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妊婦のための専用椅子がいよいよ登場! カラーはピンクで、体にやさしくフィット

妊婦専用椅子『ピンキー』

妊婦専用椅子『ピンキー』

設計事務所、ドムスデザインでは、家具メーカーAIDECと共同で、妊婦用イス『ピンキー』を制作しています。元看護師である一級建築士・戸倉蓉子(ようこ)さんが代表を務める同社は、さまざまな病院を設計していく中で、産婦人科にも内科や整形外科などと同じ長椅子が使われていることに違和感を覚えたそう。

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妊婦健診では、2時間近く待たされることもあるのに、長椅子では体に負担がかからないだろうか。妊娠期間によって体型や体調が変化していく妊婦には、長時間待たされることは、特に苦痛を感じてしまうはず。そんな思いから、妊婦にやさしい椅子を制作することになりました。

妊婦がリラックスすることは、お腹の赤ちゃんへ幸せな子宮環境をプレゼントすることでもあります。「妊婦検診の待ち時間(平均2時間)の苦痛をいかにやわらげるか」をコンセプトに開発された、ピンキーの秘密について紹介しましょう。

■体に負担のかからない座り心地を実現

同社で妊婦300名に産婦人科医に対する本音を調査したところ、「待ち時間がつらいこと」が一番の悩みだとわかりました。一般的な長椅子は背もたれが低く、座面がかたいので腰に負担がかかってしまいます。また、混雑時はゆったりと座ることができず、窮屈な思いをしてしまうことも。

これを解消するために、まずは独立タイプの椅子を設計。産院でのヒアリングやモニターを行い、座面の傾斜角度を103度(通常98度)とリラックスして座れるように設計しました。

背もたれは頭までしっかりカバーできるようにし、肘かけは立ち上がるときにお腹へ力が入りすぎないよう、やや高めに設定。なめらかな曲線を描いているので腕を自然に置くことができ、雑誌を読みやすくなっています。

気になる座り心地ですが、骨盤を包み込むように支えてくれて、体にやさしくフィット。座面幅を広くしたことにより、ゆったりと座ることができます。立ったり座ったりする動作もスムーズに行えて、腰への負担が少ないのが特長です。足が開かずに座れるのも、女性にとってはうれしいところ。

妊娠すると、女性は通常以上にピンクを好む傾向にあることから、このカラーに決めたとか。これは、ホルモンの影響によるもので、多数の産婦人科医の意見や妊婦へのアンケートによって判明しているそうです。

しっとりとした手触りの生地は温かみが感じられ、心身ともにやさしい気持ちに。医療現場でも使われている、抗菌効果のある素材を使用しています。

■イタリアでも高評価!

快適な座り心地に満足するイタリアの妊婦

快適な座り心地に満足するイタリアの妊婦

 

ピンキーは妊婦へのモニターを行いながら改良を重ね、2013年にはイタリアのミラノ市内で毎年開催される「ミラノ国際家具見本市」(ミラノサローネ)に出展しました。このときも、実際にイタリアの妊婦が座ったところ、「腰に負担がかからない」「前かがみにならないので、お腹が圧迫されない」といった感想が寄せられ、好評だったとか。

デザイン性の高さも評価されました

デザイン性の高さも評価されました

 

もちろん、日本人の妊婦からも同様の意見が多数。妊婦の苦痛を軽減するだけでなく、心が躍るようなポップなデザインにも注目が集まりました。

現在、年内の製品化に向けて最終調整を進めており、1月には一般販売を開始する予定とのこと。同社がプロデュース・設計し、2月に開院予定の出産専門施設『ファミール産院 君津』への導入が決定しているそうです。

この産院は、ヨーロッパスタイルのデザインを採用しており、2階に14室ある入院室には、パリ・コペンハーゲン・バリ・京都・モナコといった各都市をモチーフとしたデザインを盛り込むとのこと。出産という大仕事を終えたママが、ホッとできる環境をめざしています。

ピンキーの想定価格は20万円前後。産院の待合室用に開発していますが、一般向けの販売も検討しているそうです。

妊娠・出産は「大変そう」「体がしんどいのでは?」といった、ネガティブなイメージが先行してしまいがちですが、このような心づかいが広がっていけば不安が解消されるはず。快適な妊婦生活を送れそうですね。

(OFFICE-SANGA)

※この記事は2013年11月28日に公開されたものです

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