これで快眠! 暑くて寝られない夜でも快適に眠る7つの鍵
夏本番を迎え、夜になっても暑い日が続いていますよね。暑さでなかなか眠れない人も多いのでは? 夜にしっかりと睡眠が取れないと、翌日に疲れが残ったり、不調の原因になったりすることも……。そこで、熱帯夜でも快適に眠るための方法を、内科医の前山美千代先生に教えていただきました。
暑くて寝られない経験ってある?
まずは女性のみなさんに、暑くて寝られなかった経験があるか、アンケート調査を行いました。また、そのときにどう対処したのかについても聞いてみました。
夜に暑くて眠れない人は7割以上
Q.夏、暑くて寝られなかった経験はありますか?
・ある……76.3%
・ない……23.7%
暑くて寝られなかった経験があると答えた女性は7割以上いました。やはりみなさん、夏の夜の暑さには困っているようです。
暑くて寝られないとき、みんなどうしてる?
アンケート調査で「はい」と答えた女性のみなさんに、そのときどのような対策をしたのかについて聞いてみました。
エアコンや扇風機
・「クーラーを付けて部屋を涼しくして寝る」(28歳/ホテル・旅行・アミューズメント/事務系専門職)
・「扇風機をかけて(タイマー)寝ました」(30歳/小売店/販売職・サービス系)
一番多かった対策方法はクーラーや扇風機を使う方法でした。タイマーを使って冷えすぎないように工夫しているという人も。みなさんうまく家電を活用して、暑さ対策をしているようです。
保冷剤や氷枕
・「保冷剤を使って体を冷やしたことがあります」(26歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)
・「アイス枕を使用し、暑さから逃れる対策を行った」(23歳/公務員・団体職員・学校・教育関連/専門職)
続いて多かった回答が、冷たいアイテムを使う方法。氷枕、保冷剤、冷却シートなどを使って、頭を中心に冷やす人が多いようです。
窓を開ける
・「窓を開けて風を通して冷やすようにする」(28歳/アパレル・繊維/秘書・アシスタント職)
・「窓を開けて寝る」(28歳/商社・卸/営業職)
窓を開けて外の風を入れるという回答もありました。電気代はかかりませんし、クーラーや扇風機より身体に優しそうですが、防犯面では少し心配ですよね。
水風呂やシャワー
・「水風呂に入って体温を下げた」(33歳/人材派遣・人材紹介/事務系専門職)
・「お風呂で手と足に水をかけて、体を冷やしました」(34歳/ソフトウェア/事務系専門職)
水風呂に入ったり、冷たい水をかけたりして、身体ごと冷やす対策をした人もいました。一時的な対処ではありますが、体温が下がって涼しく眠れそうです。
専門家が教える! 暑くて寝られないときはどうすればいい?
