「横から失礼します」の使い方は? 意味や例文・言い換え表現を解説
「横から失礼します」という言葉は、ビジネスシーンで使用しても問題ないのでしょうか? 今回は、「横から失礼します」を使う時の注意点や言い換え表現について、コミュニケーションマナーアドバイザーの松岡友子さんに教えてもらいました。
現代はさまざまな形でコミュニケーションが展開されています。
例えば、SNSのようにオンライン上でも同時多発的に意見を交換し合うことが可能になりましたよね。そして、そのやり取りは多くの人がリアルタイムで閲覧できるようになっています。
そのようなコミュニケーションの場において活発な意見交換を目指すのであれば、当事者以外からの発言も期待されることでしょう。
そこで今回は、自分が途中から会話に参加する場合に使う「横から失礼します」について解説していきます。
「横から失礼します」の意味
さて、今回のテーマである「横から失礼します」は「横」の使い方とその応用が鍵になります。
「横」という言葉の意味を改めて考えてみると、もともとは上下に対して水平であったり、前後に対して左右であったりという方向を示す言葉です。
そこから転じて、「関係ない方面」という意味を表します。
つまり、関係ある人々が話している時に、関係のない人が失礼を承知で口を挟んでくるというのが「横から失礼します」の本来の意味となるでしょう。
Twitterで使われる「横から失礼します」とは
Twitter 上では「横から失礼します」を「FF外から失礼します」と言うことがあるのをご存知でしょうか。
これは「フォローをしていないしフォローもされていない」関係外の人が、「横から」「失礼を承知で」リプライを送るということを意味しています。
上司や取引先の人に使っても大丈夫? 「横から失礼します」を使う時の注意点
それではこの「横から失礼します」は、ビジネスシーンでどのように使うのでしょうか。また、上司や取引先の人に使っても問題ないのか解説していきます。
結論から申し上げますと、「横から失礼します」という言葉を使うこと自体は、失礼に当たらないでしょう。
むしろ問題にすべきは、そういった場面で「横から入る」ことの是非ではないでしょうか。
議論が白熱している、もしくは行き詰まっている場面で、部外者が割り込んで良いものかどうか、冷静に判断することが重要です。
たとえ「横から失礼します」と断りを入れたとしても、いきなり参加したら当事者たちはどう思うでしょうか。
効果的な発言や手助けができるのか、自分の意見や行為が当事者たちを混乱させることにはならないか、よく考えましょう。
もちろん、言うべきことははっきりと言わなくてはなりません。しかしその場合には唐突感や失礼な印象を与えないためにも、「横から失礼します」のような断りや前置きは必須といえます。
特に、上司や取引先の方々が話している場面では、その必要性、タイミング、そして言葉遣いや態度まで慎重に判断してから発言するようにしましょう。
また、対面の場合は当事者の許可を得てから続きを述べるようにするのがおすすめです。
「横から失礼します」の使い方と例文
「横から失礼します」を使う場面は、自分が当事者間に割り込む時であり、タイミングを間違えば失礼な状況となる可能性があります。
そのため、名乗りやクッション言葉を併用しながら、発言の理由まで述べると良いでしょう。
例文としては以下のような使い方があります。
・「総務部の田中です。横から失礼します。」
・「横から失礼します。現場担当の高橋です。参考までに現在の進捗をお話ししてもよろしいでしょうか。」
・「横から失礼いたします。突然申し訳ございません。営業の山田ですが、皆さまに1つご提案がございます。」
このように「失礼します」を「失礼いたします」と謙譲語を使うことで、より丁寧な表現となります。
また、たとえはっきりと名乗らなくても、
・「通りすがりの者ですが」
・「関係者ではありませんが」
と自らの立場を自覚していることをあらかじめ断ることで、「横から失礼します」と続けて話に入りやすくなるでしょう。
「横から失礼します」の言い換え表現
先にも書きましたが、「横から失礼します」は、「横」の使い方とその応用、つまり言い換えが鍵になります。
Twitterの「FF外から失礼します」以外にも、例えば話している2人の間に入る場合には、
・「お話し中失礼いたします。誠に勝手ながら一言よろしいでしょうか。」
・「お手続き中失礼いたします。管理部の中村でございます。先ほどからお話に上がっている押印の件ですが、実印でお願いできますでしょうか。」
などと断るのが一般的でしょう。
また、メールの場面では、直接返信は求めないものの情報共有したい人をccに入れることがありますよね。
自分がccに入っているメールのやり取りにおいて、何か効果的な情報提供や軌道修正ができそうだという場合には、
「営業部の佐藤です。ccから失礼します。」
というように使うこともできるでしょう。
「横から失礼します」を使う時はタイミングや伝え方に注意
筆者は「横から失礼します」を、他者がやり取りをしている話し合いなどを良い方向に持っていきたいという思いから使われる言葉だと考えています。
ですから、まずは当事者でなくても、そのやり取りを我が事として捉えて考えることが前提となるでしょう。
その上で自分の考えをまとめ、立場をわきまえたタイミングやマナー、言葉遣いに注意して伝えていくことが大切です。
建設的な議論に参加するためにも、「横から失礼します」を上手に使っていきたいですね。
(松岡友子)
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※この記事は2023年05月26日に公開されたものです