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冷え性や末端冷え性の原因と対策方法

小杉理恵

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寒い季節だけでなく、夏でも冷房の影響で「身体の冷え」に悩む女性は多いのではないでしょうか。冷え性や末端冷え性の原因をしっかり理解し、体質を改善するためにはどうすればよいか、循環器専門医の小杉理恵先生に教えていただきました。

<目次>

冷え性の原因と症状

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そもそも冷え性とは何が原因で起こり、身体のどんな場所に現れるのでしょうか。また、冷え性の中には「末端冷え性」と呼ばれるものもありますが、通常の冷え性とは何が違うのか、小杉先生に聞いてみました。

冷え性とは

小杉:冷え性は、普通の人が寒さを感じないくらいの温度でも、全身や手足、下半身などが冷えてつらい症状とされています。「冷えがつらい」というのは主観的な自覚症状であるため、実際に身体が冷たくなっていても、本人の自覚がない場合は冷え性とはいいません。逆に、冷えを感じている方でも、実際に体温を測定すると決して低くはない場合もあります。

冷え性が女性に多く見られるのは、筋肉量が男性に比べて少なく、体脂肪率が高いことと(筋肉は熱を産生し、脂肪は冷えやすい)、月経の影響で腹部の血流が滞りやすいことが原因だと考えられます。

冷え性と末端冷え性の違い

小杉:「末端冷え性」は冷え性の一種です。東洋医学的に、冷え性は4つのタイプに分類されています。

下半身型

足は冷えるが、手などの上半身は冷えません。30代から中高年の男女に多く見られ、冷え性の中でもこのタイプに当てはまる人がもっとも多いです。冷えのほかに痛みやしびれを伴う場合は、閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などの疾患がある場合もあります。

四肢末端型

手や足の先から冷えるタイプで、いわゆる「末端冷え性」と呼ばれるものです。痩せ形でダイエット志向の強い10代~20代の若い女性に多く、冷え性の代表的なタイプといえます。食事量の不足や運動不足が原因で熱生産量が少なくなり、体温低下を防ぐために交感神経が優位になって血管が収縮することで、冷えが起こります。

内臓型

手足や皮膚の表面は温かくても、体幹深部の体温は低いタイプ。30代以上の中高年の男女に多く見られます。特に消化管が冷えているので、腸にガスが溜まって腹部に膨満感が出やすいでしょう。また、交感神経よりも副交感神経が優位になるため、寒さに対する血管の収縮反応が弱く、逆に熱が放出されやすくなって体温が低下します。

全身型

全身が冷えるタイプです。冷え性の中ではめずらしいケースですが、年齢にかかわらず発症します。原因は基礎代謝の低下、食事量不足、運動量不足、慢性的なストレス、不摂生などによる体力低下などで、極端に熱生産量が少ないことに起因します。また、甲状腺機能低下症によって全身が冷えている場合もあるため、症状に心当たりがある場合は、一度病院を受診してみてください。

冷えの原因

小杉:冷えを感じる原因としては、以下の9つが挙げられます。

・食事摂取量不足
・運動不足、筋肉量の減少
・薄着(スカート)
・ストレス
・不摂生
・喫煙
・高血圧
・高コレステロール血症
・動脈硬化

食事不足や運動不足、体が冷えやすくなる薄着はもちろんのこと、高血圧や高コレステロール血症などがある方は、動脈硬化性の疾患によって冷え性の症状が出てくる可能性もあります。

冷えを放置するとどうなる?

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身体が冷えてつらいと思っていても、つい病院へ行くのをあとまわしにしてしまう人もいますよね。身体の冷えを放置するとどうなるのか、小杉先生に教えていただきました。

小杉:ひどい月経痛や生理不順、ストレスの増加などを引き起こす場合があります。また、冷えという症状に隠れている可能性がある病気は以下の4つです。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気で、代謝が落ちてコレステロール値が上昇します。

膠原病(こうげんびょう)

自己免疫疾患といって、ウイルスや細菌をやっつけるために働く自分の抗体が、自分を攻撃してしまう疾患です。

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

背骨が背中の神経を圧迫することによって、下肢に痺れが出る病気です。下肢の冷え性の原因となる場合もあります。

閉塞性動脈硬化症

下肢の血管が動脈硬化の進行によって狭窄し、血流低下を起こすことによって生じます。喫煙歴のある男性に多い疾患です。

冷え性を改善する方法

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冷え性には4つのタイプがあり、冷えを放置するとさまざまな症状につながる可能性があるとわかりました。それでは、冷え性を改善するためにはどうすればいいのでしょうか。普段の生活習慣を見直し、根本的に改善する方法について教えていただきました。

冷え性の改善に効果的な食べもの

小杉:四肢末端型の冷え性はダイエットが原因で生じることが多いため、まずはしっかり食事を摂ってください。また、東洋医学的には、体を冷やす食品を控え、体を温める食品を積極的に摂ることが大切だと考えられています。

ちなみに、身体を温める食品のひとつに唐辛子がありますが、発汗によって最終的には体温を下げてしまうのでおすすめできません。また、ショウガの成分である「ジンゲロール」には、身体を温めて血流を増加させる効果がありますが、それと同時に身体を冷やす働きのある受容体も刺激してしまうため、大量摂取はしないようにしましょう。

冷え性の改善に効果的な生活習慣

小杉:ダイエット、運動不足、不摂生などを改善し、しっかりと食事や睡眠をとってください。冷えを助長させるような薄着は控え、深酒はしないようにしましょう。

冷え性の改善に効果的な運動習慣

小杉:運動をすることは、筋肉量を上げて自律神経のバランスを整え、熱や栄養を送るために必要な心肺機能を鍛える効果があるので、冷えの改善には非常に効果的です。ストレッチやラジオ体操などの全身運動をゆっくり行い、第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎをしっかり使って、毎日20分程度早歩きでウォーキングしてみてください。

まとめ

冷え性は特に女性に多い症状ですが、これには筋肉量や体脂肪率の差が関係しているようです。冷え性を改善するためには、身体を冷やすような格好は避け、バランスのよい食事を摂って、定期的に運動をしましょう。また、冷えの中に病気が隠れている場合もあるので、症状がつらいと感じたときには、一度病院を受診してみてください。

(文:小杉理恵、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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