便秘でおならが臭い! おならを止める方法って?
便秘になると、お腹にガスが溜まって苦しくなる人もいますよね。おならはたくさん出るのに、なかなか便が出ないという女性も多いかもしれません。便秘になると、なぜおならが出るのでしょうか。おならの原因と解消法について、消化器内科医の古川真依子先生に解説していただきました。
便秘ってどんな状態?
そもそも便秘とはどのような状態なのでしょうか。古川先生に聞いてみました。
古川:便秘の定義にはさまざまなものがあります。なぜなら、便の出方は個人差が大きいからです。日本消化器病学会では、便秘の定義を「排便の回数が減ること」としています。一方、米国消化器学会では、「下腹部の膨満感」「おならの量」「便の量」「便の状態」「排便回数」「残便感」「排便時の痛み」などから総合的に判断しています。
しかし、便が出ないことでお腹が苦しい、痛いなどの症状があったら「便秘」だと判断してもよいでしょう。また、女性の中には、生理前に便秘になるという方も多いと思います。生理前はプロゲステロンという女性ホルモンの影響によって腸の動きが悪くなるので、便秘になりやすいのです。
便秘でおならが出る理由
便秘になるとおならがたくさん出るという人もいますが、なぜなのでしょうか。便秘のときのおならについて、古川先生に解説していただきました。
便秘になるとおならが出るのはなぜ?
古川:便秘になると、体内の老廃物が長時間腸内に滞留するため、腸内環境が悪化します。腸内環境が悪化すると、悪玉菌が増加して便の腐敗が進むため、ガスが発生しておならになるのです。おならの臭いについては、その成分によっても異なります。
おならの約70%は、炭酸ガス・窒素・メタン・酵素・水素で構成され、約20%は血液中に存在しているガス、そして残りの約10%が臭いの原因とされるスカトールや硫化水素であり、これらは、腸に残った食べものが分解されるときに出ます。特に、動物性のタンパク質を含む食べ物(肉類など)を多く摂ったときは、臭いがきつくなりがちです。
おならを我慢するとどうなる?
古川:おならとして出るガスは体にとって有害なので、我慢するのはよくありません。我慢したおならは、腸に吸収されて血液に入り、二酸化炭素などと一緒に口や肌から排出されるため、口臭や肌荒れの原因になります。また、大腸がんの原因になる可能性もあるので、注意が必要です。
便秘でおならが出るときの対処法
おならを我慢すると、口臭や肌荒れを引き起こす可能性があることがわかりました。それでは、どうしても便秘でおならが止まらないときは、どうすればいいのでしょうか。古川先生に対処法を教えていただきました。
おならを止める方法は?
古川:おならをできるだけ少なくするには、ガスを発生させる悪玉菌の栄養素となる「たんぱく質」や「脂質」を摂り過ぎないことが大切です。とはいえ、おならだけを止めるのは非常に難しいため、根本原因である便秘を解消するようにしましょう。
便秘を解消する方法
古川:便秘解消には、主に以下の3つの方法が挙げられます。
生活習慣の改善
まずは運動、睡眠、排便などの規則正しい生活習慣を身につけ、毎日決まった時間にトイレに行くことが大切です。適度な運動は自律神経のバランスを整え、腸管の動きを調節する効果があります。また、排便に必要な腹筋を鍛えることも重要です。
食生活の改善
食生活では、1日3回バランスのよい食事を心がけましょう。水分を十分に摂ることと、野菜や果物などから食物繊維を摂ること、ヨーグルトなどから乳酸菌を摂ることも効果的です。
便秘薬の使用
便秘薬には、市販薬や病院での処方薬などさまざまな種類がありますが、できれば薬に頼らずに、生活習慣や食生活の改善で便秘を解消したいものです。とはいえ、生理前にどうしても便秘になって苦しい場合は、薬で調整してもよいでしょう。市販薬には依存性があるタイプもあるので、なかなか治らない場合は早めに病院を受診してください。
まとめ
便秘のときにおならが出る原因は、腸内環境の悪化によって悪玉菌が増加し、便が腐敗するためです。おならの臭いは食べたものによって変化するので、動物性のタンパク質を摂り過ぎたときには、特に臭いがきつくなります。おならだけを止めるのは難しいため、生活習慣や食生活を見直し、便秘を根本的に解消することが大切です。
(文:古川真依子、構成:マイナビウーマン編集部)
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※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)
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