる自己嫌悪を食い止め、気が楽になる効果があります。

受け入れるというのは、「また私、自分を嫌っているな~」と、自分の状況を客観的に眺めるようなイメージです。

(3)受け入れてくれる存在を持つ

「思うようにできないことがあってもいいじゃない」「自分を嫌ってしまうこともあるよね」と声をかけてくれるような存在を持つと、自分ひとりで自己嫌悪を克服しようとがんばるよりも楽に進んでいくことができます。

あなたの話を否定せずに聞いてくれる人や、気持ちを受け止めてくれるような人が近くにいると、安心感に包まれて自分を尊重する気持ちが育っていきます。

(4)まわりの人のいいところを伝える

まわりにいる人のいいところを見つけて、ぜひ相手に伝えてあげましょう。自己嫌悪で悩んでいる人は、お世辞を言うのが得意ではありません。

本当に思っていることしか言わない人が多いので、たとえば「いつも声かけてくれて優しいよね」「〇〇ちゃんが笑うと、私すごくうれしいなって思うの」と口にすると、相手にとっては心に響く言葉になります。

そして人の中に見出した長所は、自分の中にも同じ要素がないと気づかないもの。

優しい人だなと思えば、あなたの中にも同じような優しさがあるということになります。そうやって、他人のいいところを見つけた分、自分のいいところにも目を向けていけるといいですね。

(5)「ごめんなさい」よりも「ありがとう」を口癖にする

自己嫌悪があると、どうしても「申し訳ない」「ごめんなさい」と思ってしまいがち。

できたら「ありがとう」に口癖を変えてみましょう。自分を責めていると、相手が自分に対してどんな眼差しを向けてくれているのかに気づかなくて距離が空いてしまいます。

気持ちを感謝とともに受け取ると、相手はあなたの役に立てたとうれしく感じるもの。その相手がいつしかあなたの存在を受け入れてくれる味方になるかもしれません。

自己嫌悪は「よりよい自分でありたい」という気持ち

自己嫌悪があるとき、私たちは自分が大嫌いでひどい気分を味わいます。

ところが、単に自己評価が低いだけでは、私たちは悩まないのです。「大切な人をもっと愛したい」「魅力的な自分でありたい」「夢を実現できる自分でいたい」という、より良くありたいという成長への意欲があるからこそ生まれる感情だということ。

向上心のある部分はそのまま大切にしながら、完璧にできない自分を許していきましょう。

すでにたくさんの魅力を自分が持っていることに気づき、これまで真剣に取り組んできた自分を認め、自己嫌悪に費やしているエネルギーを成長するための糧に変えていきたいですね。

(高見綾)

※画像はイメージです

 

 

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