7000人の妊婦を運んだ!? 今、妊婦に人気の「陣痛タクシー」とは?
出産経験がない女性にとって陣痛は未知の体験。「ひとりきりのときにはじまったらどうしよう」という不安や「救急車を呼んでもいいの?」という疑問は多くの人が抱くはずです。そんな不安を解消し、めざましい勢いで利用者数を伸ばしているのが、出産予定の病院や予定日などを事前登録しておけば、陣痛がはじまったときに優先的に配車してくれるタクシーのサービス。ほとんどの場合が、登録料無料で運賃も通常のタクシーと同じです(通常のタクシーと同じく迎車料は別途必要)。現在、全国のタクシー会社が次々とサービスを開始しており各地で話題になっています。
その中でも草分け的存在なのが、昨年に母の日からサービスを開始し、今年5月にサービス開始から1年を迎えた日本交通の「陣痛タクシー」です。東京23区・武蔵野市・三鷹市を中心としたエリアで配車を行っており、同社の担当によると、スタートから1年、5月末時点での登録件数は2万788件、利用者数は7,710件(グラフ参照)。月ごとの登録者数・利用者数ともに増加傾向にあり、現在は都内にいる妊婦の約5人に1人が登録しているような状態なのだそう。それだけ多くの人が利用する人気の理由は何なのでしょう。
まずは、精神的なお守りになるということ。初めての陣痛で自分がどうなってしまうか分からない。そんなときに助産師による講習を受けて妊婦の精神状態や起こりうるハプニングについて学んでいる乗務員がきてくれるのは心強いこと。事前に病院などを登録しているので当日の説明が不要なのも助かります。さらに全車に緊急対応マニュアルを常備して万全な態勢を整えられた車両なので余計な気遣いをせずに陣痛や出産へ意識を集中できます。車両の外観は普通のタクシーと同じなので、救急車のようにご近所や周囲の人から注目を集めるようなことがないもの利点です。
ちなみに実際に利用が多い時間帯は、午前0時~8時。この1年間には、陣痛が痛すぎてタクシーの記憶がない妊婦や出産後に「あと5分遅れていたら危なかった」と医師にいわれた妊婦も安全に送り届けているほか、なんと車内出産という状況にも対応できた実績があるそうです。さらに、「陣痛タクシー」を利用した人の多くが退院時に利用するというのが、こどもの送迎に特化したサービス「キッズタクシー」。少数精鋭の小児救命救急講習を受けたエキスパートドライバーが新生児対応ベビーシートをつけて送り届けてくれるそうで1カ月に約500件の予約が入っているそう。
今年2月には、救急車の適正利用に貢献したということで東京消防庁から感謝状が送られるなど社会的な意義があるサービスとして、今後ますます注目度が高くなっていきそうな「陣痛タクシー」。今後は、ネット決済やタクシー配車アプリとの連動も考えていてさらに便利さを高めていくそうです。いつかくる出産に向けて頭に入れておきたいですね。