女性のみなさんは、さまざまな対策をして暑さをしのいでいるようです。それでは、暑くて寝られない夜でも快適に眠る方法について、「暑くて寝られないときの対処法」と「眠る前にできる対策」を前山先生に教えていただきました。
暑くて寝られないときの対処法
前山:蒸し暑い夜は本当に寝苦しいものです。寝つきが悪くなるだけでなく、暑さで夜中に何度も目が覚めてしまう方も多いと思います。実は、夏の睡眠時間が一番短くなるという調査結果もあるのです。そんな寝苦しい夏の夜に使える、3つの対策をお伝えします。
湿度を下げる
暑いと温度を下げることを意識しがちですが、実は「高い湿度」も眠りの大敵です。さまざまな研究から湿度も睡眠に影響を与えることがわかっていて、湿度が上がると深く眠れないという結果が出ています。クーラーのドライ設定を活用して、温度だけでなく湿度を下げましょう。
エアコンをつける
エアコンは身体に悪いからといって、我慢する必要はありません。暑さや湿気で眠れないよりは、エアコンを使うほうが身体に優しいです。ただし、身体の冷やしすぎは体調不良につながってしまいます。もしエアコンをつけるのであれば、眠り始めの3~4時間だけつけましょう。この時間は、脳が深い眠りにつくノンレム睡眠が起こる「睡眠前半」に相当するので、ここを快適にすることで、良質な睡眠が得られます。
眠る前にできる対策
前山:次に、眠る前にできる対策について説明します。
部屋の熱を逃がす
日中は、なるべく部屋に熱がこもらないようにしましょう。カーテンやすだれを活用して窓からの光を防いだり、扇風機やエアコンの風を利用したりするとさらに効率的です。
お風呂で身体を温める
夏は、外の暑さとエアコンがきいた室温の温度差によって、体温調整機能が低下します。すると寝ている間にうまく放熱ができず、眠りの妨げになることがあるのです。体温調整機能を戻すためには、湯船につかることが効果的です。人は身体が温まると、体温の上昇を抑えるために熱を身体の外に出そうとするため、入浴後は逆に涼しくなり、体温が低下して眠りやすくなるのです。
頭を冷やす
夏は頭と足を冷やし、お腹だけは冷やさないようにする「頭寒足寒」が理想的です。頭や足は出していても、お腹にはタオルケットなどをかけて冷やさないようにしましょう。ちなみに、手足が冷たいのに顔や上半身がほてるという「冷えのぼせ」の症状がある人は、ほてった部分を保冷剤などで軽く冷やすと眠りやすくなります。
寝具の素材を変える
部屋の湿度だけでなく、「ベッドや布団の湿度」にも気を配りましょう。機会があれば、普段使っているシーツ、枕カバー、タオル類を肌触りのよい「綿素材」や、「リネン(亜麻)素材」に変えてみてください。綿やリネンは吸湿性と放湿性に優れているため、夏にはうってつけの素材です。
快適な温度を見つける
夏の睡眠は室温26℃、湿度60%が最適とされていますが、住んでいる地域などによって数値は変わります。まずは自分が心地よく眠れる設定温度を探してみてください。また、クーラーは苦手という方は、扇風機を活用したり、パジャマの素材を涼しいものにしたりして、快適な睡眠環境を作りましょう。
夏以外で暑くて寝られない場合
実は、性別や年代によっては、夏以外にも「暑くて寝られない」と感じることがあるようです。どのような状況なのか、前山先生に詳しく解説していただきました。
生理前
前山:女性の中には、生理前になると強い眠気を感じる方も、逆に不眠の症状が出る方もいます。どちらもホルモンバランスの変化が原因で起こるPMS症状(Premenstrual Syndrome)で、日本語では「月経前症候群」と呼ばれます。生理前にこのような症状がある場合は、婦人科を受診するとよいでしょう。
更年期障害
前山:更年期障害によって、のぼせや汗をかく症状が出ることがあります。これが原因で不眠になる方もいます。こうした更年期障害も、婦人科での治療を受けることによって症状が改善されることがあるでしょう。
甲状腺の異常
前山:甲状腺に異常があると、その機能が通常より高まりすぎてしまい、代謝が上がって体温も高くなります。これによって体温調節機能にも異常が生じ、不眠をきたす場合があります。この病気の代表格が「バセドウ病」で、特に女性に多い病気です。もしおかしいなと感じた場合は、医療機関を受診してみてください。
まとめ
夏の夜、暑くて寝られない場合は、エアコンなどを活用して室温や湿度を下げることを意識しましょう。また、事前にできる対策として、お風呂で身体を温めたり、寝具を通気性のよいものに変えたりするという方法もあります。もし、季節に関係なく暑くて眠れないという症状が出た場合は、病気の可能性もあるので一度医療機関を受診してみてください。暑い夏の夜を乗り切るため、ぜひ記事を参考にしてみてくださいね。
(文:前山美千代、構成:篠崎夏美)
※画像はイメージです
※マイナビウーマン調べ
調査日時:2017年6月31日~7月4日
調査人数:156人(22歳~34歳の女性)
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください