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お酒に酔わない飲み方~お酒にまつわるウソ・ホントを解明~

古川真依子

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お酒を飲むとすぐに酔っ払ってしまったり、気持ち悪くなってしまう人っていますよね。そんな人がお酒を飲んでも酔わないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。お酒で酔ってしまう原因や、酔わないようにする飲み方について、消化器内科医の古川真依子先生に教えていただきました。また、「鍛えればお酒に強くなる」「お酒を飲んだあとにお風呂に入ってはいけない」など、お酒にまつわる噂のウソ・ホントについても聞いてみました。

<目次>

お酒で酔う原因と二日酔いになる理由

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お酒を飲むと酔っ払ってしまう原因や、二日酔いになる理由について、古川先生に解説していただきました。

お酒で酔う原因

古川:お酒の主成分は「エタノール」で、一般的な「アルコール」とはエタノールのことを示しています。アルコールには脳を麻痺させる働きがあるため、これが酔いの原因です。脳は、異物から脳を守るための「血液脳関門」によって守られていますが、アルコールはこれを通過してしまいます。あまりにも酔いが進むと、真っすぐ歩けなくなったり、運動機能にも影響が出てきます。

二日酔いになる理由

古川:体内に取り込まれたアルコールは、肝臓で「アルコール脱水素酵素(ADH)」によって「アセトアルデヒド」に分解されます。その後、アセトアルデヒドは「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)」によって代謝されて酢酸となり、最終的に二酸化炭素と水となって排出されます。

アルコール分解の仕組み

(1)アルコールを摂取
(2)肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解
(3)アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解
(4)二酸化炭素と水となって排出

アルコールが代謝される過程でできる「アセトアルデヒド」が二日酔いの原因です。アセトアルデヒドは有害物質であり、血液中の濃度が高くなると頭痛、吐き気、発汗などといった二日酔いの症状を引き起こします。

お酒の酔わない飲み方

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お酒を飲んで酔うのは、アルコールが脳を麻痺させるからだとわかりました。それでは、お酒を飲んでも酔わないようにする方法はあるのでしょうか。お酒を飲むタイミングごとに、対策方法を解説します。

お酒を飲む前にすべきこと

古川:アルコールを急激に摂取すると、酔いが進みやすくなって悪酔いや二日酔いの原因となります。酔いを防ぐために、空腹の状態で飲酒をするのは避けましょう。具体的には、脂肪分を多く含むバター類、チーズなどの摂取が効果的です。また、ドレッシング(ノンオイルでないもの)をかけたサラダを食べてもよいでしょう。コンビニなどで売られている栄養ドリンクを飲むのも効果的です。

お酒を飲んでいるときにすべきこと

古川:お酒を飲む時は、以下のポイントに気をつけてください。

酔いにくいお酒の種類と飲み方

アルコール度数の低いお酒をゆっくりと飲んでください。水やお茶で割って飲んでもよいです。逆に、お酒を一気飲みしたり、ロックやストレートなどで飲むと酔いやすくなってしまいます。

酔いにくいおつまみ

アルコールの吸収をゆっくりにするためには、脂肪分が重要です。チーズ、揚げ物、脂の乗った魚や肉などがよいでしょう。

酔いにくい行動

摂取したアルコールと同じくらい水を飲んで、トイレは我慢せずに行きましょう。また、食事や会話も楽しみながら、ゆっくりと飲むようにしてください。

お酒を飲み終わったあとにすべきこと

古川:まずはしっかりと水分を摂ることです。二日酔いになる原因の一つに脱水症状があります。アルコールそのものに利尿作用があるため、アルコールを飲めば飲むほど体から水分が失われてしまいます。睡眠前にしっかり水分補給をしておけば、脱水症状を防いで二日酔いを予防できます。

酔ってしまったときの対処法

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お酒を飲む前には、バターやチーズといった脂肪分を多く含む食品を摂取し、会話なども楽しみながらゆっくりお酒を飲めばよいとわかりました。それでは、もしお酒に酔ってしまったときは、どうすれば早く酔いを覚ますことができるのでしょうか。酔ったときの対処法について教えていただきました。

古川:まずは飲酒を中断しましょう。アルコールを分解するためには糖分を必要とします。炭水化物やチョコレートといった糖質の高い食べ物や、スポーツドリンクなどの水分で糖質を補給することも有効です。しかし、糖質の摂りすぎは肥満の原因となるので注意しましょう。

お酒にまつわる4つの噂話のウソ・ホントを解明!

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お酒に関してはさまざまな噂話がありますが、いったい何が本当なのでしょうか。古川先生に教えてもらいました。

頻繁にお酒を飲むと強くなるって本当?

古川:お酒に強いかどうかは、遺伝子によって決まっています。アセトアルデヒドを速やかに分解できる人は「お酒に強いタイプ(酒豪)」、アセトアルデヒドを分解できずに蓄積してしまう人は「お酒に弱いタイプ(下戸)」です。日本人を含む黄色人種では酒豪が50%、下戸が5%といわれており、残りの人は両方の遺伝子を持っている可能性が高いので、頻繁にお酒を飲むことで強くなる可能性はあるといえます。

なぜなら、アルコールを分解する働きのあるアセトアルデヒド脱水素酵素は、お酒を頻繁に飲むことで活性が高まる可能性があるからです。弱い遺伝子だけの人は、もともとアセトアルデヒド脱水素酵素を持っていませんが、強い遺伝子と弱い遺伝子の両方を持っていれば、活性が高まってお酒に強くなることがあります。

空きっ腹でお酒を飲むと酔うって本当?

古川:本当です。空腹時にお酒を飲むと、アルコールの血中濃度が急激に上昇して酔いやすくなります。

ちゃんぽんすると二日酔いしやすいって本当?

古川:一般的に、いろいろな種類のお酒を飲むことを「ちゃんぽんする」といいます。ちゃんぽんするということは「お酒の種類やアルコール度数を気にしないでいろいろと飲む行為」といえるでしょう。お酒の種類が増えると自動的にアルコールの摂取量も増えてしまうので、水をたくさん飲むなどして二日酔い対策を行わないと、二日酔いになる可能性が高まります。

お酒を飲んだあとにお風呂に入っちゃだめって本当?

古川:アルコールには利尿作用があるため、お酒を飲んだあとは脱水状態になっています。入浴すると発汗するため、脱水症状がさらに悪化し、最悪の場合は命にかかわります。また、酔っぱらっていると足元がふらつくので転倒の危険性も高まります。飲酒後は絶対にお風呂に入っていけないわけではありませんが、しっかり水分補給をするなどの対策をしてください。

まとめ

お酒を飲む以上、やはり多少は酔っぱらってしまいます。お酒と上手に付き合うために、まずは自分の適量を把握しましょう。お酒を飲む時は、チーズなどの脂肪分が多いおつまみと一緒に、アルコール度数の低いお酒をゆっくりと飲んでください。お酒を飲み終わったあとは、脱水を防ぐためにしっかり水分補給し、お風呂に入る際は転倒などにも気をつけましょう。

(文:古川真依子、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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